教えてくれたのは……株式会社ウィザス 樋浦さん
高校大学事業、学習塾事業、グローバル事業、能力開発・キャリア支援事業を展開。第一ゼミナール・第一学院を運営している。“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざすというコーポレートビジョンを掲げている。
子どもが受験に対してネガティブに。親が言いがちな「NGワード」
樋浦さんによると、子どもが受験に対してネガティブな気持ちを抱き、「辞めたい」と言い出すことは珍しくないとのこと。特に中学受験では受験しない子どももいるので、途中から気持ちが揺らぐこともあるかもしれません。そのようなときには親は感情的にならず、子どもの気持ちを冷静に受け止めることが大切なのだそうです。
今回は、子どもが受験に対してネガティブになったときに、親がつい口にしてしまいがちな「NGワード」を教えていただきました。受験の成功につなげるためには、寄り添い方にポイントがあるそうです。
NG1.「そんな態度なら止めてしまいなさい」
樋浦さん「このような言葉で応戦すると、子どもとの信頼関係が崩れてしまいます。まずは『受験をしたくないんだね』と子どもの気持ちを受け止めることが大切です。『何か困っていることがあるの?』『どうしてそう思ったのか教えてくれる?』と優しく話を聞いてみましょう。」
NG2.「ここまで頑張ったのだから、もう少し続けなさい」
樋浦さん「受験までにまだ時間がある段階では、冷静に話し合う余裕もありますが、受験直前の時期に子どもから『辞めたい』と言われると、親として『ここまで頑張ったのだからもう少し続けなさい』『これまでの塾代が無駄になる』といった気持ちがつい出てしまいがちです。しかし、こうした発言は子どもを追い詰めてしまうことがあります。」
受験の成功につながる寄り添い方のポイント
樋浦さん「重要なのは、子どもの気持ちを尊重しつつ、本人が納得できる形で話を進めることです。親の期待やエゴで無理に軌道修正しようとせず、子どもの状況や気持ちに寄り添う姿勢を持ち続けることが、受験の成功にもつながります。」
受験間近の子どもには「植え付けの言葉」も要注意
受験間近の子どもに親が声をかける際に、気をつけたい話し方もあるそうです。
樋浦さん「受験が近づくにつれ、親の言葉が子どもに与える影響は非常に大きくなります。特にネガティブな言葉は、子どもに強く暗示として働く可能性があるため、慎重に選ぶ必要があります。
例えば、『あなたはあがりやすいけど頑張って』や『ケアレスミスが多いから気をつけて』といった声かけは、子どもに『自分はそういう人間なんだ』という否定的な自己イメージを植え付けてしまいます。また、『失敗してもいいのよ』といった言葉も、一見優しそうに見えますが、子どもによっては『これまでの努力を否定された』と感じ、逆に落ち込んでしまうことがあります。」
「普段通りでいい」が子どもの安心感につながる
子どもに安心して受験に臨んでもらうためには、『普段通りでいいよ』といった安心感を与える言葉を使うことがポイントになるのだと樋浦さんはおっしゃいます。
樋浦さん「“普段通り”という表現には、これまでの努力を信頼しているというメッセージが込められています。受験本番は緊張するものですが、親がリラックスした姿勢で声をかけることで、子どものプレッシャーを軽減し、実力を発揮しやすくする環境を整えることができます。親の穏やかな態度が、子どもの大きな支えになるのです。」
家庭に受験生がいると、親も緊張感のある日々が続くものです。子どもが安心して受験の日を迎えられるように、親自身も平常心でいることを心がけられたらよいですね。