やたらとヨイショをしてくる人は、あなたに「こうあってほしい」と思っているかもしれません
心理学に「ラベリング効果」というものがあります。相手に「こうあってほしい」というラベル、つまりレッテルを先に貼り付けてしまうことで、そこへ誘導することができるというものです。
例えば、資料作成が雑な部下にそれを頼むとしましょう。
このとき、「いつもちょっと雑だから、もっと丁寧にやってくれよ」などと言ってしまったら反感を買うだけです。
それよりも、「いつも丁寧な仕事をしてくれてありがとう。この資料もよろしく頼むよ」と、「いつも丁寧な仕事をする」というレッテルを先に与えてしまえば、部下はまんまと、あなたが望む方向へ誘導されるでしょう。
この効果について、逆から考えることもできます。
あなたをやたらとヨイショする人がいたら、レッテル貼りに精を出しているのかもしれません。
そのときは、「この人は私に、こうあってほしいと思っているんだな」と解釈し、それをやってあげれば相手は喜びます。
乗せられたふりをして主導権を握ってしまえばいいのです。
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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。
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