教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん

株式会社コレット代表取締役。心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
幸福度を保つのが上手な人が実践している「心の整え方」5つの習慣
新年度は、進学・就職・異動など、新しいスタートを迎えるタイミングです。期待がふくらむ一方で、不安を感じやすい時期でもあります。私たちの脳には、変化を“ストレス”として受け取りやすい一面もあるため、気づかないうちに心がゆらいでしまうことも。
そんな中でも、いつも凛として、幸福度を保っている人たちがいます。その人たちに共通するのは、「不安を飼いならすマインドセット(心の持ちよう)」が抜群に上手ということ。
今回は、新年度を軽やかに迎えるために役立つ、心の整え方を5つご紹介します。
1.「完璧なスタート」という幻想を手放す
「最初が肝心」という言葉もありますが、実はこれこそが、幸福度を下げてしまう呪文のようなもの。最初から全力で飛ばそうとすれば、誰だって途中で息切れしてしまいます。
幸福度の高い人たちは、“ゆるゆると継続できるマインド”を持ち、最初から期待もハードルも上げすぎないことを自然と意識できています。大切なのは、完璧を求めるよりも、新しい空気感に少しずつ体をなじませていくことです。まずは、30点、40点のスタートで十分。残りの60点は、これからゆっくり進めていきましょう。
2.不安を「見える化」して、頭の外へ追い出す
不安の正体は、“未知への恐怖”です。頭の中だけで考えていると、不安は霧のようにふくらみ、実際よりも大きく感じやすくなってしまいます。そんなときは、ノートに不安な気持ちをすべて書き出してみてください。“書き出す”という行為は、不安を脳のメモリから外部ストレージ(紙)に移すようなものです。
目に見える形にすることで、「実は大したことではないかも」「今悩んでもどうにもならないな」と客観的に捉えられるようになり、“できること”と、“今はできないこと”に自然と気づきやすくなります。
3.「最悪のシナリオ」にも対処できるプランを準備する
不安が強い人は、無意識に最悪の事態を想像して怯えてしまいがちです。一方で、幸福度が高い人は、あえて最悪のシナリオを具体的に想定し、「別のプランでどう対処するか」まで決めておくのが上手。たとえば、「もし〇〇できなかったら、おいしいケーキを買って帰って、早めに寝よう」といったイメージです。
「最悪でも、こうすれば大丈夫」と、出口さえ決まっていれば、心は平穏を取り戻します。自分で対処法を見つけられることが、大きな安心につながるのです。
4.「変えられないこと」より「今、ここ」の五感に集中する
まだ起きていない未来のことを心配するのは、存在しないお化けを怖がっているのと同じです。不安に飲み込まれそうになったら、“今、自分の手にあるもの”に意識を向けてみてください。
たとえば、丁寧に淹れたコーヒーの香りを嗅いだり、お気に入りのハンカチの感触を確かめたり。五感を使って「今、この瞬間」に意識を引き戻すことで、未来や未知への不安が心を占めてしまうのを防ぐことができます。幸せは、常に「今」「自分」の中にあるものです。
5.「新しい自分」ではなく「更新された自分」を楽しむ
新年度だからといって、無理に“別人”になろうとする必要はありません。これまでの人生で培ってきた経験やスキル、そしてあなたのやさしさや思いやりは、場所が変わっても消えることはないのです。
「新しい環境でどう振る舞うか」ではなく、「これまでの経験を、新しい場所でどう味付けしようか」と考えてみてください。新年度は「リセット」ではなく「アップデート」。上書き保存された、より深みのある“今の自分”を楽しもうとする姿勢が、幸福度を引き上げてくれますよ。
不安な気持ちがあるのは、勇気の証拠
4月の風は、あなたを追い詰めるものではなく、そっと背中を押すために吹いています。不安は、あなたが「新しいことに挑戦しようとしている証」。その勇気を持っている自分を、まずは褒めてあげてくださいね。





