教えてくれたのは……島野 智之さん
法政大学国際文化学部/自然科学センター教授。横浜国立大学大学院工学研究科修了。博士(学術)。専門はダニ学・動物分類学。2017年日本土壌動物学会賞受賞、2018年日本原生生物学会賞受賞、2022年日本動物分類学会賞受賞。
寝具と寝室の正しいダニ対策【7つの方法】
前回の記事では、ダニが好む好条件を満たす枕や、枕カバーに関して、家族にやさしいダニ対策ブランド「さよならダニー」の製造メーカーで知られる株式会社イースマイルが行った調査結果と、ダニを増やしてしまうNG行為についてご紹介しました。
今回は、寝具と寝室のダニやアレルゲンを除去する7つの対策について、島野智之先生に詳しく教えていただきます。
【対策1】天日干しだけでなく「洗濯」をする
じつは、天日干しをしたたけではダニが死滅することはありません。
洗濯をすることで、シーツや枕カバーのダニやアレルゲン*の9割以上が落ちるため、洗濯はダニ対策として有効な方法です。
*アレルギー症状を引き起こす原因となるもの。虫体やフンなどがアレルゲンとなります。
【対策2】寝具に掃除機をかける
シーツや枕カバー、タオルケットなどは洗濯することでダニやアレルゲンの除去が見込めますが、洗えないものについては掃除機による除去が有効です。
羽毛布団・羊毛布団は、側生地の目が細かいため布団内部にまではダニが入りづらく、掃除機を使うと布団表面のダニやアレルゲンを効率的に減らすことができます。
目安としては、布団表面1平方メートルを5分間ずつ2回掃除機をかけると、表面のダニのフンは7割以上除去できます。
また、天日干しをすると繊維の空間が広がり、掃除機をより効率よく使用することができます。
洗えないものに関しては、まず天日干しをしてから掃除機をかけるのがよいでしょう。
綿布団の場合は掃除機のみではアレルゲン除去は難しいので、年1〜2回は丸洗いをするのをおすすめします。
【対策3】枕にタオルを敷いてから寝る
枕カバーをこまめに洗濯するのが難しい場合は、枕の上に大きいタオルを敷いて寝るようにし、そのタオルを毎日交換する方法がおすすめです。生きているダニはタオルのような布地を好みフンをするため、タオル地の枕カバーを洗濯せずに使い続けるのはNG行為となります。
【対策4】寝具の衣替えに「乾燥剤」を使う
季節ごとに寝具も衣替えをしていると思いますが、圧縮袋での管理の際はいっしょに乾燥剤を入れるとダニが乾燥死します。
圧縮しただけでダニが窒息死することはないので、ダニ対策には「乾燥剤」を使用しましょう。
【対策5】市販の「ダニ取りシート」を使う
市販されている「ダニ取りシート」の使用もダニ対策として有効です。
香料などで誘引し、生きたままダニを捕獲するため、アレル物質の原因となるダニの死がいやフンが飛び散りません。
【対策6】空気清浄機を置く
空気清浄機を枕元近くに置くと空気中に漂っているダニのフンを吸引してくれるので、置く場所に気をつけることが大切です。
また、インフルエンザ対策としては湿度を60%以上に保つことが推奨されていますが、ダニは湿度60%で増えてしまいます。加湿器をつける場合は、過度に湿度を上げすぎないように気をつけましょう。
【対策7】高密度繊維で作られた寝具を使う
アレルギーが特に心配な方は、高密度繊維の寝具を用いるのもおすすめです。
ダニは高密度の繊維を通過できず表面に留まるため、掃除機がけのみでダニを除去することが可能です。
出典︓朝倉書店 「ダニのはなし―人間との関わり」島野智之・高久 元(編)
ダニを減らすための「正しい対策」が大切
「ダニ」は目視での確認が難しいため、なかなか存在を実感しづらい生き物ですよね。
対策を怠っているとダニやアレルゲンの数は確実に増えてしまいますが、こちらでご紹介した対策で数を減らすことはいつからでも可能です。
繁殖期を迎えたダニが増え始める今こそ、正しい方法でダニ対策を始めましょう。