教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
「白いとんかつ」の作り方
今回紹介する「白いとんかつ」は、こうせいさんが、「とんかつ屋さんが開ける」と断言するほどの自信作。
いくつかのポイントを押さえて作ることで、衣はサックサク、肉は肉汁があふれ出すほどしっとりジューシーに。脂身も甘く、おいしく仕上がります。
「これまで食べたことのないくらいおいしいとんかつ」を、ぜひ自宅で味わってみてください!
材料
豚ロース肉…200g
塩…肉の総重量に対して0.7%
白こしょう…適量
卵…1個
サラダ油…5g
小麦粉…適量
パン粉…適量
植物油…適量
ラード…植物油に対して1割
とんかつソース
※使う豚肉は、肩ロースでも、ヒレでも、お好みの部位でOK。
※パン粉は、糖質を抑えた商品を使うと、色づきにくく、より白く仕上げることができます。
※小麦粉は、強力粉の方が比較的ダマになりにくいです。
1.豚肉は筋切りをする
脂肪と赤身の間にある透明の筋を切っていきます。噛み切りやすくなり、火を通すときに、肉が反り返るのを防ぐことができます。
まず、肉に骨や血合いなどが付いていたら、取り除きます。次に包丁を鉛筆を持つように持ち、筋に対して垂直に断ち切るように、切り込みを入れていきます。
切り込みの間隔は狭くした方が、筋切りの効果が出やすいです。
赤身の部分にも、数か所包丁を入れておくことで、噛みきりやすくなるほか、肉が縮むのを防ぐことができます。
反対の面の同じように処理します。
2.肉に塩をすり込む
肉に火を通す1時間前に、肉の総重量に対して0.7パーセントの塩をすり込みます。事前に肉に塩を浸透させておくことで、肉の保水性が高まり、旨味や水分が抜けにくく、しっとりジューシーなとんかつに仕上がります。
キッチンペーパーで挟んでからラップをし、常温で1時間休ませます。室温が30度を超えるような夏場であれば、食中毒菌が増殖しないよう、最初の30分は冷蔵庫に入れるなど、調節します。
1時間たったら、豚肉に白こしょうをふり、手でしっかり馴染ませます。白こしょうは、食材に色がつかない、食材の味が引き立つ、などのメリットがあります。
3.肉をマッサージする
赤身の部分を親指で押すようにマッサージして、柔らかくしていきます。
脂身も、軽く揉みほぐします。裏返して、同じようにマッサージしたら、広がった肉を元の形に戻しておきます。
4.衣をしっかりつける
卵をボウルに割り、泡だて器で混ぜて、白身と黄身をしっかり一体化させたら、サラダ油を加えてよく混ぜます。
卵に油を加えることで、肉に旨味と肉汁を閉じ込めることができます。パン粉はダマができないようほぐしておきます。
肉に衣をつけていきます。まず、肉に小麦粉を最小限に薄くつけていきます。余分な粉は、手で叩いて落とします。肉の隅々まで、しっかり小麦粉をつけておかないと、パン粉がうまくくっつかないので、お気をつけください。
肉に卵をまとわせます。竹串などを使うと、手を汚さずに肉に卵をつけることができます。
最後にパン粉をつけます。肉にパン粉を斜めから押し付けるように、手でギュッギュと強めに押さえ、しっかりつけていきます。
端の部分も、パン粉がしっかりつくように、握るようにして押さえておきます。最後に、肉の端っこを持ち、軽く振って余分なパン粉を落とします。
5.肉を低温の油で揚げる
今回はフライパンで揚げていきます。
食材がフライパンの底について焦げるのを防ぐために、100円ショップで売っているような網を置いてから、植物油とラードを入れます。ラードを加えることで、とんかつの香りがよくなったり、味に奥行きが出たりします。
油は130度~135度の低温に熱し、肉にじっくりと火を通して、しっとりジューシーなトンカツに仕上げます。これが、もっとも重要なポイントです。
肉をゆっくり寝かせるように油に入れ、3分間揚げます。
温度計がない場合は、このような泡の出方を目安にしてください。
低温で揚げると衣がはがれやすいので、肉にあまり触らないようにしてください。
肉の上部が油に浸かっていない場合は、お玉で油をすくい、上からかけるようにします。
3分たったら菜箸で肉をやさしく裏返し、さらに3分揚げていきます。中心温度が75度で1分以上火を通したら、とんかつを取り出します。
油を切る時は、横にすると下の面に油が集まってギトギトになってしまうので、肉を立てて油を切ります。この状態で5分おき、油を切りつつ余熱で肉に火を通します。
とんかつをまな板にのせ、切っていきます。
まず、包丁をとんかつに9割入れて、衣の部分だけ残すようにします。最後に、切先を左手で押さえ、真下に素早く落とすと、断面がきれいになります。
1回切るごとに、包丁の刃を拭くのも、きれいに切るポイントです。最後まで切ったら、器に盛り、お好みでとんかつソースをつけて食べてください。
断面はうっすらピンク色で、肉汁があふれ出ています。
コクはしっかりありますが、油をよく切っているので、脂っこくなく、いくらでも食べられそうです!
自宅でこんなにおいしいとんかつが作れるとは、驚きですね!
皆さんも、ぜひお試しください!
詳しくは、こちらの動画で!