教えてくれたのは……若井 亮(わかい りょう)先生
豊島区東池袋に拠点を置く「弁護士法人 若井綜合法律事務所」の代表弁護士。東京弁護士会所属。注力分野は、不当要求対策、詐欺被害対策など。依頼者の安心を取り戻すため、すべてのクライアントのために親身になって対応するという弁護士としての基本姿勢を常に意識している。
闇バイトに加担してしまった場合、人生を棒に振ることになる
前回の記事では、「闇バイトかどうかを見極めるポイント」についてお話を伺いました。
もし闇バイトと知らずに手を染めてしまった場合、その後の人生にどのような影響があると考えられるのでしょうか。
若井先生:闇バイトで募集されている内容からすると、詐欺罪・窃盗罪・強盗罪などの刑事罰に問われる可能性があります。詐欺罪・窃盗罪では10年以下の懲役、強盗罪では5年以上の懲役に科されます。特に闇バイトで募集されている仕事内容は、実行犯が多く捕まるリスクが高くなると考えられるでしょう。
また、刑事罰に限らず、その損害について民事上の請求として関わった犯罪の被害額について請求されてしまうこともあります。刑事事件となれば、その逮捕歴は自分の将来の枷(かせ)となることもあり、民事上でも大きな負債を負ってしまう可能性があるのです。
「甘い話」には裏があることを知っておく
すぐにお金が必要な状況であるなど、効率的に収入を得ようとしてSNSで募集しているアルバイトに気軽な気持ちで応募してしまう若年層も多いかもしれません。しかし、アルバイトの探し方には注意が必要なのだと、若井先生は言います。
若井先生:まずは甘い話に飛びつかず、情報を見極められるようにすることが重要です。相場と比べて異常に高い報酬がもらえるアルバイトが、誰でもできる単純作業でできるわけがありません。その裏には、報酬が高いだけのリスクがあるはずです。
アルバイトを探すのであれば、大手のアルバイト求人サイトで探すようにしましょう。求人元のしっかりしていない求人は、闇バイトのリスクだけではなく、報酬がもらえないなどのトラブルが起こる可能性も高いです。大手のアルバイト求人サイトであれば、審査もしっかりしており、闇バイトなどに加担する可能性も低くなります。
子どもが犯罪に巻き込まれないために、親としてできること
わが子が闇バイトに巻き込まれないためには、どのようなことを子どもに伝えておく必要があるのでしょうか。若井先生によると、日頃から相談できる環境を整えておくことが重要なのだそうです。
若井先生:SNSなどのネット上には、闇バイトだけではなく、誹謗中傷、セクストーション(性的な脅迫)などの脅迫、詐欺被害など数多くのトラブルがあります。まずは今一度、ネットリテラシーについて話し合うことが大切です。
また、闇バイトでは一旦応募してしまうと、身分証など個人情報をおさえられてしまうケースが多く見られます。途中で犯罪行為だと気づいたとしても抜けられなくなり、より重い犯罪行為に加担してしまうという被害をよく耳にします。
そうならないためには、些細なことでもお子様が相談できる環境を作り、たとえ被害に遭ってしまったとしても、早期に対応できるようにすることが重要だと思います。
子どもを闇バイトなどの犯罪から守るために、“もしも”に備えておくと安心です。親子で一緒にネットとの付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。