サンドゥィッチマン、10代から続く男同士のワチャワチャした仲良しぶりが愛おしい

カルチャー

2018.12.04

あくまで個人的趣向だけれど、テレビでイケメンや美女を欲することがあってもお笑いを見る機会が少ない。興味がないのか時間が足りないのかはさておき、そんな私でも登場すると確実に注目してしまうお笑いコンビがいる。それがサンドゥィッチマンさんだ。

今や多数の番組を抱える売れっ子の二人。お笑い芸人なのだから関係ないのかもしれないけれど、消して眺めていたくなるようなビジュアルではない。タイプなのか問われればとんでもない。それでもあの軽妙なコントは見るたびに笑ってしまう。この人たちがなぜ、今(もちろん私だけではなく)世間から注目を浴びて、そしてオファーは途切れることがないのかひとつの答えが見えた。

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高校も結婚するタイミングも、そして目指すステージも同じ

「ケンカは1回もないです。もし富澤に何かあって死んだりしたら、僕はこの世界を辞めます」

ネットで少し検索をしてみると伊達みきおさんのこんなインタビューが上がってきた。これはどういうことだろうか。

サンドゥィッチマンさんは宮城県出身で高校の同級生。富澤さんの誘いでお笑いを志して、上京。二人でアパート住まいをしていたこともあるとか。この時点でだいぶ仲がいいことが伺えるのだけど、2009年に結婚したタイミングも同じだという。自分たちのことを「両思いですね(笑)」と言っていたこともあるというのだから、友情の濃度は濃い。こういう経緯があっての、先述した伊達さんのひと言だ。昨日今日始まったような友情ではこんな発想がない。

血縁以上の理解がお互いに存在するからこそ2007年の『M-1グランプリ』で敗者復活戦からのグランプリという、ドラマティックなストーリーが奏でられたのだと思う。彼らしか持ち合わせなかった魅力? そう考えていくと絶対的な魅力は“男の友情”というひとつの回答にたどり着いた。

いい大人が仕事でも、同居していた時は家でも顔を合わせているのに飽きることも友情が尽きることもないとは極めて珍しい現象だ。

男の友情に女は敵わない、そう教えてくれたぽっちゃりオジサンたち

二人には地元愛もある。出身地の宮城県が震災に襲われた時、現地に居合わせた二人は復興のために自分たちの時間を費やした。「震災芸人と呼ばれてもいい」と今でも義援金を募っている。そんな二人の真摯な対応に気づいた世間が注目度を高めているのは周知の事実だ。

“男の友情”は現在のヒットを語る上で欠かせないキーワードのひとつ。思い出してほしいのが、まずは嵐。アイドルならばグループ内で切磋琢磨しあっていくデフォルトを覆して、仲の良い男が集まりスターになった。それから大泉洋さんの所属するTEAM NACS。地元北海道をこよなく愛しながら各々に芸能活動を続けている。

女性同士には稀な関係性だし、男性だけに許された甘味の世界なのかなと思う。幼少期のことを思い出すと、女同士でよく遊んでいたお人形さんごっこが浮かんできた。ここには「お人形のお家や家具をどれくらい持っているのか」というマウントの掛け合いがあった。女なんて年齢問わずそういうものだ。おままごとなんて、もっと下克上の世界でたった一つしかないお母さんの役を取り合うところから始まるのだから、女同士の友情を形成するのは難しい。

その傍らで同い年の男子が、鼻水を垂らしながら無邪気にボール遊びをしている。気温も時間も考えずにひたすら体を動かす。ここにはマウンティングなんて器用なものが存在するわけがない。10代からそんな時間を過ごしている二人なら、共鳴するものはいまだに変わっていないんだろうなというのがスナイパー小林予測。

人気芸人はたくさんいる。でもお互いを信頼する関係性が成立して、ビジネス仲良しではないコンビと言えばどれくらい存在するのか? そんな疑問をするりと踵を返すかのように彼らは今日も面白い。

以前、放送スタートしたばかりのバラエティ番組『バイキング』(フジテレビ系)でサンドゥィッチマンさんは田舎へロケに出かけていた。地元民いじりもさすがだった。
「この光景、なんだろう?」
と既視感を覚えた。思い出した、ワチャワチャと手を叩きながら画面に現れて、地元民と戯れている二人はディズニーキャラクターの『チップとデール』に似ている。パートナー同士、いつも同じような行動をしている様子は伊達さんと富澤さんを思い起こさせるじゃないか。あ、でもサンドゥィッチマンさんならもう少しふっくらした感じのチップとデールということでよろしくお願い。

プロフィール
スナイパー小林/小林久乃
ライター兼編集者。ドラマヲタが高じてウエブ『マイナビニュース』『テレビドガッチ』でエンタメコラムを連載中。男性ファッション雑誌『2nd』にて「ちょっとどーなの?お洒落メンズ』にて辛口連載も。ついでに書籍や写真集もバンバン、ガンガンとディレクションする働き者。静岡県浜松市出身の独身。近況はツイッター@hisano_k

イラスト/榊原一樹

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