物語:家出少年と晴れ女のラブストーリー
離島に住んでいた帆高は、家を飛び出し東京で一人暮らしを始めます。でもまだ十代、お金もなく手に職もない彼は、怪しい編集プロダクションでライターの仕事をすることに。ある日、帆高は、陽菜という少女に出会います。弟と二人暮らしの彼女は特殊能力の持ち主でした。それは祈るだけで天気を変えられる力だったのです。
『君の名は。』を超えるロマンチックな世界
新海監督の前作『君の名は。』は、別の場所で生きる男女の体が入れ替わって起こるファンタジー。二人の切ない恋心と物語が進むにしたがって壮大に広がっていく世界観は、アニメだったからこそ表現できたのではないかと思います。そして、その世界観は本作でも!
ベースになるのは帆高と陽菜の恋ですが、今度は天気が重要なキーワード。天気を変えることができる陽菜は、帆高の人生も変え、その力は世界をも変えてしまうのです。
新海監督の美しい映像美が映える空、雲、雨、自然
新海監督といえば、映像の美しさが良く語られますが、本作ではその力がより発揮されているのではないでしょうか。本作は主人公の男女と同じくらい、天気も重要なポジションをしめており、ザーザー降りの雨で町全体がグレーになっていたり、晴れ間がさして太陽の光が差し込んだり、コンクリートに落ちる雨の雫など、さまざまな新海監督の「美」の世界を堪能できるのです。
さまざまな障害を越えられる?帆高と陽菜のラブ
『君の名は。』でも主人公の男女の間には遠距離というだけでは語れない、大きな時代を超える壁が存在していました。それを乗り越えて出会えるか否かというサスペンスがあの作品にはありましたが、本作では陽菜の運命が二人の壁となっています。詳しくは映画を観ていただきたいのですが、惹かれ合う二人の必死の想いが天に届くのか。サスペンスもはらんだ帆高と陽菜の恋の行方も見逃せません。
美しい映像は大きなスクリーンでこそ映えるもの。『天気の子』はぜひ映画館で観てほしいです。蒸し暑い夏をつかの間忘れさせてくれる清涼の世界を体感してください。
(文/斎藤 香)
『天気の子』
(2019年7月19日公開)
原作・脚本・監督:新海誠
音楽:RADWIMPS
声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
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