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他人の不倫や過ちに対して「許せない!」と親が声をあげることによる“子どもへの影響”を考える

家族・人間関係

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 他人の不倫や過ちを許せず「許せない!」と親が声をあげることによる“子どもへの影響”を考える

2022.05.22

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 先日、TVでニュースを見ていたら娘がぷりぷり怒りながら言うのです。 「そんなにこの人責めたらかわいそうだよ!」 連日話題になり、どのチャンネルをつけてもやっているニュース。その中でコメンテーターの発言や放送の内容がその当事者を責め続けていたのです。 娘は7歳。ある程度ニュースの内容は理解しつつも、しつこくしつこく目に入るニュースに嫌気がさしたのでしょう。 ぼくは、娘のこの発言を聞いて「これはいかん」と思いました。 今日は、「正義中毒」に子どもをさらさないためにやっていることについて書いていきます。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

自分が「正義中毒」になっている自覚はあるか?

テレビやSNSを見ていて「これはダメだよな〜」と思うことはよくあります。
犯罪、不倫、虐待、いじめ。世の中は暗いニュースで溢れているし、それを見れば憤りや呆れる気持ちになったりします。

そうした「これは間違ってる!」「正しい意見を言わないと!」「こんなことする人は絶対に許せない!」と思ってしまうことを、脳科学者の中野信子氏は「正義中毒」と名付けました。

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SNSを通して、これまでだったらコンタクトを取ることなんてできなかった有名人やニュースの当事者と簡単に誰でもコンタクトを取ることができるようになっています。
良かれと思って、もしくは「どうせ見てないだろう」と思って、または「このニュースに言及すれば“いいね”や“リツイート”が稼げるだろう」なんて考えて、言葉を発してしまう。

こうした行為がとても危険だし、必要以上の社会的制裁を、なんの権利もないはずの一般市民が攻撃として与えてしまう。それはとても怖いことだよね、というのもよく話題になっています。

でも、たとえSNSで発信しなくても、当事者本人に言ってなくても「正義中毒」の弊害ってあるんじゃないかと思ったのです。

先に書いたニュースの件。
ニュースを見ながら、ぼくもコメンテーターかのように自分の意見を口にしていました。
話したのは家族や、もしくは何気ない独り言だったかもしれません。
でも、そういう話をしているとき。ぼくの娘も結構な確率でその場にいたのです。

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「近くにいて、ちょっと聞いてただけでしょ? 何か問題ある?」
と思うでしょうか。でも、逆の立場だったらとても不愉快だろうなと想像しました。

たとえば、ぼくはSNSで攻撃的な投稿が流れてくると、とても嫌な気持ちになります。
誰も彼もが、自分の正義を武器に人を攻撃している姿は気持ちのいいものではありません。

自分のSNSは、自分でそういう投稿をブロックしたりして、嫌な言葉を発する人をミュートさせることができます。そうやって自分の裁量で自分を守ることができる。

だけど、子どもは「親をブロック」することはできません。
会話をミュートすることもできない。

親がニュースの悪口を言い始めたから自室に逃げ込む、なんてのはとても豊かで思いやりのある家庭像には思えないのです。

意見を投げっぱなしにしないで、一緒に「考える」

もしも自分の子どもが「正義中毒」になってしまったら、って思うととても怖い。
かといって、世の中のすべてに無関心でいればいいってことでもない。

ぼく自身が無意識に、不愉快な言葉を投げ捨てていたことを自覚してから、どうすればいいか考えてきました。

そこではじめたのが「一緒に考える」ことです。

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子どもと大人の一番の違いは、経験と視野の広さの違いです。
つまり、どうしても近視眼的になってしまう出来事の側面を、(子どもよりも)多角的に見ることができます。

被害者だけじゃなく、加害者の側に立ったらどんな視点でこの出来事が見えるだろう?
その周辺にいる人、当事者家族、友人、メディア、コメンテーターはどんな気持ちで発言してるんだろう?
こっちの番組ではこう言ってたけど、あっちの番組ではこう言ってるよ?

自分の意見を、言葉にして放り出すだけなら、それはただのストレス発散です。
自分一人、部屋でブツブツ言ってる分には誰にも迷惑もかけないですが、それを聞いている人や、SNSで目にした人は「嫌だな」と思うかもしれません。

それよりも、その出来事から自分自身や子どもが何かを学んだり、考えたりするキッカケにすることだってできるのです。

最近のうちの娘のトピックスは「プレゼン」。
毎朝のニュースでコメンテーターがしているプレゼンを見ながら、紹介されているコンテンツや、プレゼンする人の話し方などについて、自論を展開しています。

少しずつではありますが、一緒にニュースの話をする機会が増えてよかったなと思っています。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント 家事シェア研究家のnote:https://note.com/tomoari_miki

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