なぜ人は、浮気や不倫をしてしまうのか―
著者は、全米で評判の臨床心理学者であり、結婚カウンセラーでもあるウィラード・ハーリ 。
ハーリは「自分の欲求を満たす権利を、パートナーだけに与えると約束するのが結婚だ」といいます。しかし、なんらかの欲求が満たされ続けないでいると、お互いの存在はおおいに欲求不満のもとに…。
すると、浮気や不倫など、破滅的な道をたどってしまうことになりかねないのです。そうならないためにも、まずは「お互いの最も大切な欲求」を知ることからスタート。
夫婦がお互いの欲求を満たし合えれば、それは人生で最も大切なことを身につけたようなものだといいます。
「自分がしてほしいこと」が相手もしてほしいこととは限らない!
この本は、ハーリの結婚カウンセラーとしての実体験をもとに構成されているので、実例が豊富で読みやすいことが特徴です。
カウンセリングにきたある夫婦の場合、夫の欲求と妻の欲求の優先順位が真逆でした。要するに「自分がしてほしいこと」と「相手がしてほしいこと」が違ったのです。長年連れ添った夫婦でも第三者によるカウンセリングを受けると、そこの相違に気付かされることがあるのです。このようにあらゆるケースを著者が一つずつ丁寧に紐解いていきます。
あなたとパートナーの“愛の貯金額”は?
ハーリの最終的な目標として「結婚生活を続けるうえで恋愛感情を持ち続け、年齢を重ねるごとにお互いがより親密で近しい関係でいられることだ」といいます。
そこで、男性と女性が出会い、恋に落ちて結婚に至り、結婚生活を継続するうえでの欲求の変化を「愛の貯金額」という表現を使って説明をしています。
その愛の貯金額は夫、妻のそれぞれの「愛情銀行(ラブバンク)」に増えたり、減ったりしていくといいます。夫婦のあいだに知らず知らずのうちに食い違いがあると、その貯金額はどんどん減っていくことに。
しかし、お互いの「最も大切な欲求」を理解し合えていれば、貯金額は増えていきます。そして、想像以上に深い絆で結ばれ、満ち足りた結婚生活を続けることができるといいます。
愛情銀行の残高を切り口に、二人が困難を乗り越える方法や赤裸々な男女の本音など、著者ならではの感性で読者に訴えていきます。
結婚生活に必要な10項目
ハーリは、カウンセリングをする際に「相手にどうしてもらったら、あなたはいちばん幸せですか?」という質問を必ず夫婦にするそうです。
これまでの返答を分析してみたところ
「愛情表現、性的な満足感、会話、趣味、誠実さ、魅力的でいること、経済的な安心感、尊敬・賞賛の念、家族との時間、家事のサポート」
と、10項目に分けられるといいます。
確かにどれも、結婚生活になくてはならない事柄ばかり。この項目が夫婦で同じであっても優先順位が異なってしまっては、二人の間に溝ができてしまいます。
たとえば、夫は妻に対して「一緒の趣味を持ちたい、常にキレイでいて欲しい」と優先に感じていたとしても、妻は夫に「時間の使い方や家事のサポート」を期待しているようではうまくいきません。その解決策として「男性とは…」「女性とは…」と、それぞれが求めるものを解説してくれています。それを読んで理解をすると、その後のパートナーへの接し方が変わっていきます。
夫の言い分 妻の言い分
これまで発売されている多くの結婚・恋愛本は、どちらか一方の異性に向けて書かれているものが多いような気がします。
しかしこちらは、男性、女性の両方に向けた内容が一冊にわかりやすく、諭すように書かれています。お互いのことをわかり合えれば、うまくいくに違いありません。これから結婚をする人、長い結婚生活を過ごし、ちょっと最近パートナーとうまくいっていないという人にも強くオススメしたい一冊です。
【著者プロフィール】
ウィラード・ハーリ
カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校にて心理学博士号を取得
臨床心理学者・結婚カウンセラー
本書はアメリカで出版されて以来、世界中で350万部のベストセラーとなり、多くのカップルの支えになっている
『夫の言い分 妻の言い分 理想的な結婚生活を続けるために』
出版社:かんき出版
価格:1400円+税
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