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「仕事のある東京に帰りたくない」でも「実家にも帰りたくない」そして下した決断は #私たちの移住ストーリー

家族・人間関係

 移住者インタビュー 松江さん

2021.04.04

今いる場所で、叶えられない夢や希望があるなら、思い切って「移住」という選択肢もある。【私たちの移住ストーリー】では、さまざまな想いから、ひと足先に「移住」を実現した先輩たちをインタビュー。第4回目は、東京から長野県上田市へ単身移住した、松江さんの<移住を決める前まで>のお話です。

松江朋子さん松江朋子(まつえ・ともこ)さん
富山県出身、東京で働いた後、45歳で長野県上田市に移住。Photo by Kei Hasegawa

急に思い立って移住…それまでの東京での生活に「疲れた」

今回登場していただく松江朋子さんは、フリーランスの家具設計を手掛ける建築士。
45 歳で「急に思い立って」長野県別所 温泉に単身移住をしてから、すでに 7 年弱。「もうここから離れる気がしない」と語るその移住話をうかがいました。

松江さんは22歳のとき、就職に合わせて上京。東京の大手玩具メーカーに就職します。30歳を目前にしたとき「年齢がマイナスになるのではなく、経験値として自分の価値を上げてくれる職種につきたい」と建築業界へ転職します。そこで経験を積み、38 歳で独立しました。 
このフリーランスで仕事を持っている、というところが今回の移住には欠かせないポイントかもしれません。 
「44歳のときに、父と祖母の具合が悪くなり、富山の実家と東京を行き来する生活をしていました。そこで、本当に漠然としているんですが、だんだん東京に戻るのが嫌になってきたんです。 心身ともに疲れがたまっていて、リセットしたかったんでしょうね」という、松江さん。

松江さん40歳のとき

東京でのお仕事は、高収入を得られる分、ストレスも多く、逃げたい気持ちもあったんだとか。同時に、一人暮らしで職場もひとり。友達はいるが、毎日会うわけではないので、ここでパタっと死んだら、孤独死で発見されるかも……という不安を感じていたそうです。

幼馴染に会うために上田市へ

そんな松江さんが、現在の移住先である長野県上田市別所温泉へ最初に訪れた理由は、移住視察や観光とは全く違いました。

「ただ友人に会うためだったので、まさか自分がここに住むとは思っていませんでしたね。でも、すごく自然と「あ、ここに住むのありだな」と思えたんです。」

タイミングも、雰囲気も自然にぴったり合った上田市に、松江さんは45歳のときに移住しました。
この運命的なまるで計画されていたかのような移住の後も偶然という名の必然は続きます。

「移住してから2年後、物件購入を考えている知り合いの同行で、上田市空家バンクの物件を内覧することになったんですが、その方が購入を見送られたんです。建築士としてもすごくいい物件だと思っていたので、私が買いました」

なんと、代わりに松江さんがその物件を購入! その古民家を リノベーションし、テナントとシェアハウスの複合施設「別所ヴィレッジ」を完成させました。松江さんの移住ライフは予想外の展開に広がります。 

すべて「流れ」で生きてる感じ

松江さんにお話を伺っていくと、よく出てくるワードが「流れ」。用意周到に移住を準備する人が多い中、大きな気負いなく、その時々にやってくる「流れ」に従ってきたそうです。

「移住自体も、『遠い引越し』程度にしか思っていないんです。『別所ヴィレッジ』も、明確に何かやりたいくて購入したわけでなくて、手に入れてから、どういう風にしていこうかなーと考えて(笑)。
初めはゲストハウスも考えましたが、本業の設計の仕事しながらは難しい。でもシェアハウスなら出来るかもと。シェアハウス運営について調べていると、「お試し移住」という言葉を見つけました。私は移住がうまくいったけど、なじめずに去っていったご夫婦も知っているので、この「お試し移住」のシステムがあるといいなと思ったんです。それで、別所ヴィレッジの1室は「お試し移住」用の部屋にしました」

別所ヴィレッジ全景別所ヴィレッジの全景。
古民家のテナント兼シェアハウス。おためし移住出来る部屋もある。

「テナントの借り手もまさに「流れ」ですぐに決まったんです。近所に飲みに行った時に、知り合いの工務店さんがいたので声かけたら『それじゃ、うちの嫁にバーでもやらせようかな』と言われて。(奥様は後で聞いてビックリ!) それで今も別所ヴィレッジのテナントの1つはそのバーなんですよ」(松江さん)

現在『別所ヴィレッジ』はテナント兼シェアハウスとして運営されています。一級建築士とインテリアコーディネイトの資格を持つ松江さんが内装に手を加えただけあって、本当におしゃれ。憧れの古民家ライフを手軽な料金で体験することができると、予約待ちの状況が続いています。

別所ヴィレッジ共用部分松江さんがリノベーションした別所ヴィレッジ共用洗面台

隣の猫がいつの間にか住み着いた

オンラインでのインタビュー中、松江さんの周りにはかわいいサビ猫のしおちゃんが。なんとこの猫ちゃん、もとは隣のおうちの猫でしたが、松江さんの家で暮らすようになったそう。

「気ままな猫は静かなわが家を気に入ったみたいで。もちろん、お隣さん公認です。猫も人も好きなところで暮らせばいいんですよ」(松江さん)

東京なら、マンションから一歩も出さず飼うのが当たり前ですが、場所が変われば、猫だって行動範囲が変わるようです。

住みついたしおちゃんいつの間にか松江さん家に住みついたサビ猫のしおちゃん

流れるように移住をスタートさせた松江さん。気がつけば、設計士のかたわら、テナントの貸し出し、シェアハウスのオーナーなど、移住先で新しいことを次々とスタートされていました。

とてもいきいきとした表情でお話しを聞かせてくださった松江さん。
後半は、移住後のお仕事の話や、現在の悩みなどについてお話を伺います。

著者

池田ゆき

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