前はあんなによく話してくれていたのに
夕食の支度ができて、「ごはんできたよ」と部屋をのぞきながら声をかけると、部屋の中から「わかった、部屋勝手に開けないで! 放っといてよ」。小6の娘は最近「放っといて」とよく言うようになった。以前は学校であったことを楽しそうに話してくれたのに、最近は「別に」「普通」としか返ってこない。心配になって「何かあったの?」と近づこうとすればするほど拒絶される感じがある。これが反抗期なのかな?
小学校高学年は、思春期への入り口。
この時期の脳では、他者の視点を理解する力(メタ認知)が発達し始める頃です。
「親にどう見られているか」「自分はどう感じているか」を同時に考えられるようになり、その分、心の中がとても忙しくなる時期。「放っといて!」という言葉をそのまま受け止めて距離を置くべきなのか、それとも気持ちの裏返しと捉えて関わったほうがいいのか迷う場面もあります。
「放っといて!」が始まったときの対応を考えてみましょう。
”自立の練習”も時代によって変化している
かつての「反抗期」は、親に反発しながら社会へ出るための境界線づくりの練習でした。
しかし令和の子どもたちは、家の中でもスマホやSNSを通して常に誰かとつながり、見られる時代を生きています。
外の世界で“他人の目”にさらされ続けるからこそ、家庭の中で「誰にも見られずにいられる場所」を確保したいという欲求が強くなるのです。
そして家の中では、 親と自分は違う存在であることを確認しながら、「離れていてもつながっている」という信頼を確かめていく段階にあります。
だから「放っといて!」という言葉は、「もう少し、自分の力で考えてみたい」と捉えるのがおすすめ。
「放っといて」と言われると、ついイラっとして「じゃあ勝手にしなさい!」と言い返してしまいがちですが、頭の中でこんな風に変換できるとよいでしょう。
- 放っといて→そっとしておいて。
- あっち行って、干渉しないで→一人の時間がほしい。
- 別に、話すことない→今は話す気分ではない。
寂しさや不安をぶつけ返すのではなく、「わかった、じゃあ気が向いたらおいで」と一言添えてあげられると子どもも安心できます。
子どもにとっては、”拒絶しても見捨てられない”と思えることが親への信頼に繋がるんですね。
「見守る」とは、“何もしない”ことではない
「信じて見守る」と言われても、何も行動しないのは不安。そう感じる親御さんも多いでしょう。
しかし見守るとは放置することではなく、「子どもが自分で考えられるように安全な環境を整えておくこと」。その準備が大切です。
たとえば、
- 無理に話を引き出そうとせず、話したくなるまで待つ。
- 「どうしてそんなこと言うの!」ではなく、「あなたはそう感じたんだね」と受け止める。
- 黙っていたり部屋にこもっている時間が長くても、おはよう・おやすみ・おかえり・ただいまなどの声はかける。
話したくなるまで待つのが苦手な方もいますよね。
そのような方は、3日間、1週間、2週間見守ってみようと自分の中で期限を設定してみるのがおすすめです。
親自身の寂しさや不安は、「この子の成長の証なんだ」と受け止め、落ち着いた姿勢で関わっていけるといいですよね。



