親にいつか介護が必要になることはわかっていても、仕事や育児に忙しい日々を送っているとなかなか考えることも難しいかもしれません。今は元気だと思っている親は、どんなときに介護が必要となるのでしょうか。
『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)
監修:池田直子
価格:1,100円(税込)
介護の始まり方は大きく3パターン
介護の始まりのパターンは人それぞれですが、大きく3つのパターンに分けられると著者の池田さんは言います。
特に離れて暮らしている場合は、年に数回しか会うことがないために、 親の変化になかなか気づくことができません。実家に帰省した際に、不自然な言動がないかや家の中の様子をよく観察し、変化を見逃さないようにすることが大切です。
パターン1.「突然タイプ」
脳血管疾患などが原因で入院し、突然介護に直面するのが「突然タイプ」です。この場合は入院中に医師と相談し、退院後の介護が必要なのかを判断することになります。
また、徘徊中に警察に保護されることで認知症が発覚するケースも。他にも、転んで大腿骨骨折するなどさまざまな理由で、突然介護が必要になる可能性があります。
パターン2.「きっかけタイプ」
家族の突然の死など、精神的なダメージが引き金になってしまうのが「きっかけタイプ」です。このタイプは、無気力になり身の回りのことができなくなってしまいます。
子どもと同居するために、長年慣れ親しんだ土地を離れたことがきっかけになって、認知症が発症してしまうケースもこのタイプといえるでしょう。
パターン3.「徐々にタイプ」
加齢による身体の衰えから、少しずつ介護が必要になってしまうのが「徐々にタイプ」。少しずつ進行していくので、離れて暮らしていると気付くのに遅れてしまいがち。誰でも老化によって起こり得るのがこのタイプですが、要介護の前段階と言われる「フレイル」に気を付けることで悪化を防ぐことができます。
フレイルってどんな状態?
フレイルとは、高齢者の筋力や活動が低下している状態のこと。2014年に日本老年医学会が提唱した概念です。フレイルの語源は英語の「frailty」から来ており「虚弱」の意味で、要介護の前段階と言われています。
フレイル予防のためには、栄養、運動、社会参加の3つが大切です。特にコロナ禍である今は、人と関わることが少ない孤独な状態もフレイルを引き起こす要因の一つになるため、離れて暮らしている場合は、特に注意が必要です。
フレイルの主なチェック項目
- 過去1年間に4.5kg以上の体重減少
- 常に疲れやすく感じる
- 歩くスピードが遅くなる
- 加齢による筋力の低下
- 身体活動量の低下
3項目以上ならフレイルに該当し、1項目でも該当するならプレ・フレイル(予備軍)と言われています。
こまめなコミュニケーションが大切
「いつまでも親に健康でいてほしい」と誰もが願うものの、親はどんどん年をとり、一歩ずつ介護が必要な状態に進んでいます。特に離れて暮らしていると小さな変化に、気付けずに見逃してしまいがち。
仕事や自分の家庭のことで忙しい毎日ですが、ほんの数分でも電話で話をするだけで、気付けることもあります。親の体調の変化や、日常生活で困ったことがないかなど、会話から小さな変化を見逃さないことが大切です。
『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』にはこの他にも、親に介護が必要かもしれないと思ったときに必要な情報がたくさん。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
構成:手島くみこ