教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
幸福度が低い人に共通する心のクセ「完璧主義」の3つの特徴
頑張り屋さんほど、仕事もプライベートも充実させたいと願いながらも、「どうも毎日が生きづらい」「もっと幸せを感じたい」と思うことはありませんか?
実は、幸福度が低いと感じる人には、ある共通の心のクセがあります。それは、知らず知らずのうちに自分を縛りつけているかもしれない「完璧主義」です。一見、「真面目で努力家」というよい一面のように思える完璧主義ですが、過度になると自分を苦しめ、幸福度を低下させる原因になりかねません。
今回は、幸福度が低い人が陥りがちな完璧主義の罠と、そこから抜け出して幸福度を上げるためのヒントを3つの要素でお届けします。
1. 「~でなければならない」の呪縛:自己肯定感の低さと達成感の欠如
幸福度が低い完璧主義の人は、「こうあるべき」「こうでなければならない」という強い固定観念に縛られがちです。仕事でも家庭でも、常に最高の結果を追求し、少しでも基準に満たないと「自分はダメだ」と厳しい自己評価を下してしまいます。
この「~でなければならない」といった思考は、「完璧でなければ認められない」という思い込みが根底にあるため、目標を達成しても次の「~でなければならない」がすぐに見つかり、心の底から達成感を味わうことができません。結果として、常に自分を追い立て、心に休まる暇を与えられず、疲弊して幸福度が低下してしまいます。
これで幸福度アップ
すべてを100%完璧にしようとするのではなく、本当に頑張りたいことを一つだけ選び、それ以外は「60%できれば十分素晴らしい!」と自分を褒める練習をしてみませんか? この練習をすることで、他人の評価や期待ではなく、「自分がどうしたいか」「自分にとって何が心地よいか」を大切にできるようになります。
2. 失敗への過度な恐れ:新しい挑戦への足かせと成長機会の損失
完璧主義の人は、失敗を極端に恐れる傾向があります。なぜなら、失敗は完璧ではない自分をさらけ出すものであり、自分への評価を大きく下げる要因になると考えてしまうからです。そのため、新しいことへの挑戦をためらったり、リスクを避ける選択をしたりしてしまいがちに。しかし、挑戦なしでは、成功も大きな学びも得られません。
失敗を恐れるあまり行動が制限されると、経験や知識も限られ、結果として「自分は何もできていない」という無力感や停滞感に苛まれることになります。このような心の負のサイクルは、幸福感を阻害する大きな要因となるのです。
これで幸福度アップ
思考パターンを「挑戦した結果は次へのヒント」だとポジティブに捉え直してみましょう。行動しながら修正できることは、たくさんありますよ。
3. 他者への厳しいジャッジと期待:人間関係の摩擦を生む原因
完璧主義が自分だけでなく他者にも向けられると、人間関係に大きなストレスを生み出す原因となります。「なぜできないのだろう」「もっとこうすべきだ」と、他人の欠点や不完全さに目が向きがちになり、イライラや批判的な視点になってしまうのです。自分自身に厳しい分、他人にも同じレベルの完璧さを求めてしまい、人間関係がギクシャクすることが増えることになります。
相手の不完全さを受け入れられないことで、孤立感を抱いたり、不必要な摩擦を生んだりすることも。良好な人間関係は幸福感に不可欠な要素であり、ここでつまずくことは幸福度を著しく低下させる可能性があります。
これで幸福度アップ
他者への期待値が高すぎると、「裏切られた」と感じることが増えます。相手に完璧を求めるのではなく、まずは小さなことでも感謝できる部分を探してみることから始めることをおすすめします。“非難している自分”と“感謝している自分”とでは、どちらが居心地がいいのかを確認していくと、継続してポジティブな人間関係を築くことができます。
自分らしく輝くために「もっと自由に軽やかに」
完璧主義を手放すことは、決して「いい加減になる」ことではありません。それは、自分にも他人にも優しくなり、心にゆとりと柔軟性を持つことです。そして、不完全な自分を丸ごと受け入れながら、それでも前に進む強さを育むことなのです。
40代、50代になると、それまでに積み重ねてきた経験があり、見えてくるものも変わってきます。だからこそ、長年抱えてきた心の重荷を下ろし、もっと自由に、もっと軽やかに生きてみませんか? あなたがあなたらしく輝くこと。それこそが、最高の幸福への近道ですよ!