教えてくれたのは……野邑 浩子(のむら ひろこ)さん
障がい者施設「たんぽぽの丘」理事長。小学5年生の娘を持つシングルマザー。2017年、カウンセリングオフィスで独立開業。以後、精神疾患を持つクライエントさんのカウンセリングを行いながら障がい者施設の経営も手掛ける。
40代女性のよくある「人間関係トラブル」とは
野邑さんによると、40代女性の「人間関係トラブル」でよくあるのは「補正下着」や「アロマ」「水素水」などのネットワークビジネスの勧誘とのこと。これは、実際にカウンセリングの場でも多く耳にするお悩みなのだそうです。
こんなトラブルが起こることも……
よくある人間関係トラブルを例に挙げてご紹介します。
Aさん:40代のママ。PTAなどでも積極的に役員をし、先生や地域のママたちからも慕われている。
Bさん:夫の転勤で引越してきた35歳のママ。
Bさんは近所にママ友がいないため、娘の登下校中に一緒になる近所のAさんと話をするようになりました。Aさんは、とても明るくよく笑い、いつも話題の中心。子どもの習い事も積極的にいろいろさせていて、「どこの体操教室の先生が良い」「どこの塾の先生は良くない」など、地域の噂にも精通しています。
そんなAさんから、Bさんはランチに誘われました。ほかのママも来るということで行ってみたところ、ネットワークビジネスの商品を勧められ、断れずに「宝石を練り込んだ靴下」を買ってしまう羽目に。靴下1足9800円は家計に打撃でしたが、次は、アロマ、水、と勧められてしまいました。断りにくいため、最近では二週間に一度のランチ会が怖くなってきたそうです。
トラブルを回避する方法
このようなトラブルの場合は、
- ランチ会に行かない(行っていないママたちと仲良くなる)
- 次から誘われなくなる可能性も高いですが、行っても商品購入は断る
- 自分が今ハマっているものを伝え、これ以外に使えるお金はないと代替品を逆に勧める
といった方法をとる必要があるのだと、野邑さんはおっしゃいます。
◆「避けた方がいい人」3つの特徴も読む:仲良くすると自己肯定感が下がってしまう「避けた方がいい人」3つの特徴
人間関係の悩みを解決するためにできる「3つのこと」
人間関係のイライラやモヤモヤを解決するには、どうしたらよいのでしょうか。向き合い方や考え方の3つのポイントを教えていただきました。
1.目の前の人に縛られない
野邑さん「この人と離れてしまったら『子どもがいじめられるかも』『友達がいなくなって孤独になるかも』など、ついマイナスの未来を予想してしまいがちですよね。
人は怒られたくないという思いから、つい罰を回避するために起きてもいない悪い未来を想像して、そうならないように対策を練ろうとする傾向があるのだそうです。つまり、ネガティブ思考が強い方は罰回避傾向が強いということ。もし、自分がネガティブになって悪い未来を想像していたと気づいたら、そうならない未来もあると考えてほしいのです。
本能的に罰を回避したいがゆえにネガティブになるのは、脳科学的にも仕方がないこと。
そのことを理解していれば、ネガティブな思考が出たとしても、ポジティブな思考を意識的にとることで、物事を中立的に考えられます。嫌な人と距離を置いたところで、実際には何も悪いことは起こらないんです」
参考:https://www.qst.go.jp/site/press/20220322.html
2.「しなければならない」と思わない
野邑さん「『ランチ会に誘われたから絶対に行かなきゃ!』と思うことは、約束を守るという意味では真面目で正しいのかもしれません。しかし、自分自身が心地よく生きることが人生の意味であるにも関わらず、自分の気持ちを我慢してまで、その約束を守る必要があるのかを考えてほしいのです。
自分が我慢して相手のために守る約束は、果たして正当な約束と言えるのでしょうか。
どんなことも、最優先すべきは自分の気持ちです。自分が心地よくないと感じることをしても、幸せにはなれません」
3.そもそもママ友が必要かを考える
野邑さん「嫌だけど、集まりに行かなきゃけないと思っているのなら、そもそもなぜ行かないといけないのかの理由を考えるとよいと思います。
『ママ友がいないと、子どもは学校で困るのか?』
分からないことがあれば先生に聞けばよいですし、子どもに仲の良いお友達がいるのなら、そのお友達に直接聞けば解決できます。
何かに所属したいという思いや、孤独になりたくないというママの思いが『ママ友は必要だ』と思わせてしまっているのかもしれません。今一度、本当に必要かどうかを考えてみるとよいですよ」
「距離を置いたほうがいい人」の特徴
野邑さんによると、距離を置いたほうがいい人には特徴があるとのこと。余計な人間関係トラブルを避けるためにも、ほどよい距離感を保つとよいのだそうです。
野邑さん「仲間を集めて、その中に新しい人を入れたがる人。つまり、会員ビジネスのような組織を作ろうとする人とは距離を置いたほうがいいでしょう。小さい組織は二人から成り立ちます。ママが二人いて、そこに、新しいママが入ってくると、もうそこに組織はできるのです。一度組織やチームに入ってしまうと、抜けられないという別の問題が出てきます。
派閥もそうですが、仲間を作ろうとする人や、『みんながそう言っていたよ』と“みんな”という複数で話をしてくる人にも要注意。いつしか、あなたも仲間に入れられてしまう可能性があるかもしれません」
信頼できる人は「群れない」人が多い
最後に、信頼できる人の見極め方と、信頼できる人に悩み相談などの大切な話を打ち明けるときに気をつけるとよいことを教えていただきました。
野邑さん「信頼できる人は、わりと一人で行動していて群れない人も多いです。友だちではなく、ビジネスパートナーや共通の趣味の仲間を多く持っているといった特徴もあります。同じ種類で群れない方は、信頼できる人であることが多いと言えるでしょう。
大切な話を誰かに聞いてほしいときには、『ここだけの話』や『誰にも言わないで』ではなく、『私はこう思っているのだけど、あなたはどう思う?』と、相手の意見もしっかり聞いておくことが大切です。お互いに自分の意見や気持ちをさらけ出して話せた相手は、相手のことを丁寧に扱えます。
聞いてほしいからと愚痴をこぼすだけではなく、『あなたはどう思う?』と、相手の話も聞くことを心がけると、よりよい関係を築いていけると思いますよ」