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15歳の年の差と国際結婚。家政婦の志麻さんロマンさん夫婦に聞いた“幸せの法則”

家族・人間関係

 タサン志麻

2021.08.16

伝説の家政婦・志麻さん。本屋さんのお料理コーナーには、志麻さんのレシピ本がズラリと並んでいます。限られた時間の中で、冷蔵庫にある食材を使ってお店のようにおいしそうなお料理を作る志麻さんをテレビで見たことがあるという人も多いのでは? 私生活では、15歳年下でフランス人のご主人・ロマンさんと2人の息子さんを持つママさんでもあります。今回の“夫婦は続くよ、どこまでも”では、普段、メディアで見ることのない、志麻さんの妻としての顔を見せていただくことができました。志麻さんを深い愛で支えるロマンさんのお話の中には、「幸せになる法則」がたくさん!

15歳年の差がある二人が出会ったきっかけは?

――お二人が出会ったきっかけ、お互いの第一印象を教えて下さい。

ロマンさん:僕の実家は、フランスで電気屋さんをやっていて、ゆくゆくは、兄と会社を作ろうと考えていたんです。そのために必要なことを学びたくて、19歳のときに日本に来ました。日本での仕事を探していたら、友人からレストランの仕事を紹介してもらえたんです。そのレストランに志麻が働いていました。第一印象は、「厳しい人だなぁ」でした(笑)。

志麻さん:ロマンの第一印象は、「好青年」でした。バイト感覚で働くフランス人が多い中、まじめに仕事を覚えようとしているところや、礼儀正しくて勉強熱心なところを見て、すごく日本人っぽい人だなと思いました。

――お互いを異性として意識しはじめたきっかけはなんでしたか?

志麻さん:ロマンの顔は、私の好きなタイプなんです(笑)。でも、15歳年下だとわかっていたので、恋愛対象として見ちゃいけないんだろうなと思っていました。

ロマンさん:僕は、最初から志麻を恋愛対象として意識してたよ(笑)。

志麻さん:出会って3ヶ月くらい経ったころ、ロマンから、「付き合ってほしい」と言われました。最初は、冗談かなと思ったけど、話を聞いてみたら本気で言ってくれているのがわかりました。でも、年の差があるので、「私の年齢的に、もし付き合うなら遊びとしては無理だよ」と伝えました。そしたら、「2ヶ月経っても、僕の気持ちが変わらなかったら付き合ってくれる?」と聞かれたんです。

ロマンさん:2ヶ月と言ったけど、その間も僕はけっこうしつこくアプローチしていました。僕、好きになったらけっこうしつこいんです(笑)。

志麻さん:そうだね(笑)。ロマンはその間に、フランスのご両親や兄弟に、結婚したい人がいるということを相談していたみたいです。

ロマンさん:僕の家族から反対はなかったです。「ロマンの好きにしたらいいと思う」って言ってくれました。本当は、1年でフランスに帰る予定だったのに、志麻と出会って、結婚をして8年が経ちました。あのとき、日本に来て志麻に出会えた僕は、すごくラッキーだね。

――志麻さんは、最初に感じていた歳の差に対する気持ちをどのようにクリアにしたのですか?

志麻さん:付き合いはじめて、ロマンのことを知れば知るほど、年の差を感じなくなったんです。自分が二十歳だったころと比べると、ロマンはすごくしっかりしているし、自分をしっかり持っていてぶれないんです。そういう部分を知ってどんどん好きになりました。

タサン志麻

――国際結婚ですが、お互いの文化や習慣の違いなどでぶつかったことはありますか?

ロマンさん:全然、ないです。

志麻さん:私は、学生時代、日本の社会に生きづらさを感じているときにフランスと出会い、フランス文化を学び、18歳でフランス料理の世界に入りました。もともとフランスの感覚があっているのかもしれません。そして、ロマンは礼儀正しくて、私の両親に対しても気を遣ってくれたり、日本人に近いところがあったりするので、お互いの感覚がすごく良いバランスなのかもしれないですね。

――フランス料理を学び、フランスで暮らした経験もある志麻さんですが、ご自身がフランスの人と結婚するかもしれないという気持ちはありましたか?

志麻さん:友達も職場もフランス人ばかりだったので、頭のどこかで「結婚するならフランス人がいいな」と思ったことはあります。でも、まさか自分が結婚をするとは思っていませんでした。私は、料理で生きていくものだと思っていたので、結婚はしないだろうなという気持ちのほうが大きかったんです。

ロマンとの出会いは運命だと思っています。自分の人生に迷いを感じていた時期に出会ったのですが、彼のおかげで自分の考えがすごく明確になりました。きっと、ロマンと出会っていなかったら、私は結婚をしなかったと思います。

――ロマンさんとの結婚を報告したとき、志麻さんのご両親はどんな反応でしたか?

