自分が反抗期だったころ
早ければ小学生のころから、子どもはだんだん「生意気」になってきますよね。
親からしてみれば、まだまだ子どものクセに、わかったような口を聞いて、このままじゃ将来が心配だって気持ちになるかもしれません。
でも、自分が子どものころ、同じように心配してくれていた親に対してどう思っていたでしょうか。
「うるせぇな。何もわかってないクセして、何でも知ってるふうな口聞くなよ」
僕は、そんなふうに親のことを思っていました。
こうした思いを、口に出したり態度に出したり、その度合いによって反抗期のひどさって変わってきます。でも、大体において子どもにとって親なんて口うるさくて面倒くさくて、うざったい存在って時期があるものです。
そんな反抗期な時期を思い出してみてもっとも嫌だった言葉があります。
それは「あなたのためだから」です。
「あなたのために言ってる」って絶対に言わない
「あなたのため」という言葉ほど、子どもを追い詰める言葉はないなと思います。
大人になったいまなら、言い返すこともできますが、子どもにしてみれば正論で殴りつけられるようなもの。
それに「あなたのため」とよく言う人ほど、その言葉の中に「自分のため」というエゴを感じます。
自分の思った通りに行動して欲しい。思った通りの結果を出して欲しい。それが「あなたのためだから」なのだとしたら、どこまでが本当に子どものためなんでしょうか。
親だから正しくて、親だから大事なことがすべてわかっていて、子どもだから何もわかっていない。
子どもは、そうした親からの扱いを敏感に感じます。とくに思春期は、子ども扱いされることに過剰に反応する時期です。
子ども扱いとは、そうされる子どもの感覚で言えば「無知・無力」という扱いを受けることです。
変えるのは子どもじゃない
家事シェアにおけるパートナーシップでも同じなのですが。
相手を変えるのは、そうとう難しいことです。たとえば家事育児を全くしない夫を、イクメンにするのはかなり難しい。
同じように反抗期の子どもが、何でも言うことを聞く良い子になんてなるはずもありません。
人が変わるために、もっとも効果的なのは「環境を変えること」です。
たとえば家事育児をしない夫も、自分の周りに家庭に携わるのが当たり前のパパ友が増えれば自然とやるようになっていきます。
ここで大事なのは、自分自身も家族にとって「環境」の一部だということ。
だから、「あなたのため」と言いながら子どもに指示をしなくなるだけでも、子どもにとって大きな影響があるのです。
細々指示をしないで、子どもを信じる
親から見て多少頼りなくても、子どもは成長しています。親の思い通りに行動してほしいとアレコレ指示をするのは、子どもにとっては自分の成長を認めてもらえてないと感じるでしょう。
子どもを信じるとは、「自分でなんとかするだろう」と見守ることです。指示や口出しをしたくなったときに、グッとこらえて待つことが、信じることです。ですが、親の思った通りに動くことを信じるのではありません。
親の希望通りでなかったとしても、子どもは自分の人生を歩んでいく力があります。
その力を信じて、子どもの意思決定を尊重してあげたいのです。
子どもが何を考えて、どうしたいのか、ゆっくりと話を聴いてあげながら、子どもの意思決定を見守り、尊重する。
失敗しても、約束を守れなかったとしても、もう一度一緒にやり直す方法を考えてあげる。
「ほら、できない」と言いながら、言いなりにさせるのではなく、「ぜったい大丈夫」と思いながら何度でも一緒に立ち直ることが、僕は「子どもを信じる」ということだと思っています。
子どもが反抗期で悩ましいなと思ったときこそ、子どもを変えようとやっきになるのではなく、自分自身について振り返りたいと思います。