お弁当作りに小1の壁…48歳で出産した記者が語る“リアルすぎる子育て”

家族・人間関係

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2026.05.02

40代以降の母親から生まれた子どもの数は、この20年で2倍以上に増えています。『48歳、初産のリアル』の著者・読売新聞記者の遠藤富美子さんもその一人。5年間の不妊治療を経て、今年7歳になる子どもを育てている遠藤さんに、不妊治療を経て始まった、子育てのリアルな日々について、じっくりとお話をうかがいました。

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教えてくれたのは……遠藤富美子さん

遠藤富美子さん

読売新聞記者。1995年、読売新聞社に入社し、北海道支社、国際部、マニラ支局、金沢支局、生活部などを経て英字新聞部長兼THE JAPAN NEWS編集長。不妊体験者を支援するNPO法人「Fine」認定の不妊ピア・カウンセラーの資格を持つ。

書影

『48歳、初産のリアル:仕事そして妊活・子育て・介護』
著者:遠藤富美子
価格:2,200円(税込)
発行所:現代書館

「とにかく時間がない!」。抱えるジレンマ

――43歳で結婚して不妊治療に取り組み、48歳でご出産。お子さんは今年7歳になるそうですね。いま子育てで大変だと感じるのはどんなことですか?

遠藤さん 「とにかく時間がないことです。現在は部員約50人を束ねる管理職として働いているのですが、多様な業務をこなしていると、なかなか子どもと向き合う時間をじっくり取ることができません。子どもはかわいい盛りで、この時期ならではの様子をもっと見ていたい、感じたいと思うけれども、十分にできていない自分にジレンマを感じています。自分自身のことに構う余裕も、なかなか持てないのが現状です。子育てと責任ある仕事、どうしたらうまくやりくりできるか、毎日悩んでいます」

――どんなときに「時間が足りない!」と感じますか?

遠藤さん 「3月に、子どもが通っていた保育園のイベントでお弁当を作ることになり、頭を抱えました。ちょうど仕事が立て込んでいたときに、普段は給食が出る保育園のイベント日が重なったんです。子どもからチーズハンバーグとから揚げをお弁当に入れてほしいとリクエストされ、『うそでしょう!』と思いながら、早起きして両方作りました。その日は睡眠時間が短かったので、仕事中はいつもよりふらふらでした。そんな毎日です」

お弁当作り出典:stock.adobe.com

遠藤さん 「体力的にキツイという側面もあります。仕事と子育てを両立するために睡眠時間を削ると、からだのダメージが大きい。もともとは丈夫なほうでしたが、体調をくずすことが増え、自分の気力、体力に注意を払うようにしています」

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一人の親としてうろたえる日も

――子育てに仕事にがんばる場面が多いなかで、「ここは力を抜いている」ということがあれば教えてください。

遠藤さん 「ていねいな生活は、まったくできません。私の帰宅時間が遅いので、子どもの保育園への送迎は私が朝送って、夫が迎えに行っていました。平日は夫が夕食準備を担当しているのですが、夕飯はすべて手作りというわけにいかず、スーパーの惣菜や冷凍食品を活用したり、外食したりすることもあります。曜日ごとに献立を決めてルーティン化する方法も考えたのですが、仕事が忙しくなると予定通りにいかないので、あまり計画しすぎないようにしています」

――完璧をめざさないことを心がけているのですね。

遠藤さん 「管理職という立場もあって仕事ではきっちりしなければいけない気持ちが強いので、そのぶんプライベートは力が抜けてしまうのかもしれません。子どもにはさまざまな経験をしてほしいので、休日に出かけたり、習い事を考えたり、そのあたりは大切にしています」

――仕事での経験が、育児で役立つことはありますか?

遠藤さん 「子ども関連のスケジューリングや段取りには、仕事で培ったスキルが役立っている可能性はあります。新聞記者は締め切りを見据えて業務をこなす仕事ですし、管理職という仕事柄、日々さまざまな決断に迫られます。家庭でも気合が必要な局面で底力が働く、動じない気構えのようなものはあるかもしれません」

予定管理出典:stock.adobe.com

遠藤さん 「そうした50代としての経験値はそれなりにあるものの、初めての育児に直面する親としての経験値は、ほかの保護者と同じです。保育園のお弁当づくりではママ友と同じようにキャーッと頭を抱えましたし、この春に娘が小学校に入学したので小1の壁をうまく乗り切れるのだろうかとドキドキしています。子どもの生活がどう変化するのか想像がつかない。私もほかの保護者と同じようにうろたえています」

忙しさに埋もれそうなとき、立ち返る「原点」

――著書『48歳、初産のリアル』では、不妊治療や出産を通じた「命との向き合い方」についても深く触れられていますね。

遠藤さん 「不妊治療中や出産直後は、命と向き合うことが日常になっていました。43歳で結婚した私たち夫婦が40代後半で子どもを授かれたのは、非常にレアケースであり、ありがたいこと。その実感を、日々に流されて薄れさせてしまわないようにしたいと思っています」

――著書には「不妊経験は自分をつくる大切な柱の一つ」と綴っていますが、どのような瞬間にそうしたことを感じますか?

遠藤さん 「娘は無事に生まれましたが、1カ月健診で脊髄の病気の可能性を指摘され、生後9ヵ月のときに手術を受けています。今でも年1回、経過観察のために病院を受診していますが、定期受診のたびに、治療を経て授かった命の貴重さを忘れてはいけないと、原点に立ち返る思いです。私たち夫婦は、運がよかったとしか思えない。病院を受診するたび、そうしたありがたみをつくづく感じます」

48歳で母になり、管理職として多忙を極める遠藤さん。インタビューで見えてきたのは、仕事で培った段取り力を活かしつつも、お弁当作りに頭を抱え、小1の壁に不安を感じる等身大の母としての姿でした。完璧を求めずに、うろたえる自分さえも受け入れる遠藤さんのしなやかさは、大人世代が前を向くためのヒントになりそうですね。次回は、不妊治療中の友人を傷つけない「やさしい距離感」について遠藤さんにうかがいます。

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