「自分を無理に変えよう」と、苦しむことはやめましょう【脳科学者に聞いた!vol.72】

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 「自分を無理に変えよう」と、苦しむことはやめましょう【脳科学者に聞いた!vol.72】

2019.11.15

物事がうまくいかないと、「自分が変わらなければ」と思ってしまう人もいますよね。しかし、脳科学的には「自分そのものを根本的に変える」ことは、かなり難しいといいます。

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いまの自分の体質、思考、価値観、直感......自分が持つありとあらゆるものを生かす

 わたしたちの脳は、自分ではどうにもならない生まれつきの特質を持っています。
 脳にあるさまざまな神経伝達物質、たとえば安心感をもたらすセロトニン、やる気を高めるドーパミン、集中力を上げるノルアドレナリン......それらの量にもすべて個人差があります。
 また、それらの全体量を調整するモノアミン酸化酵素も、分解の度合いには遺伝による個人差があります。つまり、脳には人それぞれ生まれつきの特質があり、それぞれの「個性」をかたちづくっているのです。
 そうした脳の働きを考えると、「自分そのものを根本的に変える」ことはかなり難しいということがわかります。少なくとも、なにかの目標を達成したり、充実した人生をすごしたりするためには、あまり効率的なアプローチとはいえません。
 それよりも、わたしが強くお伝えしたいのは、「いまの自分を最大限に生かす」のが大切だということ。いまの自分の体質、思考、価値観、直感など、自分のありとあらゆるものを総動員して生きていくのです。
 あなたの脳はこの世にひとつだけしかなく、あなたの存在もたったひとつだけのものです。もっとも大切にすべきは自分であり、世間の標準や憧(あこが)れの人物などに自分を合わせていく必要はまったくありません。
「自分を無理に変えよう」と思って、苦しむことはもうやめましょう。そうではなく、自分に与えられたものを最大限に生かすことに全力をそそぎ込むのです。
 そうすれば、あなただけの幸福な人生へと近づいていけます。

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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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