教えてくれたのは……総合家電エンジニア 本多宏行さん
テックマークジャパン株式会社業務部クレームチームエキスパート。
家電全般、住宅設備、パソコン、車などの延長保証の修理精査業務に携わっている。
多種多様な家電製品の幅広い専門知識が必要となる「総合家電エンジニア(正式資格名称:家電製品総合エンジニア)」資格を保持。
狭いスペースを効率的に暖めるためには
電気代を少しでも抑えるために知っておきたいのが、暖房機器の選び方や賢い使い方です。
6~8畳程度の狭いスペースを効率的に暖めるには、どのような暖房機器が適しているのかを総合家電エンジニアの本多宏行さんに教えていただきました。
「暖房時における室内の『湿度上昇』を抑制できる機器を考えると、効率的に暖めるのはエアコンがベストだと言えます。さらに、電気代が最も安く済むのも断然エアコンなのです」
とはいえ、仕事部屋にエアコンが設置されていなかったり、諸事情により設置できなかったりする場合もあるかと思います。
そこで今回は、エアコン以外でのおすすめ暖房機器をピックアップしていただきました。
おすすめの暖房機器3選。メリット・電気代の比較
「エアコンと同水準の安全性を備えている」「エアコンと同様に水蒸気を発生させない」「一点集中でなく、全体を暖められる」ことを条件に、本多さんに3つ選んでいただきました。自分に合った暖房機器を選ぶために、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
1.オイルヒーター
暖かい風を送風することができないため、室内を暖めるには一定の時間を要しますが、室内の空気が乾燥しにくいメリットがあります。直接触れた場合でもヤケドの危険性が低いのもメリットです。
オイルヒーターはエアコンなどの暖房機器と比較すれば消費電力が大きく、電気代も高くなる傾向にあります。
2.オイルフリーヒーター
オイルを使用しないので、重量が軽いのがメリット。移動がラクなので、持ち運びに便利です。オイルヒーターと同様に、室内を暖めるには一定の時間を要しますが、安全性はピカイチです。
オイルヒーターよりも消費電力が低くなる傾向にあるため、オイルヒーターと比較すれば電気代を抑えられると思います。エアコンを圧倒することはできないものの、節電・節約には有効な暖房機器と言えます。
3.遠赤外線パネルヒーター
遠赤外線パネルヒーターは、その名のとおり、遠赤外線を用いた輻射熱(ふくしゃねつ)を利用して室内を暖める暖房機器です。温度が上がると電磁波を発生させて周囲に熱を伝えていく現象を輻射と呼んでおり、この現象を利用しています。
ヒーター自体はパネルで覆われているものが大半で、ヤケドなどのリスクも低いでしょう。こちらも水分を放出しない暖房機器なので、室内の空気も汚れません。
大型になればなるほど消費電力は大きく電気代も高くなる傾向にありますが、一般的にオイルヒーターよりも節電・節約に貢献できる機器であると思います。
節電のために意識したい「4つのこと」
家にいる時間が長くなると、気になるのが電気代です。
オイルヒーター、オイルフリーヒーター、遠赤外線パネルヒーターに共通した節電対策として、下記の4つのポイントを意識するとよいそうですよ!
- 設定温度を必要以上に高くしない。
- タイマー機能を有効活用のうえ、無駄な電力消費を抑える。
- 節電機能が備わっている機種を使う。
- 部屋の気密性・密閉性を高める。
暖房機器の使い方の工夫や、部屋が暖まりやすい環境を整えることが大切です。
使用時に注意すべきこと
最後に、各暖房機器の使用上の注意点についても教えていただきました。
オイルヒーター・オイルフリーヒーター
電源コードを束ねることや、電源コードフックなどに巻き付けたまま電源を入れないように注意しましょう。電源コードが発熱し、火災の原因となります。併せて、人体や家具などから一定の距離を確保する必要もあります。取扱説明書に従って、正しく設置することが大切です。
お掃除ロボットを使用されている場合には、お掃除ロボットが起動している最中や、起動する30分前を目安として電源は切っておく必要があります。オイルヒーターとの接触で、機器の故障や火災の原因となります。また、電気カーペットや床暖房の上に据えて使用すると誤作動を招くことや故障の原因となるので、注意してください。
遠赤外線パネルヒーター
遠赤外線パネルヒーターも同様に、電源コードの取り扱いや設置方法などには注意しましょう。オイルヒーターと異なり、専用の土台に組み付けて使用するタイプも多くあると思います。取扱説明書に従って、正しく組み付けましょう。
これからますます寒くなってくる冬本番。仕事のパフォーマンスを下げないためにも、電気代を抑えるためにも、本多さんに教えていただいた暖房機器を上手に取り入れられるとよいですね!