そもそもセクシュアリティとは?
セクシュアリティとは、性のあり方。主に以下の4つの要素で成り立っています。
からだの性(生物学上の戸籍に表記される性)
性器のみで判断されると思われがちですが、性腺や性染色体など、いくつかの要素から医師が判断する戸籍上の性となります。
身体の性に関する機能・形・発達が男女の典型的状態と一致しない「DSD(Disorders of Sex Development):性分化疾患」を抱える方もいます。
性自認(自分自身が認識している性)
身体の性と一致している方はシスジェンダー、異なる性を自認している方はトランスジェンダーと表現されます。
どちらかわからない方も、決めていない方もいるんです。
性的指向(好意を抱く性)
異性を好きになるヘテロセクシュアル、同性を好きになるレズビアン・ゲイ、両方を好きになるバイセクシュアルがあります。
また、好きになる性をもたないアセクシュアル、恋愛感情を持っても性的欲求を抱かないノンセクシュアル、好きになる性が性別に囚われないパンセクシュアルの方も。
後天的に身につく「嗜好」とは異なり、先天的に得ているものが「指向」といえます。
性表現(表現する性)
言葉遣いや服装、振舞いなど、「見た目や言動で表す性」が性表現といえます。
性自認と必ずしも一致するわけではなく、”性自認は女性・性表現は男性”という方もいます。
つまり、自身を女性と捉えていたとしても、スカートを履く・メイクをする等の表現をするかどうかは個人に寄るのです。
セクシュアリティを考えるうえで大切なこと
人は、わからないものや曖昧なものに名前をつけたり、分類して理解しようとする傾向があります。
自分の想定する型にはめられない人に対して、抵抗をもつ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし先に述べたように、セクシュアリティは一概に分類できるものではなく、様々な要因を踏まえて理解されています。
「男性」「女性」と簡単には分けられない側面もあり「性のあり方はグラデーション」ともいわれています。
これからは、「本人たちが語るまま」の個性を受け入れる姿勢こそが求められていくのではないでしょうか。
小学生から知っていてほしい性への配慮
カミングアウトへの抵抗や性自認の曖昧さから、正確な統計を取るのは難しいようですが、10人に1人程度は男女どちらかの性別に分けられない方がいるといわれています。
「家族や身の回りの方にはいないので関係ない」のではなく、「子どもがこれから生きる社会で出会うかもしれない」と考え、お子さんと理解していくのが大切。
「性的指向」は思春期以降に自覚する人が多いものの、身体の性や周囲から言われる性役割に違和感を2歳頃から持ち始める子もいます。
- 男子、女子専用トイレの使用に抵抗がある
- 人前で着替えたくない
- ~君、~ちゃんと呼ばれるのが嫌
- ”男の子→僕・俺”、”女の子→私”と表現するのが嫌
- 好きな異性の話を避けたい
みんな一緒ではない・触れられたくない話がある・考えを押しつけない。
「男のくせに」「女の子なのに」と言われたくない子がいる。
相手を傷つけないために、友達との関わり方を家庭で話し合えるといいですよね。
正しい知識を身につけるために絵本を活用するのもおすすめです。
「出会ってない」のではなく「見えていない」
セクシュアリティの悩みを抱えている人は身の回りにいないのではなく、「見えていない」とも考えられます。
ニュースをみたとき、子どものクラスメイトとして出会ったとき、型に当てはめて分類するのではなく、枠に捉われず考えていけるといいですよね。
【参考文献】
性別に違和感がある子どもたち (子どものこころの発達を知るシリーズ 7) ,康 純 ,合同出版(2017)