夜ちょっと飲みに行く。パートナーにも同じ自由な時間はありますか?時間は“家族の共有財産”というお話。

家族・人間関係

2022.10.02

「時間は家族の共有財産」。 ぼくは家事シェアの講演会で、よくそうした話をします。 とくに子育てをしていると、その感覚が夫婦で同じようにあるか、ないかでお互いの関係性も人生も大きく変わってしまう。 今日は、そんな時間についてのお話をしたいと思います。

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時間は家族の共有財産とは?

「時間は全部、自分のもの」人はついそう思ってしまいがちです。もちろん仕事で拘束されるとか、やらなくちゃならないことがあるなどで、それを全部自由にできるかどうかは別の話ですが。

でも、普通は自分が何に時間を使おうと、人の時間を奪っている、と思うことは少ないと思うのです。

自分が一生懸命仕事をすることが、誰かの時間を搾取しているなんて想像もしません。むしろ、こんなに仕事をしなくちゃならないなんて、自分は時間を搾取されている側だと思うほうが多いかも。

人は自分の時間が奪われることについては、とても敏感です。
いまでは仕事でもメールやチャットでのやり取りがメインとなり、電話は「時間を奪うコミュニケーション」とすら言われます。

ただ、自分の時間が奪われることと違って、人の時間を奪ってしまっていることについては想像力が必要とされます。

とくに「家族の時間」は、無意識のうちにないがしろにしがちかもしれません。

砂時計出典:stock.adobe.com

子育てをしていると、よく感じることがあります。

「子どもと過ごす時間は、かけがえのない時間なのはわかってる。でも、自分のために過ごせる時間ではないな」と。
仕事をしたり、本を読んだり、のんびり休んだり。
子どもと一緒にいる時間は、何をするにも子どもに引っ張られることになります。買い物すら、自由に行くことができません。
それがたとえ、家族のための夕飯を準備するスーパーへの買い物でも。小さい子どもを連れて出かけるのは、ひとりでふらっと出かける何倍も大変。

それじゃあ、子どもが「時間泥棒」なのでしょうか。

そうではありません。
子育てしていればそんな風にイラッと思ってしまう瞬間もあるかもしれないけど、それを子どものせいにしたって辛いだけです。

家族出典:stock.adobe.com

大切なのは、誰が「時間泥棒」か、という犯人探しじゃない。

「時間は、家族の共有財産なんだ」という共通の理解です。
共通の理解、なんて言うと堅苦しいかもしれません。そうしたら「思いやり」と言い換えてもいいでしょう。

時間の感覚は「家族への思いやり」

たとえば、仕事帰りに同僚とちょっと飲んで帰る。ここ数年はコロナの影響もありそんな人も少なくなったかもしれません。
でも、規制が緩和されるにつれそんな機会も再び増えているかもしれません。

仕事終わりに、ちょっとリラックスして帰る。べつに毎日ってわけじゃない。たまのストレス解消に気晴らしをするくらい、何も悪くなんかないじゃないか。

たしかに、そうかもしれません。

でも、その間パートナーは子どもにご飯を食べさせ、お風呂に入れ、大騒ぎして散らかったおもちゃを片付け、寝かしつけをする。
そして眠たい目をこすりながらこっそりと起き出して、夕飯の洗い物をひとりでする。

そんな夜を過ごしているかもしれません。

家事をする女性出典:stock.adobe.com

「ちょっと夜飲みに行く」と言うのは、こうした「パートナーの時間」を使った上ではじめて成り立つことなのです。

もし早く帰ってきて、子どものお風呂を入れてもらえたら、その間に洗い物を済ますことも片付けをすることもできたかもしれない。
そうしたら寝かしつけ後に起き出して、家事をしなくてもそのまま寝たり、ゆっくり過ごしたりできたかもしれない。

「夜、ちょっと飲みに行く程度のことが、そんなに悪いことなのか!?」

いえ、そうではないんです。
飲みに行こうと、遊びに行こうと、子育てをしていたってそうした時間は大切。

問題は、「お互いがそうした時間をフェアに持つことができているか?」なんです。

時間は、夫婦の共有財産なんです。
ひとりが自由に使い込んで、パートナーは時間を自由に使うことができない、となれば不満がたまるのは当然のことです。
「夜ちょっと飲みにいく時間」はお互いにあってしかるべき時間。

子育てをしながらでも、お互いにリラックスできる時間をプレゼントしあえる。
そうした時間感覚こそが、子育てライフをより一層楽しいことにしてくれるのかもしれません。
 

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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