中学受験勉強で「精神的に追い込まれている子ども」の”見過ごさないでほしい3つの特徴”

家族・人間関係

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 中学受験勉強で「精神的に追い込まれている子ども」の”見過ごさないでほしい3つの特徴”

2023.10.18

臨床心理士・公認心理師のyukoです。季節が夏から秋に変わり、受験を控えている子は日に日にプレッシャーが重くなってくる時期。中には、緊張や不安から普段と異なる様子が見られる子もいます。多くの子に通じる一過性のものなのか、それともわが子特有の心配すべきことなのか。この時期気にかけておきたい子どもの様子を考えます。

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ピリピリし始める受験間近のシーズン

夏が終わり、受験を控えてピリピリし始めるご家庭も多い頃かと思います。
模試の回数が残りわずかになり、現実的に志望校を考え始めなければなりませんよね。

「もうあとにはひけない。」
そう考えるご家庭は多いのですが、この時期に子どもの不調を見過ごしたり、わかっていても見ないふりをしてしまうと、のちに大きく響いてくるケースも。

例えば、

  • 願書を出す直前に「無理だ」とふさぎこんでしまう。
  • なんとか中学に入っても、通えなくなってしまう。
  • 受験勉強期間の喧嘩が影響で親子関係が悪化する。

親子出典:stock.adobe.com

受験シーズンの子なら当然のピリピリ感なのか、それとも子どもの辛さを見過ごしてしまっているのか。
周りが見えにくくなるこの時期だからこそ気にかけたい子どもの様子について考えます。

受験まであとわずか。見過ごしてはいけない子どもの様子

食欲の低下

食事について、とても気にかけている親御さんは多いかと思います。
ですが、「受験について考えると食欲がわかない」と言う子がこの時期増えてくるんです。

受験勉強には相当のエネルギーを使いますので、食欲は少し多めくらいが健康的。
緊張やプレッシャーによって、食欲が低下している子は、負担が大きすぎないかどうか気にかけてください。

睡眠の変化

9時、10時に塾から帰り、帰宅後も勉強する子もいますよね。
(できれば眠りにつく1時間前はリラックスして寝る準備に入るのが望ましいですが)

疲れて帰宅したあと、すぐ眠りにつき、朝までぐっすり寝られていれば健康的。
ただ、受験前になると「緊張しているんだろう」「焦りから早起きして勉強したいんだろう」と睡眠障害を見落としやすくなります。

  • 夜寝つけない
  • 明け方に目が覚める
  • 起床時間より早く起きてくる

眠そうな子ども出典:stock.adobe.com

この3点は特に要注意。
子どもに熟睡感や疲労感を尋ね、休息をとるのが最優先です。

親を怖がる

受験勉強が始まると、穏やかだった親御さんも一変するときがあります。
特にこの時期、家庭内の雰囲気がより深刻になるケースも。

多くの場合、父母のどちらかが厳しくし、どちらかは「見守っている」という体で、傍観しています。
そして「ちょっと厳しすぎるのでは?」と思っても、パートナーから叱責されたり夫婦関係の悪化を恐れて止められずにいる方が多いんです。

家に帰りたがらない、親に対して怯えている様子が見られたら、第三者(学校の先生、塾の先生、スクールカウンセラー等)に相談してみてください。
また、周りに「これはやりすぎでは?」と感じるご家庭があれば、塾の先生や学校の先生などの専門家に相談してみてください。

本当に「長い目」で見たときに大切なもの

子どもに中学受験を勧める理由は様々かと思います。
好きなスポーツに集中して取り組める、高ランクな大学に進学しやすい、高校受験を気にせずのびのびと学べる。
そのどれもに共通しているのは「長い目で考えたとき、本人にとってよいから」という親心。

あと数か月頑張れば、6年間の、いやもっと先にも繋がる明るい将来が手に入る。
そう考えられる方はとても多いです。

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しかし、目の前のわが子が今「食事をおいしくとれていない」「笑顔がずいぶん減った」「イライラと落ち込みを繰り返してる」、そんな状況であれば、一度立ち止まる必要があります。
「一度始めたら最後までやりきってこそわが子の自信になるはず」「厳しい結果になっても、きっと数年後にはわかってくれる」と親自身が自分に言い聞かせているなら尚のこと。

受験が終わっても、高校を卒業しても、親子関係は続いていきます。
今の一瞬で、長く続く大切な関係性の傷を深めてしまわないよう、わが子が待っている言葉をかけてみてください。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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