心配する親、干渉を疎ましく思う子
心理士として働いていると、親子の距離感の難しさをよく感じます。
- 「つい干渉してしまい、口うるさく言ってしまう」と悩む親と、「親は自分を信用して放任してくれている」と、親に感謝している子。
- 「うちは子どもに任せているんで」と言う親と、「何をするにも親の反応を見て行動してきた」と、気を遣い続けてきた子。
- 「うちの子は私がいないと何もできないから」と嘆く親と、親の知らないところで恋愛やバイトを楽しんでいる子。
親子双方から聞くと、まったく異なる主張があり、驚くときも多いです。
なぜ、親がしているつもりの「心配」は、子どもに「過干渉」と受け取られるのか。
また、なぜ親は子どもが抱いている印象に気づけないのか。
過干渉と思われてしまう理由や対策について、考えていきます。
過干渉な親の特徴
子どもは親にとっての生きがい
共働きの家庭も増えており、仕事と家庭を両立させる方が多いのが現代の特徴。
学校の友人と会話する中でも、共働きや介護、下の子の育児などで親が忙しくしている家庭がメジャーになってきています。
そんな中、子どもがもつ親の理想像も「外でも家でも輝いている親」となりやすいよう。
一方で、子どもが一番の生きがいになっていたり、毎日全力で子ども中心の生活にしてあげようとする親は、子ども側にとって重荷になりやすいんです。
特に、子どもが小さい頃に病気がちだった、他の子とうまくできていなかったなど、心配な過去があると、成長してからも子どもから目を離しにくいもの。
子どもと親、それぞれのライフステージに合わせて、親子の距離感も見直していけるといいですよね。
子どもにとっての「正解」は親が知っている
親が子どもにとっての「正解」を知っていると感じている方は要注意。
もちろん、家庭によって「大学には行ってほしい」「バイトは高校を卒業してから」など、教育方針があるのは大切です。
しかし、子どもにとっての正解は、「〇〇レベル以上の大学に行くこと」、「結婚するまでは地元にいること」などと決めてしまうと、子どもが息苦しくなります。
「親が子どもに抱く理想像」と「子どもにとっての正解」は別物ですし、そもそも人生に正解はありません。
子どもが生きている今は、親が生きてきた時代とも環境とも全く違います。
「親自身がこの道でよかったから」「親がこれを選んで後悔したから」という経験は、通用しないときの方が多いでしょう。
「今はそんな時代になったんだ」「わが子ながら、わからないものだな」と距離を置いて見守る姿勢が、子どもにとってありがたい存在になるんですね。
子どもには失敗しないように生きてほしい
どんな親も、子どもが悲しんでいる姿は見たくないですし、辛い目にあってほしくないもの。
ですがときに、心配の大きさから、子どもの失敗経験を奪ってしまうときもあるんです。
例えば、
- 子どもがチャレンジしてみたい高校と、確実に受かる安全圏の高校。子どもが不合格で悲しむ姿を見たくない。子どもとは話し合わず、安全圏の高校だけを受けさせる。
- 学級委員をやってみようかなと話す息子。しかし投票で負けてしまうとショックだろうし、周りからの目も気になるだろうから、「やめておきなよ」と止める。
受験や進学には家庭の金銭事情も関わってきますので、一概には言えませんが、「子どもの意志でチャレンジする経験」は何にも代えがたいもの。
話し合っても意味がない、どうせ無理と思い、親が決めてしまうと、のちの後悔に繋がりかねません。
また、子どもにとっての一経験を大きくとらえやすい親御さんもいらっしゃいます。
仮にクラスのイベントで失敗しても、選択を誤っても、ほとんどの場合一生の傷になることはありません。
失敗を避けさせようとするよりも、失敗したときの受け口になってくれる存在がいた方が、子どもが自分の能力を見出だしやすくなります。
「何かあっても大丈夫」と大きく構えてあげられるといいですよね。