夫婦で仲良くインスタライブをする亜耶バネッサさんと夫のテルさん。何の問題もなく見えるこのご夫婦も、産後は夫婦関係が悪化したのだそう。お二人が大変だったと振り返る産後のお話を詳しく伺いました。
“きらい”を通り越して“無関心”
――子育てがはじまってからは大変だったというお話をされていましたが、どう大変だったのでしょうか。
亜耶さん:産後2、3年はよく家の中に物が飛び交っていました。妊娠、出産でホルモンバランスが崩れて、ケンカがものすごく増えたんです。男性は赤ちゃんが泣いても起きないじゃないですか。今は、それが脳の仕組みの違いだとわかるけど、当時はそれを知らなかったので「なんで起きてくれないの!」という悲しみと怒りが日々蓄積されていましたね……。
テルさん:僕が、結婚するタイミングで仕事を辞めてフリーランスになったんです。仕事がたくさん来るうれしさや、その勢いを止めたくないという気持ちもあって、余裕がなくなっていたんだと思います。息子が生まれたばかりで、亜耶はキャリアより子育てを優先している中で、僕だけが終電で帰ったり、朝まで帰らなかったりしていたらケンカが増えるのも当たり前ですよね。
結婚をするときに、仕事に関してはお互いが対等で、どちらかが辛くなる関係はなしね、と話をしていたのに「仕事だから仕方ないじゃん!」みたいになっていたんです。
――物が飛び交うって、かなりハードモードなケンカをされていたんですね。
テルさん:その当時の記憶が本当にないんですよ。毎日が本当に大変だったなぁというのは覚えているんですけど……。
亜耶さん:私もあまり記憶にないんです。でも、一度テルが表みたいなものを書いて「あなたには家事があるでしょ? 育児があるでしょ? それぞれ何パーセントくらいやってるの?」と問い詰めてきたことがあったんです。テルのお母さまは、主婦として家のことを全力でこなしてきた人なので、きっとテルの中の理想の女性はお母さんなんだろうな。それができない私のことが気になるんだろうな……という気持ちになったことはあります。
――今のお二人からは想像できないです。そのときには、“離婚”という言葉が出たこともありましたか?
亜耶さん:もちろんありました。「離婚する!」だけではなくて、本当に日々の言葉がけも優しくなかったし、思いやりもなかったです。最終的に、テルが同じ家に住んでいるルームメイトみたいな存在になったんです。関心もない時期が2年くらいあったと思います。
テルさん:お互い無関心です。きらいとかではなく無関心。一番ダメな域までいっちゃってましたね。
亜耶さん:このままじゃいけないと思って家族会議をするんですけど、結局「この人は変わらないわ」と思ってしまうんです。テルはずっと私のことを「ガミガミおばさん」と言っていたし、私も「棚上げじじい!」と言っていました(笑)。
自分の性格について知ることがキッカケに
――その状態からどのように、今の“みんなが憧れる夫婦”にまで夫婦仲を修復されたのですか?
亜耶さん:私の友人に、性格分類学の講師で夫婦コンサルをやっている子がいて相談したんです。私は、自分の感情を説明するのがすごく苦手なタイプ。自分の弱みを見せるのが恥ずかしい、ダサいという気持ちが強いので、「悲しい」とか「助けて」ということを言ったり、泣いたりできず、その感情をすべて怒りに変えて伝えてしまうということがわかりました。
人って、意外と自分のことって知らないんですよね。自分の性格について知ったら、テルにもこれを受けてもらいたいと思ったんです。結婚していると言っても、相手のことはわからないことばかり。もっと相手を知っていけばいいんだと、そこに少し希望を感じたんです。
――テルさんも受けられたんですか?
テルさん:その友人宅に行ったときに、「ちょっと話そう」と言われて話しました。
亜耶さん:「受けて」と頼むと、「俺は決めつけられたくない」というタイプなので、裏で友人にコンサルをお願いして、ちょっと話そうという流れでテルと話をする時間を作ってもらったんです。私は違う部屋にいたんですけど、「だから、亜耶のそういうところがむかつくんだよ」という声が聞こえていました。でも、1時間くらいして部屋を覗いたら、テルが泣いていたんです。覚えてる?
