親として、一貫性はとても大事
子どもが言うことを聞いてくれない状況が続くと、その状況に合わせて言うことがどんどんブレていくことがあります。
「夜10時には寝ること」と言っていたのに「宿題が終わってないなら終わるまでがんばりなさい」とか「今日は遅くなっちゃったから11時まででいいよ」とか。
「買わないよ」と言っていたのにゴネられて「じゃあ、しょうがない」と買ってあげたり。「買い食いはだめ」と言っていたのに「お腹が空いたならしょうがない」と言ってみたり。
子どもって大人が思っているよりずっと大人の言動を見て判断しています。
小さい頃は、親の言う「良い悪い」の判断軸が分からずに迷い、大きくなってくると大人の判断軸がブレることを知った上で説得や力技で自分を正当化しようとしてくることもあります。
親は「状況を見ながらその都度適切な判断をしている」というのはわかります。ですが、あまりにも言うことに一貫性がなければ、約束を守る必要性を感じなくなっていくのは仕方がありません。
子どもとの約束で、本当に大切なことはなんでしょうか。
「ゲームは1日1時間まで」と決めたとしたら、その理由はなんでしょうか。
「何となく1時間位がちょうどいい気がする」程度の約束であれば、親だってその約束を守れないでしょう。1時間という時間が大事なのか、いつまでもダラダラとやり続けて他のことをやらなくなることが問題なのか。
「寝る前には片付けをする」と「10時には寝る」という約束があったとしたらどうでしょうか。
10時になったら片付けをしていなくても寝たほうがいいでしょうか? それとも時間を過ぎても片付けしたほうがいいでしょうか?
大事なのは、正解ではありません。
親の一貫性です。
守って欲しい約束は、本気で約束する
子どもだからといって、なんでも親の言うことを聞いてくれるわけじゃありません。気分が乗らないとか、やりたくないとか、面倒くさいとか、他のことやりたいとか、約束を守らないための誘惑は山程あります。そもそも、親が「〇〇しなさい」って言うことなんて、子どもにしてみたら面白くないことの方が多いのではないでしょうか。
宿題をやると言ったのにやらない。お風呂に入ると言ったのに入らない。そりゃそうです。だって宿題するよりテレビ見てた方が楽しいし、お風呂に入るのだって面倒くさい。
そもそも約束とは、お互いにとって面倒くさいことだったりもします。守って欲しいと思うなら、親もそれなりの覚悟が必要だと思うのです。
ゲームを1時間以上やって欲しくないとしたら、その理由をちゃんと説明するところがスタートになるでしょう。その理由は、もしかしたら何度も説明することになるかもしれません。それに、例外的に時間を延長してあげることだってあるでしょう。
だとしたら時間を延長する理由も、話してあげます。そうすると「今回は例外なんだ」というのが子どもにも伝わります。
また、約束の内容を変えるときもあります。
ゲームの時間を2時間までOKにする、寝る時間を10時30分まで延長するなど。
こうした変更もなし崩し的に伸ばすのではなく、子どもと話し合って決めるようにします。
一方的に押し付ける”ルール”ではなく、一緒に決める”約束”にしよう
「〇〇しなさい」と口で言うのは、とても簡単です。強く言って守らせようとするのも楽なコミュニケーションです。
それに対して、一緒に話し合いながら決めていくと言うのは、なんとも手間も時間もかかる面倒なコミュニケーション。
しかも、親は言いっぱなしではなく、約束を一緒に守るために自分もその約束にコミットする必要があります。
忙しい毎日の中で、そんなことをいちいちやってられない、という親御さんも多いでしょう。
だから、なにも全部が全部でなくていいと思うのです。
ただ、大事な約束や本当に守って欲しいことに関しては。口でいうだけじゃなくて、一緒にその約束にコミットしてみる。
そうすることで約束の大切さは、子どもにもちゃんと伝わります。
それでも、なかなか守れないことだってあるでしょう。時間はかかるかもしれません。ですが、親も一緒に約束にコミットすることで、親自身が自分の一貫性に自信を持つことができるはずです。
大事なのは、子どもが言うことを聞くことではありません。
お互いが、約束に対して誠実であることではないでしょうか。