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子どもが「SNSいじめ」に巻き込まれる前に知っておくべき3つの対処術

家族・人間関係

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2023.07.18

臨床心理士・公認心理師のyukoです。子どもにとってSNSがより身近になっている今、大人からは見えない、より深刻ないじめやトラブルが増えています。どんないじめが起こりうるのか、もし巻き込まれそうになったら子どもはどう対処したらよいのかを考えてみます。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

SNSに絡んだ「いじめ」ってどういうもの?

親世代が小学生・中学生のときは、今ほどSNSが身近なものではありませんでしたよね。
昔も直接嫌がらせをして周囲に気づかれたり、影で陰湿に行われるものなどありましたが、今はより見えにくく複雑ないじめが増えています。

例えば、

  • LINEで本人のいないグループを作ったり、Twitterの裏アカウントで陰口をいう。
  • TwitterやInstagramで本人になりすましたアカウントを作り、他の人を誹謗中傷する書き込みを行う。
  • 本人の投稿に対して、誰が送ったのかわからない形で名前を伏せて誹謗中傷を送る。

スマホを操作する学生出典:stock.adobe.com

このように、大人の目から見えづらいいじめとなっていることに加え、被害に遭った子どもですら加害者を特定しづらく、証拠を示しにくくなっているんです。

また、「デジタルタトゥー」といい、一度ネットに上げられた画像や動画、文章はどこで誰に保存されているのかわからず、投稿を消しても世の中から完全に消すことはできません。
TikTokやTwitter、Instagram、YouTubeのオープンアカウントにおいて、顔や本名を明かす危険性を理解しておく必要もあるといえますね。

事前に考えておきたい「SNSでいやな気持ちになったとき」の対処法

極端な話、親が携帯を監視する、SNSを禁止するなどのルールを定めれば、トラブルに巻き込まれる可能性は低くなります。
ですが、親から子どもに対して一方的にルールを押しつけると当然弊害も生じます。

例えば、

  • 携帯を取り上げても、端末さえあればSNSにはいつでもアクセスできる。ネットカフェや友人の家でPCを利用し、より強く依存するようになる。
  • 高校や大学になり、ネットを自由に使えるようになったとき、制限されていた分歯止めが効きにくくなる。
  • SNSから得た情報や最新の流行など、友人との話題についていけなくなる。

スマホを操作する学生出典:stock.adobe.com

無理に取り上げるのではなく、年齢に合わせた付き合い方を話し、上手に扱っていくのが大切なんです。

それでも避けられないトラブルにあってしまったとき、知っておきたい対処も考えてみます。

スルースキルを身につけておく

嫌味や悪口に反応したり、強く言い返すことによって余計にいじめが悪化するケースが多いです。
また、仕返しをしようとして、いたちごっこになる子もいます。

相手が悲しんだり怒ったりする姿を見ると加害者側は余計に面白がるものなので、嫌がらせをされたら、反応せずにスルーするスキルも大切なんです。

悪口を言ってくる子は自分に構ってほしいだけなんだ

合わない考え方の子もいるんだな

反応したら、余計に悪化するから放っておこう

などの考え方を身に着けておくのが役立ちます。

スクリーンショットを保存し、親や先生に相談する

嫌がらせを行う側は、軽い気持ちで投稿してすぐに消すパターンも多いもの。
被害を受けた側が、どれほど訴えても証拠がなければ現実的な話し合いに応じてくれなくなってしまいます。

なので、被害者側になったとき、心の傷だけが残ってしまわないように、証拠を残して大人に伝える術も必要なんです。

スマホを操作する親子出典:stock.adobe.com

もちろん、加害者にならないよう、誰かが傷つく恐れがある発言は安易にしないようにする心構えも身に着けておきたいですね。

誰にも言えないときの相談先をもっておく

思春期になると、いくら親との関係がよかったとしても、全て打ち明けるのは難しいもの。
SNSで傷ついた心を、SNSで癒そうとし、さらなるトラブルに巻き込まれる事件が増加しています。

中でも、「#(ハッシュタグ)」の使い方には要注意。
「#いじめ」「#自傷」「#消えたい」などのワードを書き込むと、共感しあえる人が見つかるときもありますが、「話を聞かせて」と言って近づいてくる危険な人もいます。

親に話せないときは

  • 学校の中で話しやすそうな先生、スクールカウンセラーに相談する
  • 子どものSOS相談窓口(文部科学省)を利用する
  • 塾や習い事の先生、祖父母など、頼れる人を作っておく

など、1人で抱え込まない・素性を知らない人に助けを求めないことを約束しておきましょう。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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