ダラダラするのは悪いこと?
もう長い間、子どもが忙しすぎる、ということは言われ続けています。ベネッセ教育総合研究所が行った調査では「忙しい」と感じている小学生は51.2%、「もっとゆっくりすごしたい」と感じている小学生は74.2%にもなりました。(※ ベネッセ教育総合研究所「第2回 放課後の生活時間調査」2014年)
一方の大人も「毎日忙しい…」と感じている人も多いのではないでしょうか。
休日はもちろん、帰宅後も家事育児の合間をぬって「学び直し」「複業」に励む親御さんもたくさんいます。そもそも仕事が忙しくてプライベートな時間がほとんど取れないって人もいるでしょう。
こうして「有効で有意義に時間を使うこと」を良しとする価値観が広まったことで、大人であっても休日をダラダラ過ごすことで罪悪感を感じてしまうようになりました。
正直に言えば、僕自身にもその傾向があります。
ダラダラ、ボーッと過ごすよりも、学びになりそうな本を読んだり、仕事を進めたり、やりたいと思っていたことをひとつでもこなす方が「充実」した気がしてしまいます。
ただ、僕は自分のその傾向に生き苦しさを感じることもあるのです。
たとえば、妻は「休日は一日中寝るんだ!」と、家でテレビを見たり、眠ったり、ゲームをやったりして過ごします。その時間が彼女にとって至福の時間なのです。その姿はダラダラしているだけのようですが、とても充実しているように感じます。リラックスして、明日への活力を充電している。
対して、僕は同じようにダラダラしようと思うと、うまく過ごすことができません。
なんだか、自分はなんて時間ケチなんだろうな、と思ってしまいます。
充実した時間がストレスになることもある
子どもには充実した時間を過ごして欲しいと思いがちです。そのせいで失敗したなと思ったことがあります。
ひとつは習い事。週1でやっていたプログラミング教室に加えて、娘が自分でやりたいと言った「プール」を追加することに。でも数ヶ月したらどんどん元気がなくなっていきました。
娘に聞くと「プールやるとすごく疲れる」とのこと。放課後にプールに行って、帰ってきたらすぐにご飯を食べて、お風呂に入って、宿題と明日の準備をしたら就寝。帰宅から寝るまで、休む暇もありません。
子どもにとっては眠る時間だって「予定」です。大人だって一日中動き回った夜に、すぐ寝たらいいのは分かってるけどついテレビ見ちゃう、みたいなことってありますよね。あの時間にきっと心をリラックスさせているんだと思います。
ところが、子どもはそれが許されない。だからベルトコンベアに乗せられたように就寝までをこなすことになる。これが、娘の言う「疲れた」でした。
もうひとつは、休日。家にいても暇だろうと思って、キャンプとかお出かけをいっぱい予定していました。そしたら、やっぱり「休みたい」と言うようになったのです。それを聞いて僕は「じつはパパも休みたい!」と共感し合いました。
充実した時間、というのはじつは親のエゴであることもある。
この失敗から、ぼくはそんなことを学びました。
ダラダラする時間を「尊重」してあげよう
ダラダラする時間は、人にとってとても大切な「くつろぎの時間」と言い換えられます。
You Tubeを見ていようが、寝ていようが、ゲームをしていようが。それぞれのやり方で、それぞれの心と身体を休めているのです。
その時間の使い方は、相手がパートナーであっても、子どもであっても、ちゃんと「尊重」するべきだと思います。
自分の価値観で「これをやった方がいい」「この過ごし方は時間の無駄」などと決めつけては、お互いストレスになるだけ。
相手がダラダラしている姿を見て、自分がイライラするなんて必要はないのです。
自分は自分で、好きな時間を過ごしたらいいだけじゃないでしょうか。
ダラダラ時間をよい時間にするためのコツとして、よく言われているのが「ダラダラすることを予定に入れる」ということ。
何となくやりたいことができなくて過ごすと、後悔してしまいがち。でも、「よし! この時間はダラダラするんだ!」と決めることで予定通りダラダラできたって思えるようになる。
自分なりに工夫をしながら、よいダラダラ時間をみんなで過ごすようにしていきましょう。