教えてくれたのは……渡邉 文子さん
キャリアデザイン・インターナショナル(株)代表。公認心理師、MBA、国家資格キャリアコンサルタント、Gallup認定ストレングスコーチ。起業と子育ての経験から女性の自律的で幸せな生き方を支援。著書に『めっちゃ知るだけ!こころとからだの幸せ法則』(文芸社)。厚生労働省版ストレスチェックシステム監修。
幸福度が高い人が実践する、適度な力の抜き方と考え方「3つのコツ」
力をうまく抜くことができずに常に力が入っていると、心身ともに緊張した状態が続いてしまって幸福度に影響してしまうこともあります。
今回は、幸福度が高い人が実践している「適度な力の抜き方と考え方のコツ」を3つご紹介します。このコツを日々の生活に取り入れて、心身のバランスを上手に整えるトレーニングをしてみてくださいね。
1.「柔軟性」を大切にする
幸福感は、柔軟性、受容性、適応性が高い人ほど感じやすいものです。自分にとって大切にしたいことと、周囲に合わせてもよいことのバランスをうまくとれることが柔軟性。葛藤が少なくなるため、ストレスや不満を抱えにくくなります。
幸福度の高い人は、何かに対して必要以上に固執して、力が入ることがありません。自分にも相手にも、そうした接し方になるので、対立や衝突が起こりにくくなります。また、自分に余裕がないときこそ、他人や物事に対して譲ったり優しくしたりすることは、気持ちを落ち着かせるために有効な方法です。このような行為は、脳内ホルモンのオキシトシンの分泌を促し、ストレス反応を抑制して利他的な気持ちを引き出します。その結果、心に余裕が生まれるのです。
柔軟性は、意識すれば育むことができます。目指すのは固さではなく「しなやかさ」です。
2.「無理をしない」努力をする
誰でも自信がないときや不安なときには、無駄な力が入ってしまうものです。それは、幸福感が高い人も同じです。では、なぜ幸福感が高い人は自然体で、無駄な力が入っていないように見えるのでしょうか?
その理由は、自分の等身大を理解し、一旦受け入れているため。本当にやりたいことであれば、「実力をつけるために努力すればよい」と考えるのです。力が入って結果を出せないのはどのようなときなのかを背伸びせずに内省し、そのうえでうまく対処できるパターンを知ることで安心感が生まれ、余計な力が入りにくくなります。すると、一喜一憂して落ち込んだり、無理をして力が入ったりすることが少なくなります。
つい背伸びをしたくなりますが、無理しない努力を心がけることが大切です。等身大の自分を分析して受け入れることで、自信につながり、自然な力加減を保つことができるのです。
3.自らリラックスをコントロールする
人は、自分でコントロールできるものと、コントロールできないものがあります。その中で「呼吸」と「体の弛緩」は自分でコントロールできるもの。これらを活用してリラックスした状態を作ることで、自ら心身をリラックスさせることができます。2つのリラックス法をご紹介しますので、日常的に取り入れてみてくださいね。
「丹田呼吸法」
下腹部を膨らませたりへこませたりする呼吸法です。深い呼吸をすることで、自律神経のバランスを整えます。4秒吸って、4秒息を止めて、8秒かけてゆっくり吐気しましょう。
「筋弛緩法」
筋肉を意図的に緊張させた後に弛緩させることでリラックスを促す方法です。部位ごとの手順は以下のとおりです。
- 手と腕……拳を握りしめて5~6秒キープし、その後、力を抜いて10秒間リラックス。
- 肩……肩をすぼめて耳に近づけるように力を入れ、5秒間キープ後、一気に脱力。
- 顔……眉間にしわを寄せたり口をすぼめたり、顔全体に力を入れた後、一気に脱力。
- 脚……足先を伸ばしてアキレス腱に力を入れた後、一気に脱力。
ポイントは、60~70%程度の力で無理なく行なうことです。緊張10秒、弛緩15~20秒くらいなど、緊張させる時間よりも弛緩させる時間を長く設定してください。力が入るのは無意識的なものですが、意識すれば自分リラックスさせることができます。力が入っていることに気づいたときには、それを受け入れて、優しくゆるめてあげましょう。