親に介護が必要になったら仕事は辞めるべき?介護と仕事を両立するためにできる「2つのこと」

家族・人間関係

2021.11.06

仕事や家事に忙しい40代のsaita世代にとって、いつ直面することになってもおかしくない介護問題。親に介護が必要になった場合、仕事を辞めて介護に専念するべきなのでしょうか? 書籍『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』から介護と仕事の両立についてご紹介します。

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令和元年度の「仕事と介護の両立に関する実態把握ための調査研究事業報告書」(厚生労働省委託調査)によると、介護離職の理由として「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」という回答が最も多いと発表されました。
家庭によっても状況が違うとはいえ、介護離職は極力避けたいところ。介護離職をしないための対策を、あらかじめ考えておきましょう。

池田直子

図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)
監修:池田直子
価格:1,100円(税込)

介護離職するとどうなる?

特に離れて暮らしている親に介護が必要になった場合、仕事と介護の両立が難しいという理由で介護離職を選択するケースも多く見られます。介護離職をすることで、どのような変化があるのでしょうか。

先ほどの「仕事と介護の両立に関する実態把握ための調査研究事業報告書」によると
実際に介護離職を経験したことで、「精神面の負担が増した・非常に負担が増した」の回答が約56%、「肉体面の負担が増した・非常に負担が増した」の回答が51%、「経済面の負担が増した・非常に負担が増した」の回答が69%と発表されました。

介護離職後の収入がなく貯金を切り崩しての生活は、家計を圧迫してしまう心配があります。さらに介護をする世代の40〜50代は、同時期に子どもの教育費が重くのしかかってくることも。介護終了後に再就職をする選択肢もありますが、50代の再就職は厳しいという現実も忘れてはいけません。
介護離職をすることで、自分の家族の生活が苦しくなるだけではなく、自身の老後資金が危なくなる可能性も大いにあるのです。

介護離職出典:stock.adobe.com

介護と仕事を両立するためには

介護離職をしないためにも、介護と仕事を両立していくことが大切です。仕事をしながらの介護は、とても一人でできる容易なものではありません。あらかじめ必要な情報を集めて、介護の体制をどう作るか考えておきましょう。

介護に関する制度を利用する 

2017年には、育児・介護休業法の改正が行われ、制度の見直しが行われました。この改正によって、介護休業は通算93日を3回まで分割して取得できるように。また2016年の雇用保険の改正では、介護休業給付金の給付率が従来の40%から67%に引き上げられました。

介護休業だけでは日数が足りない場合は、介護対象一人につき1年間に5日まで介護休暇を取得することができます。介護休暇は無給の場合がありますが、時間単位で取得することができるので突発的な体調不良や通院にも対応できるでしょう。

介護休業を取得しない場合でも、時短勤務やフレックスタイム制度など仕事と介護を両立するための制度もあります。さらに会社独自の制度を併用できるような会社もあるので、退職を検討する前に、働きながらでもできる介護の仕方を考えてみましょう。
いずれも会社を通して申請や手続きが必要なので、上司や人事担当に確認してみるといいでしょう。またこれらの制度は、頻繁に改正が行われるので、必ず最新の情報を確認する必要があります。
介護休業

介護のサポートをする人を増やす

働きながらの自分一人での介護は、物理的に不可能です。一人でも多い人数で介護の体制を作りましょう。サポートする人が増えると、負担が分散され安定した介護ができる場合もあります。

子どもだけではなく、孫や姪・甥、親しい近所の人など、どんな小さなことでも協力してくれそうな人をリストにし、「誰が、いつ、何を」できるかを書き出しておくと分かりやすいです。

ただしそれぞれの生活状況は、短期間で変わることもあるので、必ず連絡係を設けて都度書き換えることを忘れずに。
誰もが仕事等で対応できない時間は、民間のサービスを活用する方法もあります。費用はかかりますが、その分円滑に介護ができるはずです。

介護はチーム制にして分担を

介護出典:stock.adobe.com

同じ要介護度であっても、人によって必要な介護はさまざま。本人の希望を聞きながらどのような介護が、どのくらいの頻度で必要なのかを確認しておきましょう。家族だけでは分からない場合は、介護のプロであるケアマネージャーに相談し、ケアプランを立ててもらうこともできます。
また高齢の親が同居で主に介護をする場合、負担が大きくならないように気を付けましょう。介護保険外にはなりますが、自治体サービスや民間事業で通院の付き添いを依頼することもできます。

同居の家族がいても、全ての介護を一人が担ってしまうと介護破綻にもなりかねません。一人でも多くの人数で分担し、訪問介護とデイケアを組み合わせるなど、介護者の負担を減らすことが大切です

構成:手島くみこ

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