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きっかけはリコンだった。娘の「いいよ」が背中を押した #私たちの移住ストーリー

カルチャー

 【移住白書】きっかけはリコンだった。娘の「いいよ」が背中を押した

2021.05.30

今いる場所にはいたくない、もしくは今いる場所では叶わない夢や希望があるなら、思い切って「移住」という選択肢もある。新型コロナウイルスによる様々な生活の変化はより「移住」のハードルを下げてくれました。たった一度の人生なら、生きる場所から選びたい。【私たちの移住ストーリー】では、さまざまな想いから、ひと足先に「移住」を実現した先輩たちをインタビュー。第5回目は、東京から愛媛県今治市へ母娘で移住した、加藤さんの<移住を決める前まで>のお話です。

プロフィール

加藤由香里さん

加藤由加里(かとう・ゆかり)さん
富山県出身、高校卒業後に東京へ。2019年に愛媛県今治市へ娘さんと一緒に移住。

私の人生の転機は「家出」

移住理由は、直接は離婚だと取材早々教えてくれた加藤さん。東京で夫婦で築き上げた養蜂という仕事も、慣れ親しんだ場所も、大事な人間関係もすべておいてリセットしようと決めるのは、けして簡単ではなかったはずです。

移住、そして新しい生き方を見つけた彼女の今までの人生について、お話を伺いました。

「実家は富山県です。高校を卒業して、絵の勉強がしたかったので『家出』して(笑)東京に出てきました」(加藤さん)

そうサラッと語る加藤さんですが、当時は住み込みで新聞配達の仕事をしながら、絵の専門学校へ通い、学費・生活費を自分で賄う厳しい日々。
学校を卒業し就職したものの、1年で退職した後はリゾートバイトなどをこなし、絵を描きながらブラブラとしていたんだそう。心の中で絵をもっと描きたい、勉強したいという想いを抱き続け、ついに運命の出会いを果たします。

絵画修復工房での充実した日々

「絵画修復の師匠に弟子入りし、それから10年間は仕事に没頭しました。通勤時間がかかることや家賃を払うのはもったいないと思い、いずれ独立する事を夢見て、仕事場の近くにマンションを購入したんです」(加藤さん)

加藤さんの作品「しまなみ大島の家」加藤さんの作品「しまなみ大島の家」

専門学校時代から東京に住んでいた加藤さんですが、住居は住み込みなどのおかげで、家賃を払うことが少なかったんだそう。そこで、改めて東京の家賃を支払うことに「もったいない」と感じ、購入に踏み切ったとおっしゃいます。でもこの決断が、離婚を決意した加藤さんの人生を大きく助けてくれることに……。

好きな絵に囲まれての勉強や仕事ができて、充実した生活を送っていた加藤さん。その後、彼女は結婚するのですが、残念ながら仕事と生活の両立ができず、絵画修復の仕事を一旦離れ、旦那様の仕事のサポートをすることになります。2人で趣味で始めた養蜂がいつの間にか仕事になり、子宝にも恵まれ、幸せを絵に描いたような日々。
しかし、次第に、仕事のやり方などで口論が絶えなくなってしまいます。

描けなくなってしまった未来像

「子育てとパートナーとの仕事。忙しかったけれど、充実していたと思います。口論になっても話し合ってより良い方向を模索してきたつもりです。でもいつも同じところで躓く。繰り返し繰り返し。だんだん何のためにそこで頑張っているのか分からなくなってしまったんです。どうしてだろう? って4〜5年同じところで悩み苦しみました」(加藤さん)

その頃、娘さんの学校の長期休みに合わせて、加藤さんは全国へたびたび「家出」を繰り返します。家出の先(旅先)は、友人宅や興味のある土地などさまざまですが、その中のひとつに現在の移住先である、愛媛県今治市しまなみ大島がありました。

「この島の出身の友人がいて、彼女が帰省するときに合わせて、何度か『家出』させてもらっていました。しまなみ大島は、とにかく海が穏やかできれいで大らかで、ぼーっと見ているだけでものすごく癒されたんです。それで、離婚しようかな。ここに住んじゃおうかなって」(加藤さん)

娘の「いいよー!」の一言で決めた

こんなキレイな海を毎日見ることができる幸せ「海も空もきれいで、自然と前向きな気持ちになる」と加藤さん

長年しっかり真正面から悩み抜いたから、離婚に関して迷うことはなかったとおっしゃる、加藤さん。しかし、別れた後も東京にいる限り、旦那様と共通の知り合いも多く、生きづらさが続くと考えていたそう。でも、娘さんのことを考えると、移住が正解なのだろうか……。悩み続ける中で、娘さんに話をすると……

「ママ、これから島で暮らそうと思うんだけど、と娘に聞いてみたら即答で『いいよー!』と返ってきたので、移住を決めました。意外とあっさり快諾してくれてほっとしましたが、もしかしたら娘なりのやさしさだったのかもしれないですよね。あとは、安心して楽しみにして移住できるようにちょっと根回ししました(笑) 島に滞在した際に、移住前から娘に友達ができたりしていたのが良かったのかなと思います」(加藤さん)

離婚という人生の大きな決断と、移住という生活のリセットを同時に叶えた、加藤さん。現在は、ゲストハウス、絵画・書道教室を開くために、色々模索中の日々を過ごしていらっしゃいます。

著者

池田ゆき

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