仲里依紗さんインタビュー
劇場版長編第二弾『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』で声の出演をした仲さん。まずは声の出演の裏話からお話を伺いました。
―大人気児童書シリーズ「おしりたんてい」の劇場版長編第二弾『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』で声の出演が決まったときのことを教えてください。「おしりたんてい」好きの息子さんは喜んでいましたか?
仲里依紗さん(以下、仲さん):声の出演のお話をいただいたとき、私も息子も「おしりたんてい」の映画〜!?と驚きました。息子が小さい頃「おしりたんてい」の絵本を読み聞かせしていたので、どんなストーリーになるんだろうとワクワクしたし、息子は「ママはなんの役? おしり?」みたいな感じでした(笑)
―スイセンはとてもおしゃれで可愛い女の子。スイセンのキャラクターをどう考えて演じましたか?
仲さん:おしりくんへのアピールの仕方が可愛いですね。かつての相棒だけど、ちょっとおしりくんへの恋心もあって。でもおしりくんはスイセンの気持ちに気づいていない……。そういう鈍感タイプの男の子っているじゃないですか。それでも一生懸命、おしりくんの役に立とうとするスイセンがけなげでよかったです。
―そんなスイセンが、おしりくんの相棒ではなくなる後半からガラリと変わりますね。
仲さん:そうなんですよ。「ちょっと、どした?」と声かけたくなるくらい変わっちゃって。でも彼女なりにトラウマを抱えていたり、生活環境が変わったりしたことで変化していったのかなと思いました。
母親になってからハイカットは履いていない
―スイセンは前半と後半ではファッションが大きく変化しますが、仲さんは心境の変化などで、自分のファッションや見た目が変わったという経験はありますか?
仲さん:10年前の自分と今の自分を比べたら、かなり変わっていますし、そこに心境の変化はあったと思いますけど、ベースは変わっていないと思います。前から派手好きですから。
でも母親になってからの変化はありますね。とにかく動きやすさ重視。特に靴は、ハイカットのスニーカーは全然履かなくなりました、急いでいるときにパッと履ける靴がいちばんですから。
着心地がいい、動きやすい、派手というのが最高です。
自分のアパレルブランドを持って知ったこと
―映画の中でスイセンが尊敬している絵描きのキンモク先生が、「みんなアートの本質を見てない。有名アーティストの名前だけを見ている」というシーンがあり、その言葉が刺さったのですが、仲さんは「好き!」を優先しますか?それともブランドの名前に惹かれたりしますか?
仲さん:何が本物で何が偽物かというのは、本人が決めることだと思うんです。自分はこれが好き、これが本物だと思っていればブランド名なんて関係なく、すべてが本物になると思います。
確かにブランド物って値段が高いじゃないですか。「なんでこんな値段するんだろう? 私たちのことをなんだと思ってるの?」って、以前は思うこともありました。でも、自分のアパレルブランドを立ち上げてからは変わりましたね。商品ひとつを作るために、どれだけの人数が関わって、どれだけの時間を使って……という工程を知ったことで、高くても「そうだよね」と納得できるようになりました。
―仲さんはご自身がプロデュースするアパレルブランド「RE.」を手がけ、作り手の苦労も理解されているからこそ、わかることはありますよね。
仲さん:そうですね。制作費はもちろん、人件費など、ひとつひとつに費用が発生するし、時間もかかるんです。だからお洋服の価値がわかっているし、商品にスタッフの皆さんの気持ちがこもっていることも理解できます。むしろ「素敵なお洋服をありがとうございます!」という気持ちで買い物をしています。
頼りっぱなしにしない、助けてもらったらお礼する!
―saitaの読者は働くお母さんが多いのですが、みんな時間のやりくりや両立に悩んでいます。仲さんは仕事と家庭の両立どうされていますか?