志麻さん:「15歳下? しかもフランス人?」って、爆笑していました(笑)。私は、子どものころから自分のことを両親になんでも報告するタイプではないんです。いつも急な報告で両親を驚かせてきたので、「志麻らしいね」って感じでした(笑)。

子どもとは別の部屋に寝る理由

――3歳と1歳の息子さんがいらっしゃいますが、お二人の子育てに関する考えを聞かせてください。

志麻さん:例えば、子どもと一緒に寝るか寝ないかということ1つにしても、我が家では当たり前のように「子どもとは別に寝るよね」という感じで意見が分かれることはないです。

ロマンさん:そう。うちの子どもたちは、生まれてからすぐに子どもだけで寝ています。下の子はまだ1歳だから、少しぐずることもあるけど、「おやすみ」を言って僕たちが部屋を出たら、すぐに眠るよ。

志麻さん:私も、子どものころから、寝るときは両親と別々の部屋で寝ていたんです。私の両親は日本人ですが、親と子どもの間にしっかり境界線があって、すごく夫婦の時間を大切にするんです。両親がデートに出かけることもよくあったので、私は、家族の中で夫婦が一番の絆を持っていなきゃいけないということを小さいころから感じていました。親と子だからといって、変になあなあにならないところ、厳しくするべきところは厳しくするところ。そういうことに自然に馴染めたのは、育った環境が影響しているかもしれないですね。

ロマンさん:僕は、日本人の夫婦は子どもと一緒に寝るけど、そうしたら夫婦の時間はどうするの? って思います。子どもが寝たあとに夫婦の時間があるのは自然なこと。子どもと一緒に寝ていたらその時間を持つのは大変ですよね。

志麻さん:フランス人は、子どもが生まれても夫婦の絆や関係性が変わりません。それが、子どもと一緒に寝ない理由のひとつ。結婚をしても、妻と旦那さんじゃなくてカップルという感覚だし、パパ、ママとは絶対に呼び合わないんです。

ロマンさん:僕は、志麻のことを、妻とかママとかではなく、「好きな女性」として見ています。寝る前も、必ず志麻にキスしているよね。

志麻さん:ロマンは毎晩、「ジュテーム(愛してる)」って言ってくれるし、挨拶代わりのキスも日常的にします。フランス人は、親子でも、「ジュテーム」と言うし、会えば、ハグやキスをするのが当たり前。気持ちをちゃんと言葉にするとか、行動に出すというのはすごく大事なことだと思うんです。我が家は、日本に住んでるけど、子どもがいやがらない限りはずっとやり続けたいと思っています。

タサン志麻

夫婦の会話量は、夫婦仲を深くする

――ロマンさんから見た、「日本の夫」「日本のお父さん」のイメージは?

ロマンさん:日本の男性はすごく働きものだから、会社の上司と飲みに行ったりするのも当たり前と思ってる。でも、その代わり、子育てを奥さんに任せきりにしている人が多いなと思うし、それは、「もっとしっかりしなさい!」って感じます。そうすると、子どもはお母さんとの関係ばかりが濃くなり、お父さんは子どもに何も見せてあげてないことになると思うんです。それって子どもは幸せなのかな?

志麻さん:ロマンは、いつも子どもたちと全力で遊ぶんです。保育園から帰ってくるときも、3人の声が遠くから聞こえてくるんだけど、ロマンが1番楽しんでいる気がします。

ロマンさん:妊娠してる間、奥さんはすごく大変だったんだから、子どもが生まれてから20歳になるまでの間はお父さんもたくさん頑張ろうと思う。フランスは、共働きが当たり前だから、子育ても平等に関わるのが当たり前なんです。

志麻さん:ロマンは、産後もしっかりフォローしてくれて、授乳以外はなんでもしてくれました。私がイライラしていても、すぐにそれを察してくれて、すごく優しいんですよ。「飲み物ほしい?」とか声かけてくれたり。だから、産後クライシスのようなことは全くなかったです。

ロマンさん:一度、おっぱいあげようとしたら、志麻に「ダメーっ!」て怒られました(笑)。僕は、だんだん志麻に怒られるのがおもしろくなっちゃった!(笑)。世の中のパパさんも、奥さんに怒られるのは愛だねと思ったほうがいいです。

志麻さん:フランス人カップルは、会話量が多いんですよね。仲が良いうちの両親でも、フランスの両親と比べると少なく感じるくらい。普段からしっかり夫婦の会話をしているから、小さな言葉に突っかかったりしないんだと思うんです。会話をいっぱいすることはすごく大切だし、スキンシップはより大切だと思います。

――お二人は、夫婦ケンカをしますか?

