旅行やキャンプは子どもにとって必要?
旅先で得られる経験を通じて、子どもの成長を促す「旅育(たびいく)」という言葉も浸透しつつあります。近年はAI等ではなく、「人にしかできない」仕事や能力に注目が集まる中、机上の学習だけではなく、体験を通した実践的な学びが重視されています。非日常的な経験を味わえるキャンプや旅行はもってこいの学びの場なんですね。
そこで大切なのは、どれだけ時間やお金をかけるかという点ではなく、感情が動く体験をできるかどうか。感情が刺激されると、より活動的になれたり、記憶が活性化され経験として身につきやすくなるんです。
非日常的な体験のメリットを詳しくみていきましょう。
子どもが非日常的な体験をするメリット
「好奇心」や「探求心」が刺激される
ゲームや動画の中で好奇心が刺激されることもありますが、実際の体験には及びません。
自然のものを使用した工作、その土地で育てられた食材を使った食事、緑の中で体を動かすアクティビティ。自分自身ではコントロールしきれない現実の中では、脳に様々な刺激が与えられます。
- 加工されていない原木の材料。木の曲がった部分を利用して何かに見立てられないかな?
- 見た目はいつも食べている野菜と一緒なのに、違った味に感じられるのはなんでだろう?
- なんだかちょっと空気がいつもと違う気がする。草の匂いってこんなに感じられるんだ。
五感を通して得られる刺激が、子どもの好奇心や探求心に結びついていくんですね。
「実行機能」が伸びていく
実行機能とは、目標を達成するために行動や思考をコントロールする機能のことです。具体的にいうと、「見通しをもって計画を立てる」、「優先順位を決める」、「目標達成のため柔軟に行動を調整する」など学習や社会生活において重要な力。
旅行の計画を立てたり、キャンプをしたりする中では、脳の認知機能のひとつである「実行機能」を多く使っていくんですね。実行機能を伸ばせると、「物事を順序だてて考える」、「目標から逆算して計画を立てる」、「仮定・実行・振り返りをする癖」が身についていきます。
「家族の思い出」が糧となっていく
親が休みを取れるのはお盆や年末年始に限定され、家計のお財布はかつかつに。計画を立てたものの、混雑していてスケジュール通りに行かず、もやもや。そこまでの思いをしてまで旅行に行くべきなのか、迷うところはあるかもしれません。
しかし非日常的な体験は大人になって、子ども時代を振り返ったとき、自分の糧となっていることに気づくもの。
- 家族全員でゆっくり過ごすのがなかなか難しい中、家族で非日常的な数日間を過ごせた。
- 普段は見られない家族のはしゃぐ顔が見られた。
- 今まで知らなかった土地に行き、初めての食や景色を楽しめた。
当時は「楽しかった」だけの記憶も、あとから振り返ると少し違って見えたりするものです。
しかし一方、旅行先での思い出が家族喧嘩ばかり、楽しいはずの状況なのに誰かが不機嫌なのであれば、一度見直しを。家族の誰かが「せっかくの休みなのに外出による疲労だけで終わってしまった」など消極的に感じているのであれば、家でできることや子どもだけのキャンプに参加させるのもひとつの方法です。
難しい場合はできる範囲でOK
ここまで旅行やキャンプで感情体験を得ることのメリットをお伝えしましたが、もちろん可能な範囲で大丈夫。無理にスケジュールを詰め込んで体調を崩したり、家計的に厳しい中切り詰めて行く必要はありません。
旅行やキャンプに限らず、休日にできる貴重な体験はたくさんあります。
- 子どもが献立を考えて、親子で一緒にお弁当を作ってピクニックにでかける。
- 少し足を延ばして隣町の大きい公園に行き、子どもの好きな昆虫を見つける。
- 電車好きのわが子。1日かけて都内の様々な電車を見に行く。
子どもは、親ができる限りのことをしてくれた経験を嬉しい記憶として残していくもの。
それぞれの家庭にあった感情体験を探していけるとよいのではないでしょうか。