教えてくれたのは……抗菌博士 梶浦義浩さん
1985年、株式会社シナネンゼオミックに入社。以来抗菌剤「ゼオミック」の研究・開発に従事。現在は同社プロジェクト担当として、市場開拓も担当。抗菌試験管理士、臭気判定士の資格も有する。コロナ禍で抗菌博士として講師を務める。
ファンデーションのパフが菌の温床に!?
パフには菌がたくさん!
基本的に、新品のパフには菌がいないか、いてもごくわずかです。
でもメイクの時にパフが皮膚に直接触れることで、皮膚にもともと存在する常在菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、アクネ菌等)がパフに付着してしまいます。
そしてメイクでパフを使う度に常在菌がパフに付着し、水分や栄養分など繁殖に必要な条件が揃うことでパフについた菌はさらに増えてしまうのです。
菌が付いたパフを使うとどうなる?
パフに付着する菌は様々で、増殖することで悪さをします。
黄色ブドウ球菌
食物の場合は食中毒の原因となり、皮膚に付着すると肌荒れなど皮膚の障害を起こす原因となります。
表皮ブドウ球菌
通常は表皮を外部の菌から守る役割がありますが、体内に侵入してしまうと病原性を発することがあります。
アクネ菌
ニキビの原因になります。
芽胞形成菌
芽胞を形成している状態の菌は熱にも強く、死滅しにくい菌です。
菌の増殖に適した環境で増えると、食中毒の原因になることも。
大腸菌
通常、病原性はありませんが、腸管出血性大腸菌O-157のような病原性を発現する大腸菌も存在します。
真菌(カビ、酵母)
人の生活に役立つパン酵母やコウジカビ以外に、カンディダなど病原性を有する菌もあります。
毎日使っているパフに人体に有害な菌が潜んでいるかもしれない……。ゾッとしてしまいますね。
パフの形状には注意が必要かも!?
パフの素材による菌の付着のしやすさに大きな違いはありません。
ただし、起毛しているような形状の製品やウレタンスポンジのような発砲した製品は表面積が多くなり、菌が付着しやすくなります。
「パフをつかったまま」にはご注意を!
パフについた菌の栄養源は、なんとファンデーション!
日常のメイクで同じパフをそのまま使えば使うほど栄養源(=ファンデーション)がパフにつき、菌がさらに増えてしまいます。
増えた菌が肌につくと、肌荒れを引き起こしてしまうかもしれません。
また菌の増殖によって排泄される代謝物は、パフの嫌なニオイの原因となります。
パフをそのまま使うと悪影響しかないという、驚愕の事実です。
パフのお手入れで気をつけたい3つのポイント
【お手入れポイント1】週に1回はパフの洗浄を!
パフを使用する度に洗うのは、日常では現実的に難しいですよね。
最低でも週に1回はパフを洗浄することを心がけましょう。
出来るだけこまめに洗うことを意識することが、パフを清潔に保つ秘訣です。
【お手入れポイント2】洗った後はしっかり乾燥を!
せっかく綺麗に洗浄したパフなのに、水分が残るとかえって菌を増殖させてしまいます。
パフを洗った後は、しっかりと乾燥させることが大切です。
【お手入れのポイント3】パフをローテーションで使う!
複数個のパフをローテーションで使う事によっても、菌の増殖を抑えることが出来ます。
パフの劣化防止にも繋がるので経済的で一石二鳥です!
(※複数個のパフを使う場合も定期的なパフの洗浄を心掛けましょう。)
パフの洗浄には身近なアレが使えます!
油分を多く含むファンデーションは、水洗いだけでは油分に含まれる菌を取り除くことは出来ません。
そこで大活躍するのが、食器用洗剤!
パフ専用の洗剤を使わなくても、油分の除去に優れた食器用洗剤で十分にパフを洗浄できます。
紫外線殺菌やオゾン殺菌の装置は控えた方がベター
紫外線殺菌(太陽の光にあてる等)などでは、パフを完璧に殺菌することは出来ません。
むしろ、パフの素材を劣化させてしまうので使わない方がいいと言えます。
常在菌はすでに私たちの肌に存在しているものなので、完璧な除菌を求める必要はありません。
しかし増殖すると悪さをする菌もいるため、使用後のパフは菌が増えすぎないよう食器用洗剤でこまめに洗浄することを心掛けましょう。