働くときに、女性という性は本当に不利?
勝間さん(以下、勝間):真木子さんは、長くキャリアを積んでこられていますが、女性であることがマイナスになったご経験はありますか?
川村さん(以下、川村):私は自身のキャリアのほぼ全てを外資系投資銀行で働いてきました。外資系と言っても、オフィスが東京にあるので日本人社員も多く、日本の文化が垣間見える環境です。それは例えば、男性のほうが出世しやすく、女性が出世しにくかったり、評価も男性のほうがボーナスが高かったりすることがあるという意味です。
女性の方も「私はできない」と言ったり、外国人の上司に大きな仕事やポジションを与えられても、尻込みしてしまう人も多かったりしました。
勝間:女性はおとなしくしていたほうが得な場面が多い社会ですよね。だから女性が静かになっちゃうんだと思いますよ。ただ、これは仕事の時に得だとは限らない。
女性の最大の問題点は交渉力が弱いことだと思います。それは何でかっていうと「交渉する女性はうざい」と思われるからだと思います。わざわざウザがられにいきたい人はいませんからね。こうゆう社会常識とか、社会の雰囲気が、女性を交渉から妨げているように思います。
けして性別のせいではありません。どんな社会か、がカギです。
女性優位な社会構造になっているインドのとある小さな村では、女性の方が競争的だし交渉するそうです。男性は逆に出世などにも消極的だそうですよ(笑)「社会常識」が女性優位になっていると女性だって表立って競争するし、交渉もします。
川村:おもしろいですね。私は海外で育ったっていうのもありますし、成長するまでの過程で男女差別にすごく傷ついた経験があります。
それが糧になって、あえて自分から交渉しに上司に突っ込んで言っていましたね。「もっと責任のある仕事をください」とか、毎回ボーナス交渉もしていましたし、なんで私が出世できなくてあの人が出世したんですか、など、納得できないことがあればすぐに聞きに行って、納得するまで交渉していました。
勝間:交渉しないと始まらないですからね。
川村:嫌われてもいいから言うべき事は言おうというスタイルでやっていますね。でもそれをやるためにはもちろん「仕事で結果を出す」という大前提がありますが。結果を出さないで交渉はできませんからね。
日本の中年男性のうつ病の罹患率、自殺率って世界レベルで高い!?
川村:そもそも能力的には男女差はないですよね。むしろ、女性のほうが優秀なくらいだと思っています。
医学部不正入試問題ってありましたね。産休や育休が入ると現場が回らなくなるから、女性はいらないって話になるらしいですけど、女性の能力が低いわけではないですよね。
勝間:実は女医さんに診てもらう方が死亡率や誤診率が下がるという衝撃のデータがあるくらいですよ。でも男性中心の仕事は男性有利になっちゃいますよね。
俺たちのように働けるなら、仲間に入れてやってもいい、みたいな。そうすると女性で認められるには、女性のかっこをした中身男性、プライベートも捨てられるような人。子どもを産みたい、子育てしたい、みたいな希望を捨てられるのか?という踏み絵を踏まないといけないですね。
川村:男性化しないと男性中心の社会では生きづらいですよね。海外はどうなんでしょうね?
勝間:EUなどは長時間労働規制をかなり引いています。労働規制を引かないと、ずっと今のままですよ。日本の医者は平均で週60~70時間働きます。そんなに働ける女性はあまりいません。特に子育て中の女性は絶対無理です。
規制を引いて男性の労働時間を減らせば、自ずと女性がパートタイムでなく適正に活躍の場を増やせると思います。
川村:EUは成功しているんですか?
勝間:女性の労働比率は飛躍的に上がっていますし、出生率も戻ってきています。
日本では労働規制を引かないことによって、女性の参入を妨げているんです。男性の方が競争が激しいので、無能な男性は有能な女性が労働市場に参加するのを必死で拒むわけです。それで、女性はパートタイマーになっちゃう。
そこでさらなる問題が発生しています。
日本の中年男性のうつ病の罹患率、自殺率って世界レベルで高いんですよ。
男性1人の平均収入で子供を大学に通わせるのは非常に困難です。ここ30年ほどで専業主婦モデル(男性だけが働いて家族を養う)は緩やかに変化してきていますが、日本の社会体系が変化しきれていないので、歪みが女性だけでなく男性にも影響を与えているのです。
両者の緩和のためにも女性が男性レベルの収入を持つことが非常に重要だとみなさんに自覚していただきたいです。
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