仲さん:私の場合、忙しくて手が足りないときは、人に頼ります。仕事も育児もすべて周囲の人たちにサポートしてもらい、みんなでやっている感じです。
そして、なにかひとつお願い事をしたら必ず「ありがとう」の気持ちを込めてお礼をします。ご飯をごちそうしたり、プレゼントしたり。頼りっぱなしにはしないように気をつけていますね。
やっぱり自分ひとりで抱え込まない方がいいですよ。私も周囲に頼ってもらえたらサポートしたいし……。「みんな、助け合っていきましょう!」って感じです。
―ワンオペは厳しいですものね。すごく参考になります。あと、仲さんファミリーの間では、家族ルールはありますか? これはしないようにとか、家族で決めていることなどあったら教えてください。
仲さん:なんだろう……うちの家族は本当に自由なのでルールは特にないですね。ただ年末年始は旦那の実家と私の実家に必ず行きます。それは家族として普通のこと。おばあちゃんの家に行ったり、お墓参りしたり……。毎年欠かさずしています。
―息子さんの学校行事はどうしているのですか?
仲さん:必ず旦那か私のどちらかが行きますし、ふたりで出席できるときは一緒に行きます。絶対に誰も行事に参加できないということがないように時間を作っていますね。
美容はファッションの次に好き!
―健康管理についてお伺いしたいのです。毎日お忙しいとは思いますが気を付けていることなどありますか?
仲さん:体力を維持するためにジムには定期的に行っています。疲れたなと思ったらクリニックへ行ったり、整体や針にも行ったり。健康につながることはすべてやって、自分の体をいっぱいケアしてあげていますね。
俳優は体に負荷がかかる仕事なんです。ケアしているから健康維持ができていると思います。
―美容にも気を遣っていらっしゃるのでは?
仲さん:美容はファッションの次くらいにお金をかけていて、美容は趣味といってもいいくらい好きですね(笑)。皮膚科にもすごくお世話になっていますし、いいと言われるものはすべて試します。
でも肌にいちばん大切なのは睡眠だと思います。私のニキビが治りにくいのは睡眠時間が足りないからじゃないかと。今は連続ドラマの撮影をしているから平均睡眠時間2〜3時間。田中みな実さんが、睡眠時間は7時間がベストだとおっしゃっていましたが、全然足りていませんね。
私の相棒的な愛用品はズバリWi-Fi!
―『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒おしりよ』で、スイセンはおしりくんの相棒でしたが、仲さんはプライベートで相棒と呼べる人はいますか? また相棒的な愛用品などあったら教えてください。
仲さん:やっぱり家族ですね、私のことをいちばんわかっているので。食べたいものも一緒だし、行動を起こすタイミングも一緒。妹に「今、○○やりたいと思わない?お姉ちゃん」と言われると、「そうだね!」みたいな感じ。でも、相棒的な愛用品といえば、Wi-Fiです。この間、Wi-Fiのない飛行機に久々に乗ったんですけど、禁断症状がすごかった(笑)
―最後に、完成した映画を観た感想とおすすめポイントをお願いします。
仲さん:最初は「息子と一緒に劇場で観たいな」と思っていたのですが、試写で観たら大人も心から楽しめる作品になっていることに驚きました。物語もしっかりしているし、おしりくんの壮大な必殺技(しつれい)の迫力とパワーに圧倒されました!(笑)。旦那も誘って、家族で観に行こうかなと思います。
仲里依紗(なか・りいさ)
1989年10月18日生まれ。長崎県出身。『アイランドタイムス』(2006)で映画デビュー。細田守監督のアニメーション『時をかける少女』に声の出演。『純喫茶磯辺』(2008)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、毎日コンクールスポニチ新人賞を受賞。実写版『時をかける少女』(2010)『ゼブラーマン-ゼブラシティの逆襲-』(2010)の演技で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。最新作はドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)。WOWOW「アクターズ・ショート・フィルム4」でロバート秋山主演のホラー映画『撮影/鏑木真一』を監督&原案&出演。NHK連続テレビ小説『おむすび』(2024年放送)の出演が決定している。またYouTubeチャンネル「仲里依紗です。」も人気。自身がプロデュースするアパレルブランド「RE.(アールイードット)」でも活動をしている。
『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』(2024年3月20日全国ロードショー)
原作:トロル
監督:セトウケンジ
声の出演:三瓶由布子、齋藤彩夏、櫻井孝宏、杉村憲司、池田鉄洋、小西克幸、中村まこと、渡辺いっけい
ゲスト:仲里依紗 津田健次郎 二又一成
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取材・文/斎藤 香
撮影/髙橋明宏
スタイリスト/遠藤リカ
ヘアメイク/三浦咲衣(FLEURI)、sakie miura(FLEURI)