「泣いて黙ってしまう子」に共通する背景と対処法

家族・人間関係

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2023.09.27

臨床心理士・公認心理師のyukoです。小学校高学年になって周りの子の色がはっきりしてくる頃、強い主張に押されて黙ってしまったり、何も言わず我慢してしまう子は多いです。そのような子に「黙っていてもわかってもらえないよ」「何考えているのか言わないと」と伝えても、すぐに変わるのは難しいもの。うまく主張できない子にはどのように関わっていけばよいのでしょうか。

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理由を言わずに固まってしまうのはなぜ?

女の子4人グループでいつも一緒にいるAちゃん。時折BちゃんがAちゃん以外の2人と内緒話をするので一人ぼっちの時間があるよう。また、1週間前Bちゃんに貸したお気に入りの下敷きがまだ返ってこないけどAちゃんからは言いだせないという。
このことを聞いた母親が「いやなときはいやって言わないと」と伝えても、Aちゃんは何も言わず固まってしまう。

悲しむ子出典:stock.adobe.com

Aちゃんのように、「はっきり言いなさい」「自分の気持ちを伝えないといけないよ」など言われても黙ってしまう子は多いです。
なぜ、主張すべき場面で口を紡いでしまうのでしょうか。

自分がどのように感じているのかわからない

大人は様々な経験から、自分がこうされたら悲しい・嬉しいなど、状況に応じた自然な感情を認識できます。
子どもでも、気持ちに敏感で上手に言語化できる子もいます。
ただ一方で、もやもやはするけどこの気持ちが何なのか自分でもわかっていない子も多いんです。

大人からするともどかしいですが、まずは「なんだかもやもやするよね」という段階から寄り添っていくのが大切になってきます。

相手の反応を先読みしすぎる

もし貸した物を「返して」と伝えたらどうなるんだろう。
「もう返した」って言われるかも。「何のこと」って聞かれたら?無視されたらどうしよう。

このように、心配が先立ち何も言わず我慢してしまう子は多いです。

「なんで嫌って言わないの?」と聞いてくる親に対しても、自分が何か言ったら怒られるかも、悲しませるかもしれないと感じて黙秘してしまう子も。

人間関係に慎重になりやすい点はメリットに働くときもあれば、「何も言ってこないから大丈夫」と周りに思われてしまうなどのデメリットもあります。

「もしかしたらこういう可能性もあるんじゃない?」「ママだったらこう思うけどなあ」など、考えを広げられるような声かけがあるとよいでしょう。

黙るのが対処法となっている

自分から何か言って揉めたら嫌だし。何も言わず我慢していれば大丈夫。
そう考えて一歩引いて口を紡いでいる子もいます。
家庭で感情的な衝突をよく見ていたり、身近な人が怒りっぽいと、感情のスイッチをオフしやすくなる子も多いよう。

悲しむ子出典:stock.adobe.com

たしかに、余計なことを言って相手を傷つけたり、事態を荒立てないためには静かに我慢しておくのが得策なときもあります。
ただ一方で、周りに流されてしまったり、自身の本音を見失ってしまうなどの弊害もでてくるでしょう。

まずは「何を言っても大丈夫だから教えて」など、主張を受け入れられる経験を積んでいく必要があります。

言えないときに叱るよりも、言えたときの褒めが大切

何かが起きたあとに子どもが、「あのとき本当はこう思ってたんだ」と打ち明けたり、「本当はこうしたかったけど言えなかった」と伝えるときがあります。
そんなとき、「どうしてあの場で言わなかったの?」と叱ったり注意する親御さんは多いです。
そして「次からはそのとき言いなさいね」と伝えるも、結局また言えずに終わり、似たことが繰り返される。

このパターンは悪循環で、「言えなかった自分」を否定的に捉え、ますます自信がなくなり主張しにくくなってしまうんです。

「どうしてその時点で言わなかったの?」と言いたい気持ちはぐっと抑えて、「思っていたことを教えてくれてよかったよ」と肯定的に受け入れるのが第一です。

子どもを褒める出典:stock.adobe.com

そして、言いにくかった理由を一緒に考えていくのが支えとなります。

言えなかったときに怒られるよりも、しっかり自分の意見を伝えられたときに褒められる方が「これでよかったんだ」と感じて次に繋がりやすいもの。
「すごいじゃん」「よかったね」「大きな変化だね」など、前向きな言葉をたくさんかけていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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