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子どもの「自己肯定感」が育つ。親が子にできる“いちばん大切なこと”

家族・人間関係

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 子どもの「自己肯定感」が育つ。親が子にできる“いちばん大切なこと”

2023.08.28

子どもには自分で自分のことをちゃんと愛していて欲しいと思います。 では子どもの自己肯定感はどうやったら育てられるのでしょうか。 そのヒントは「子ども」から教えてもらうことができると考えています。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

子育ては「観察」が9割

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世の中に育児のノウハウはたくさん溢れています。その多くに共通しているのは子どもをしっかりと「観察」すること。
子どもの様子をしっかり見て、変化に気づく。どんなノウハウも、この基礎的な観察の上になりたっています。

「観察」とは、ただ眺めていることではありません。注意深く、小さな変化を発見することに他なりません。

有効と言われる声がけだって、褒め方だって、叱り方だって、子どもを観察もせずにただ真似したって虚しいだけ。
わが子を観察するからこそ、自分たちに適した方法を選択できるし、掛けるべき声がけも的確なものを選べるのです。

そして子どもを「観察」していると、子どもから多くのことを教えてもらうことができます。子育ての楽しさも、喜びも、どう接すればいいのかも、その多くは子育てノウハウではなくて子どもを観察することで学べるのです。今日のテーマである「自己肯定感」についても、子どもから学べることはたくさんあります。

子どもが親の自己肯定感を育んでくれる

逆説的ではありますが、僕は自分の娘に「自己肯定感」育んでもらっている気がしています。
僕はもともと自己肯定感が低く。一生懸命、人や社会に対して「価値」を提供し続けていないと、自分を認めてあげることができませんでした。

「誰からも必要とされていないんじゃないか」
「自分の代わりになる人なんて、いくらでもいる」

自分が自分でなくてはならない必然性を、なかなか見つけられなかったのです。
そんな僕に、「ありのままの自分でも生きているだけでも価値がある」と思わせてくれたのが娘でした。

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まだ産まれたばかりの頃。
いつまでも泣き止まない姿にイライラして、忙しさに疲れ切ってしまって。毎日愛情いっぱいに笑いかけてあげるなんて、とてもじゃないけどできませんでした。そんな僕や妻が、親としてどんなに情けなくても、頼りなくても、失敗してしまっても。娘は僕たちにガッカリすることも、期待外れだと嘆くこともなく、ありのままの僕たちを必要としてくれました。

僕は子育てを通して、はじめて自分が誰かから存在そのものを必要としてもらえることを実感したのです。

よく「子どもの自己肯定感を育みたかったら、ありのままの存在そのものを肯定してあげましょう」と言われます。
どうすればそれを子どもに表現できるのか、ちょっと難しいなと感じる方もいるかもしれません。でもそれを毎日、当たり前のこととして行っているのが、子どもです。

親がグッタリと疲れているときでも、ちょっと叱りすぎたときでも、子どもは丸っと受け入れて愛してくれる。
そこには打算も計算もなくて、ただ「受け入れ合いたい」という期待だけが感じられます。

自分が親を愛したのと同じ分だけ、親からも愛情を示してもらえたら、それだけで十分満足なのです。

子どもがしてくれているのと、同じことをしてあげればいい

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自己肯定感とは「ありのままの自分でいいと思えること」です。
自信があるとか、果敢に挑戦できるというような能力とは少し違います。

僕は最初に自分のことを「自己肯定感が低かった」と書きました。でも、自己肯定感の高い・低いとは何のことでしょうか。
他人と比較して高いということでしょうか。でも、自己肯定感を他人と比較することなんてできるはずもありません。

僕が自分のことを「低かった」と表現したのは、誰かと比べてのことでも、いつかの自分と比べてでもありません。
どちらかと言うと「見失っていた」という感覚です。

「自己肯定感を見失っていた」…言葉としてはちょっと変かもしれません。
ですが、子どもが僕の存在をありのままに肯定し続けてくれていることで、僕は自分が見失っていた「自己肯定感」を取り戻すことができたように思います。

「パパのことが好き」「パパがいるだけで安心する」「パパがいてくれなくちゃ寂しい」

その思いが伝わってくるたびに、前向きな力が湧いてくる気がします。

だから僕は、同じことを娘にも返してあげたいと思います。

「君のことが大好き」「君がいてくれるだけで幸せ」「君が幸せそうにしているだけで、パパも幸せになる」

言葉にすることもあれば、態度で示すこともあるし、ただそう思っているだけの場合もあります。


子どもの自己肯定感を高くしよう、高くしようとやっきにならなくてもいいのではないでしょうか。
「自分は自分のままでいいんだ」ということを、見失わないように提示してあげるだけで十分だと思います。

親としてできることなんて、たかが知れています。
子どもは成長するほど、友達や社会や環境の影響を大きく受け、親はそれらの中のたった一要素に過ぎなくなる。
だけど、無条件でその存在を肯定してあげることは、やっぱり親の大事な役割だと思うのです。
 

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