志麻さん:よくします(笑)。ロマンは、靴下をすぐなくすんですよ。あと、ポケットの中がすぐ小銭にだらけになるんです。それがケンカの原因になることが多いですね。

ロマンさん:ポケットの中に小銭がたくさんあると安全な気がするんだよね。だから、小銭はなかなか直せない(笑)。でも、ケンカの原因はだいたい洗濯のことだよね? 毎日怒られる。「ロマン! 靴下、どこ?」って(笑)。

志麻さん:私は、小さなことでも我慢をせず、思ったときに口に出して伝えるんです。何回怒っても直らないことばかりだけど(笑)。それは、しょうがないなと思うし、自分も直せないところたくさんあるから良いんです。大事なのは、モヤモヤを溜めないこと。私は、ちょこちょこ言っているから、大きな爆発がないんだと思います。

ロマンさん:日本人は、思っていることを言わないイメージがあるけど、志麻ははっきり言うタイプ。けっこうフランス人っぽい。志麻が怒ったら、僕が負けるのはわかっているから、とにかくすぐ「はい! すいません!」って謝る。それが一番(笑)。

今度は、仕事も二人三脚で。家政婦であることが、私の選んだ道

志麻さん:結婚後、私は家政婦。ロマンは、飲食店で働いていました。飲食は、朝方帰ってくる仕事だったので、子どもが生まれてからはすごく大変でした。その後、コロナ禍で飲食の仕事ができなくなったり、私の仕事の環境もいろいろと変化したりしたので、今は、ロマンにマネージメントやスケジュール管理、アシスタント的なことをやってもらっています。今後、ロマンがやりたいことを見つけたら、そのときは応援したいと思っています。ただ、今は子育てと私の仕事も大切な時期なので、お互いに話し合いながら二人三脚でやっていこうというタイミングです。

ロマンさん:今は、志麻にとってすごく大切な時期だから、志麻がやりたいことを手伝おうと思っています。僕はまだ27歳でしょ? この先、何をやりたいかを考える時間や挑戦する機会はいくらだってあるから。

志麻さん:お互い、子どもたちとちゃんと関わっていたいし、さみしい思いをさせたくないというのが大前提。その上で、私は家政婦という仕事をずっと続けたいんです。本を出すにも、インタビューに答えるにも、「家政婦」という立場で受けたいし、レシピを作っていきたい。実は、昨年すごく忙しくて、家政婦の仕事があまりできていなくて辛かったんです。やっぱり、地に足の着いたというか、家政婦として普段頑張って働いているお母さんたちの立場になってレシピを作ったり、発言したりするのは、家政婦の仕事をしていないと意味がない気がしているから。

そうすると、テレビ出演の仕事が減ったりするから収入が減ることもあるかもしれないので、「お金がなくなったらどうする?」という話はよく二人でしています。計画性がないと思われるかもしれないけど、家政婦であることが、私の選んだ道。自分たちの進みたい方向はぶれたくないなと思っています。

ロマン:僕は全然いいよ。お金がなくなったら、僕が何か仕事を探して働くから。もし志麻が、「明日、全部辞めたい」と思ったらそれでいいと思うし、好きなことをしたらいいと思う。

――20年後、お二人はどんな夫婦になっていると思いますか?

志麻:関係的には、今と何も変わらないと思います。だけど、私はきっとおばあちゃんになっていると思うから、なるべく若々しくいられるように頑張ろうかな(笑)。

ロマン:年齢なんて考えず、毎日を楽しく過ごして、一緒にいられたらそれでいいよ! 

 

なんと! この秋、志麻さんとロマンさんご夫婦に第3子が誕生予定。インタビュー時は、志麻さんのつわり真っただ中の時期。3人目にして最もつわりがひどいということで、ロマンさんが二人のお子さんの保育園の送迎や遊び相手になって毎日ヘトヘトになっているというお話も聞けました。どんな質問にも、二人で顔を見合わせ、微笑みながら同じ内容の回答をする姿がとても微笑ましかったです。「言葉にして思いを伝える」。夫婦として共に生きていく中で、とても大切だけどつい忘れてしまいがちなことを、お二人は大切にされている。だからこそ築けている素敵なご家族なんだなと感じました。

お二人のお話には、幸せの法則がたくさんありました。素敵なお話を、ありがとうございました。

著者

上原かほり

上原かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。