テルさん:断片的にね。「なんで亜耶はそういう風に言うと思う?」と聞かれて、僕の考えを伝えたら「それは違うよ」と言われて、亜耶の考えや行動についての話を教えてもらいました。そしたら、僕は彼女自身のことを見ずに、自分のフィルターで亜耶のことを見ていたんだなということに気付いたんです。
自分が作りあげた亜耶=ガミガミばばあという見方しかしてなかったから、亜耶は本当の気持ちを出せないままだったんです。自分のフィルターじゃなく、相手をちゃんと理解することで、より仲が深まるんだよという話を聞いて、目から鱗でした。
亜耶さん:1つ例を挙げると、テルは12時までパソコンワークをして、そこからテレビやYouTubeを見たりするんです。「明日も早いんじゃない? 今からパソコン見たら疲れて明日起きられなくなるよ」って頭の中では思っているんですけど、言葉にすると「早く寝てよ」とか「寝なよ」ときついアウトプットになってしまっていたんです。
テルさん:言えてるじゃん(笑)。
亜耶さん:今はね(笑)。当時はできなかったから「なんでまだ起きてるの? 早く寝なさいよ」という言い方しかできなくて、彼は「うっせー! 俺の自由な時間を奪うなよ!」くらいに思っていたと思います。
夫婦としてもう一度向き合えたのは、相手を理解できるようになってから
――夫婦コンサルを受けても、そこから気づいたことを行動に移すというのは、また別の大変さがあると思うのですが、お二人はそこからいろいろと意識して行動されたのですね。
テルさん:夫婦関係だけじゃなく、これまでの人生、全部自分のフィルターでしか見たことがなかったので、その話を聞いてからはけっこう変わりました。ケンカをしても「あれ? 俺また自分のフィルターになってないかな」と立ち返る時間が増えたというか。もちろんそんなすぐには変えられないけど、大きなきっかけにはなりましたね。それから、失ってきたものが戻ってきた感覚があったし、いろいろ話すようになったよね。
亜耶さん:それまでは、「なんであなたは、そんなことしか言えないの?」という言い合いが多かったんです。お互いを理解できていなかったから。以前のテルは「なんで亜耶がそんな風に怒るのか、俺はわからない」と言っていたけど、今はお互いの怒る理由がわかるんです。だからと言ってイライラしないわけじゃないし、むかつくこともあるけど、相手の言動の意味や理由が理解できるようになったのは大きいです。
テルさん:あと、「ごめんね」のスピードはお互いめっちゃ早くなった気がします(笑)。以前の亜耶は、自分の中でちゃんと消化するまでに1週間ぐらいかかっていたんです。でも今は20分とかになったので、めちゃくちゃ早くなっています。
――お二人が、無関心の関係からこの気づきを得るまでにどのくらいの時間がかかりましたか?
テルさん:今から4年ちょっと前のことなので、このきっかけがあってから仲良くなりました。
亜耶さん:産後3年目くらいまではそんな状態が続いていたと思います。でも、お互いを理解し合うようになったことで、もう一度、相手を男性として、女性として意識して、2人でチームとしてやっていこうという気持ちにもなりました。
産後はルームメイトのような関係にまでなったという亜耶さんとテルさん。それでも関係を良くしようとお互いに向き合い、話し合いを重ね、理解しようとしてきた姿勢は素晴らしいですよね。次回はさらに結婚生活について深掘りしていきます。
【亜耶バネッサさん・テルさんご夫婦インタビュー連載】
第1回:「お互いに恋愛対象じゃなかった」亜耶バネッサさんの夫テルさんの“恋愛スイッチが入った瞬間”
第2回:「プロポーズするレストランでケンカに」Instagramで仲良し夫婦が“結婚に至るまで”
第3回:(当記事)「産後は物が飛び交うケンカをしていた」亜耶バネッサさん・テルさん夫婦が歩み寄れた“キッカケ”とは
第4回:「当時は完全に“母親”として見ていた」今仲良しの夫婦が“ときめきを取り戻すまで”
第5回:「自分たちのルールブックを作ることが大事」亜耶バネッサさんとテルさんが語る“夫婦関係を続ける秘訣”