教えてくれたのは……玉井満代さん
株式会社タマイインベストメントエデュケーションズ代表取締役。ICT教材クリエイターとして、国語と算数の力を同時に伸ばす「玉井式国語的算数教室®︎」をはじめとした独自の教材を数々開発。子どもの能力を最大限に引き出す独自の教材は海外からも注目度が高く、インド政府の小学校やインドの有名私立小学校でも玉井式のカリキュラムが正式採用されている。
『玉井式 公式にたよらない「算数的読解力」が12歳までに身につく本』
著者:玉井満代
価格:1,540円(税込)
算数問題を解くのに必要な5つの力とは
算数の問題を解くには、公式を知っている・計算が早いといった能力だけではなく「問題文を読んでイメージし、整理・分析して理解し、思考して知識をつなげ、書いて(立式して)表現する」という算数的読解力が必要だと玉井さんはいいます。
では、算数的読解力とはどんな能力のことを指すのでしょうか。重要なのは、下記の5つの力だそうです。
・読解力
・計算力
・問題の条件を整理・分析する力
・図形の理解力と知覚力
・表現力
これら5つの力に深く作用するのが、私たち人間の「イメージング力」だそう。
そもそも読解力とは、文章を読んで内容を理解する力のこと。真の読解力を身につけるには、書き手が何をいっているのか、何を伝えたいのか、内容そのものを想像して理解できる能力を養う必要があるそうです。この力の基礎となるのがイメージング力です。
例えば、「すがすがしい風が吹いています」という文章を目にしたとき、同時に気持ちの良い風が吹いている中を散歩している場面などが、これまでの体験から引き出され想像できることがイメージング力を働かせている状態です。
場面や状況を頭でイメージできたとき、その言葉や文章を理解して、自分でも使うことができるようになります。つまり読解力を身につけるには、イメージする力を養う必要もあるとのこと。
子どもがイメージング力を養い、読解力を身につけるには、先ほどのような「すがすがしい」という言葉に対する情景がすぐ頭に浮かぶような“体験”を増やしてあげることが重要だと玉井さんはいいます。そのイメージング体験を補ってくれる身近な方法が「読書」なのだそうです。
親が読ませたい本をすすめていませんか?
本屋さんに行き、子どもと本を選んでいると、知らずのうちに親が読ませたい本を薦めてしまったり、年齢に見合った本ではないからと子どもが選んだ本を却下してしまったり……そんな経験はありませんか?
ここで大切なのは、子ども本人に好きな本を選ばせることだと玉井さんはおっしゃいます。子どもは一人ひとりがそれぞれに興味のある分野を持っています。たとえ毎回同じようなジャンルの本を選んできたとしても、それを否定せず子ども本人がワクワクする本をたくさん読ませてあげることが重要なのだそうです。
読書中には意味を調べない
子どもが本を読んでいると、「この言葉はどういう意味?」という風に質問を受ける場面もあるでしょう。ついつい「辞書を引いてごらん」「その意味はね……」と声をかけたくなりますが、ここでも注意したいポイントがあります。
疑問に感じたところがあった場合は、最後まで一気に読んでから調べるよう促しましょう。イメージング力を育てるには、頭の中でたくさん想像して楽しむことが重要なため、立ち止まることなく最後まで全体のストーリー像を頭に入れることの方を優先してあげることが大切です。
子どもが自ら本を読みたくなる環境づくりを
本を読ませるための環境づくりに悩んでいる親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。
ポイントは、リビングなど子どもの目につく場所に常に本を10冊程度おいておくこと。そしてその10冊は、子どもが好きそうなジャンルや、前に子どもが好きで繰り返し読んでいた本と似たジャンルなどがおすすめです。
「ここに置いておくから好きな本を選んでごらん」というように、読むことを強制せずに子どもが自主的に選び取って読む環境を作ってあげましょう。
ある程度期間が経過したら、再び新しい10冊に替えておく……これを繰り返します。無理に本を大量買いする必要はありません。図書館で子どもが好きそうな本を10冊借りてくるので十分。その中で、子どもが何回も読むほど気に入った本、またはそばに置いておきたい本があれば購入すればいいそうです。
このように本が身近にあるという環境づくりや読み方の工夫を大人が心がけてあげることで、自然とイメージング力が磨かれ、読解力が養われていくそうです。
どれも日常的に取り入れやすい方法なので、すぐに実践したいですね。