マスクの長時間着用によって生じる「乾燥」と「赤み」
まず、女性12名を対象に、長時間(5~6時間)マスクを着用した場合の肌の変化について測定しました。
①頬上部(目の下あたり、マスクの端が強く接触する部分)と②頬下部(マスクで覆われる部分)のヘモグロビン量を測定したところ、頬上部(目の下あたり)の赤みが増加していることがわかりました。
さらに特殊なカメラ装置を用いて、肌のうるおいの指標である角質水分量、および肌の赤みについて詳細に解析したところ、頬下部では差がみられませんでしたが、頬上部ではマスク着用5~6時間後にうるおいが10%低下し、赤みが5%増したという結果に!
このことから、マスクが接触している目の下の部分はマスクによって油分や水分が吸着されるため乾燥しやすく、マスクと肌の接触部は摩擦のせいで炎症による赤みが生じやすいと考えられます。
昨年の同時期と比べて、肌荒れしている女性が急増!
実際に、昨年と今年の同時期における女性の肌の状態に、どのような変化があったのでしょうか。
肌荒れの指標として持ち入れられるテープストリップ法により、角質細胞を採取して比較したところ、今年は重層剥離の量が明らかに増加していることがわかりました。
重層剥離とは、テープストリップ法により何層もの角質細胞が重なって見られる部分で、荒れた肌では多く観察されます。
この調査結果から、生活環境の急激な変化によるストレスや、マスク着用頻度の増加によって、今年は例年よりも肌荒れリスクが高いと考えられます。
新型コロナの影響によって生じた様々な変化とは?
一般女性を対象にしたWEBアンケートによると、新型コロナの影響により、「マスクを使用する頻度」や「スマホやPCの利用」、「ストレスを感じること」、「顔の肌荒れ」が増えた、またはやや増えた、などの回答が多く、生活や肌状態に変化が生じたと感じる人が多いことがわかります。
さらに、「マスクの着用によって感じる、お肌の悩みは何ですか?」という質問に対しては、「ベタつき」、「お肌のかゆみ」、「乾燥・カサつき」、「ニキビ・吹き出物」など、さまざまな肌の不調を感じている人が多いという結果に。
【調査概要】
日本メナード化粧品株式会社調べ
・女性 10~80代
・1391人
・WEBアンケート
「長時間マスク着用」による肌荒れを防ぐには?
調査結果から見えてきたのはマスクがこすれる目の下の部分は乾燥しやすく、炎症による赤みが生じやすいこと。
さらに、マスク着用の5~6時間後にうるおいが10%も低下していることから、マスクを着用していても肌は保湿されておらず、着用時間が長くなるほど乾燥が進んでしまうことがわかります。
マスクをしていると「べたつき」が気になることから、保湿されているのでは?と思いがちですが、実は肌は乾燥しているんですね。マスクを外す際、内側の水分が一気に蒸発することで肌表面の水分まで奪ってしまうことも、乾燥を進めてしまう原因となっています。
外出時の長時間マスクが避けられない中、少しでも肌トラブルのリスクを減らすには、これまで以上の“十分な保湿”が重要。保湿ケアは、肌に必要な水分を与えて健やかなターンオーバーを促してくれるだけでなく、肌を守るバリア機能を高めてくれる効果もあるんですよ。
乾燥してバリア機能の低下した肌は、細菌やウイルスなども付着しやすい無防備な状態に。マスク生活の続く間は、保湿効果の高い化粧品で丁寧なケアを心がけてくださいね。
マスクの摩擦による肌の赤み対策には、綿やシルクなどで作られた柔らかい布製マスクの使用がおすすめです。
新型コロナ収束の見通しが立たない中で、マスク生活はまだまだ続くと思われます。マスクによって長期間毎日のように覆われ、擦られるという過酷な環境下に置かれている肌は、私たちが思っている以上にダメージを受けているんですね。
さらに、高温多湿の夏はマスクの中が蒸れやすく、肌トラブルのリスクはさらに増加すると考えられます。深刻な肌トラブルが起こる前に、これからの季節も積極的な保湿ケアで肌のバリア機能を高めましょう。
文/鈴木杏
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