教えてくれたのは……石田勝紀さん
20歳で学習塾を創業して以降、4000人以上の生徒に直接指導、講演会やセミナーを含め、5万人以上に「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』ほか多数。
『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』(KADOKAWA)
石田 勝紀(いしだ かつのり)
1,540円
親子の会話が続かないのは聞き手が悪い?
子どもの成長には親子間でのコミュニケーションは不可欠。でもこちらからいくら質問しても、反応がにぶかったり、会話が続かないことってありますよね? しかし、その原因は子どもの会話力がないことだけではありません。教育評論家の石田勝紀さんは「聞く側の姿勢や態度に課題があることが多いです」と言います。
もっとも避けなくてはならなのは、親が子どもの生活を詮索しようと根堀り、葉掘り聞くことなんだとか。「学校はうまくいってる?」「勉強は大丈夫なの?」「誰とよくしゃべるの?」といった質問は最初からどこか疑っている雰囲気が出てしまいます。答え方しだいでは「ダメ出しされそう」と子どもは敬遠してしまい、気持ちよく話せなくなってしまいます。
子どもの興味に寄り添った会話を
言葉のキャッチボールができないと心配している人は、子どもに「自分が聞きたいことを聞いている」ケースが多いと言います。そこで、自分自身のことに置き換えて考えてみましょう。お友達とどんな内容の会話が盛り上がりますか? 人によってはスイーツ、バーゲン、新作ゲームなどいろいろあるでしょうが、それは興味のあることだから自然と会話が続き、盛り上がります。子どもとの会話も同じ。その子どもの興味のあることを軸に会話をしていきましょう。
自分の聞きたいことばかりを聞くのではなく、会話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
「学校で友だちとうまくいってるの?」「テスト勉強してるの?」
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「あのアニメでどのキャラが好き?」「昼休みは何して遊んだの?」
子どもが楽しくなるような話題を足掛かりに会話を続けてみましょう。
子どもの好きなものに興味がない場合のテク
子どもの好きなものに興味がなかったら会話を続けられないのかといえば、そうではありません。「別に親が子どもの好きなものに興味を持てなくても大丈夫」と石田さん。子どもの顔をじっと見て、ときどきうなずいたり、「それってどういうこと?」など質問をすることで、子どもは「親が関心を持って聞いてくれている」と感じるのだそう。質問への反応や答えで子どもの関心具合も推し量ることができ、子どももこまめに質問をされるとうれしくて、どんどん話してくれます。
子どもに質問をするときのコツ
子どもに何を質問すればいいか迷う時は、5W1H(いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように)を考えましょう。子ども会話は主語がなかったり、もともと5W1Hが抜けがち。そういった部分を補足するように質問してあげましょう。そうすることで子どもの表現力が磨かれ、それと同時に自分が親に認められていると感じて自己肯定感を高められます。
【5W1Hを使った例】
子「今日イヤなことがあった」
親「そうなんだ(共感)どこであったの?(どこで)」
子「学校で」
親「だれと?(だれが)」
子「●●くんと」
親「●●くんと何があったの?(何を)」
子「ケンカした」
親「何でケンカしちゃったの?(なぜ)」
ちゃんと聞くポーズと質問が大事
子どもの関心のある話題を会話のスタートに置き、そこから親が聞きたいことを聞くのもOK。しかしこのときに疑いを持ったり、しつこく聞くのではなく、あくまでサラッと質問してしまうのがポイント。5W1Hを使って、子どもが答えやすいように質問してあげると、学校の様子なども聞きやすくなるかもしれません。
子どもの好きなことに親が興味を持たなければならないわけではありませんが、子どもと会話をするときに、「何か作業をしながらだと、聞いていないことがバレてしまいます。合間に質問をしてくださいね」と石田さんは言います。質問をされることは「自分に興味を持ってもらえた」という自己肯定感につながっていきます。会話の中で、どんどん質問をしてあげましょう。
長い時間を過ごす家の中だからこそ、親子の会話は大切ですよね。親がちゃんと自分と向き合っていると、子ども自身が感じられることが会話のポイントです。子どもの好きなものを好きになる必要はありませんが、それを好きな子どもの話を聞き、たくさん質問することで自己肯定感を高めることにもつながります。自分の聞きたいこと最初に聞くのをちょっと我慢して、子どもに寄り添った会話を心がけてみましょう。