思春期の子が「AI」に悩み相談はあり?ChatGPTに心の悩みを打ち明けるメリットとデメリット

家族・人間関係

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2023.08.12

臨床心理士・公認心理師のyukoです。企業や大学など様々な分野で話題になっているChatGPT。実はChatGPTを利用したカウンセリングまで開発されているんです。しかし、AIに悩みを相談するのには抵抗がある方も少なくありません。思春期の子がChatGPTに相談するメリットやデメリットについて考えていきます。

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「何でも話してね」と言われても

落ち込んでいるとき、周りの人に「何でも話してね!相談にのるよ」と言われても、なかなか素直に頼れない方は多いですよね。

「こんな小さい悩み話したらどう思われるかな」「重い話したら相手も困るよね」「自分のイメージ変わっちゃうかも」

こんな風に感じて、悩みを打ち明けられないときもあるのでは。

思春期の子にも、親・友人・先生の誰にも話せない悩みがあるようです。
そんなとき、ChatGPTを利用するのはありなのでしょうか。
危険性やメリット・デメリットを考えていきます。

ChatGPTに悩み相談をしてみた

友人関係の変化について

前は3人組で仲良くしてたのに、最近は他の2人がすごく仲良くて、休日も2人で遊びに出かけているみたい。3人で会話しててもなんだか寂しい。グループ抜けた方がいいのかな。

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これに対してChatGPTは、「友人関係の変化は時々あることだけど対処は難しいですよね」とまず受け止めてくれます。
まずは慎重に考えるべきと言い、「まずは2人の友人と直接話し合ってみる」と同時に「新しい友人を作る努力も続ける」よう助言をくれました。
そして最後に、「自分自身を大切にし、心地よい環境で過ごすことが大事」と結んでくれます。

よい点としては、「AちゃんとBちゃんのこと?」と勘ぐられたり、「気のせいじゃない?」と受け流されたりはしない点。
また、「いつから?なんでそうなったの?」と深堀されないところもメリットかもしれません。

一方でやはり、無難で一般的な回答にすぎない点も否めません。

例えばクラスの他の友人に相談したら「じゃあうちらと一緒にいようよ」と言ってくれたり、母親に相談したら「昔ママもそういう時期あったよ。前話にでてきたCちゃんと気合いそうだと思ったけど、ちょっとずつ近づいてみるのはどう?」など、AIには見出せない解決法を提案してくれるかもしれません。

「今は誰のどんな言葉が欲しいか」を考え、選択肢のひとつにChatGPTを入れるのはありかもしれませんね。

自傷について

イライラすると、リスカ(リストカット)しちゃうんだよね。今日も親に怒られてむかついたからやっちゃった。

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こんな風に話しかけたとします。

するとChatGPTは、「話を聞かせていただき、心配しています」としたあと、「プロのサポートを求めること」を勧めてきます。
そして、信頼できる人、または心の健康における専門家、緊急の場合は窓口やヘルプセンターに連絡するよう促してくれます。

至極一般的な回答ですし、当たり前のようにも感じます。
役に立っているのかどうか、微妙なところですよね。

自傷や消えたい気持ちなど、センシティブで大切な悩みこそ、近くにいる人に打ち明けづらいものです。
また、そのような悩みを打ち明けられた人も動揺してしまうのは当然。

そこで、多くの子の頼り先となっているのがSNSです。
上記のような投稿には、どんな返信が来るのでしょうか。

「切って落ち着くなら切っちゃえ」
「うまく切れる方法教えてw」
「話聞きますよ。DM下さい。」

返信がない投稿も多いですが、このようなリプライが返ってきているものもありました。

AIに相談するか、SNS上で顔の知らない人間に相談するか、どちらが安全かは一目瞭然です。

自分の中では抱えきれない、とりあえず何かにぶつけたい。
そんな気持ちのときは、一旦ChatGPTに打ち込む方が、害は少ないといえるでしょう。

悩み相談に必要なのは「安全感」

賢くて正論を知っている人、同じ悩みをもっている人、解決策を提案してくれる人。
どんな相手になら悩みを相談したいと思えるでしょうか。

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どの悩みにも共通して重要なのは「安全だと思える相手」です。
勝手に口外しない、興味本位で探ってこない、自分の考えや気持ちを否定してこない。

AIには、偏見や裏切り、不用意な一言がありません。
そこに「守られている感覚」を感じられるのであれば、ひとまずAIに相談するのもよいでしょう。

ですが、「現実場面で手を貸してくれるか」、「複雑な関係性まで理解してくれるか」、「言葉にならない気持ちを汲み取ってくれるか」。
これらはAIに期待できません。

また何より、人にだけある「温かさ」は、AIに取って代えることのできない力です。
用途や状況によってAIを頼るのもひとつですが、最後は信じられる人に気持ちを話せるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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