「休み方」の本がベストセラーになる時代
ひと昔前は「家事育児に仕事にと奔走しているママこそが本当に忙しいんだ!」と言われていました。ですが、少しずつ両立に一生懸命とりくむパパも増えたことで、今の時代はパパもママも、日本人はみんな疲れてるということになるかもしれません。
そんなみんなの疲れを象徴するかのように、いま「休み方」の本がどんどんベストセラーになっています。
本屋さんに行けば、みなさんも「休み方」について書かれた本を見かけたり、コーナーができていたりするのに気がつくでしょう。
とにかく睡眠時間が足りてない
子育てをしていると、どうしても睡眠時間って短くなりがちです。赤ちゃんの夜泣きとかならわかりやすいですが、子どもが大きくなってきてもやっぱり睡眠時間は短くなりがちです。
家事育児のゴールデンタイムと呼んでいるのですが、朝夕の6〜9時は家事育児が集中する時間帯。
とくに子どものお迎えや帰宅後の18時から子どもが就寝するまでの21、22時くらいまでは、夕飯を作ったり洗い物、お風呂、片付け、宿題を見たり、子どもの学校の準備をサポートしたりと「自分の時間」を確保することがなかなか難しい。
朝起きてから仕事を終えて子どもが就寝するまで。この間に自分のための時間がほとんど確保できないため、子どもの就寝後こそが唯一の自由時間となるわけです。
「睡眠が大事」とわかっていても、この時間はちょっとボーっとしたり、TVを見たり、ゲームをしたり、本を読んだりと、自分のために使う時間に飢えている状態。
自分時間への飢餓状態を満たさないと、回復のためとはいえすぐに眠ってしまいたくならないのが人情かもしれません。そうして、1時間、2時間と過ごすうちに、就寝時間はどんどん遅くなり、起床時間が決まっているので睡眠時間が減ってしまうのです。
OECD(経済協力開発機構)が2021年に発表した統計では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。中国(9時間1分)やカナダ(8時間40分)など他国と比較すると、睡眠時間の短さが際立っています。
睡眠時間にもジェンダー格差がある
日本人の睡眠時間は短いのですが、さらに男女差も大きい。女性の方が睡眠時間が短い特徴があり、“まだまだ家事育児は女性が中心”という生活の現れでもあります。
睡眠時間の短さは、日中のパフォーマンスや慢性的な疲れに直結するため、短いならせめて質を上げようと工夫している人もいるかもしれません。
ただ、睡眠博士として話題の筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授は「一番大事なのは、睡眠量。質を上げようといろいろ工夫しても、そもそも時間が足りなければ効果は望めない」と言っています。
※参考:東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/261792
安心安全を感じることが休息
シンプルに、睡眠時間を30分でもいいから長くする。これは睡眠不足を感じているパパママにとっては、まっさきにするべき急務かもしれません。
ですが、休息には安心・安全の感覚を取り戻すことが大事だと、心療内科医の鈴木裕介氏は著書の中で伝えています。
自分を回復に導こうとする行動を「コーピング」といいます。これは自分のストレス状況に応じて適した対処をしていくということです。
たとえば、胸がざわついて落ち着かない、何となく緊張しているような状態のとき。こうしたときは「ゆったり深呼吸する」「部屋を暗くする」など自分をスローダウンさせる方法をとります。
逆に、ぼんやりしていて目が開きづらい、背中も丸まっているなどという落ち込んだ状態のとき。こうしたときは「早めの深呼吸をする」「テンションが上がるような音楽を聴いたり、ゲームをする」という方法でアクティブな行動を促してみる。
自分の状態にあった休息方法を取り入れることが、休息の効果を高めてくれます。
がんばりすぎな人は、ぜひ自分にあった休息方法を取り入れてみましょう。