【犬山紙子×川村真木子】「今、ちょっとしんどくない?」SOSを発信できる自分、受け止められる自分になる

カルチャー

 【犬山紙子×川村真木子】「今、ちょっとしんどくない?」SOSを発信できる自分、受け止められる自分になる

2021.02.20

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自分で抱え込まないで、助けを求めることも大事

犬山:でも、ついマウントをとってしったときに「あー、やっちゃった」って嫌な気持ちになる部分もありますよね、すごく悪人とかじゃない限り(笑)。

だからまず自分がマウントをとっているなっていう気付けたならば、それは自分がSOSを発信している、でも助けを求められないからマウントという形で発露してしまっていると自覚するといいと思うんですよ。そして、今自分が抱えている辛いことを一回整理して可視化するといいと思いますね。

川村:SOSという意味で、やはり女性は社会人になってからのほうがストレスを抱えているなって思うことが多いんですけど。勤務先でも、家庭内でも、急に「女性」を感じる場面が出てくるからでしょうか。学生時代までは女性も男性と肩を並べて、差を感じずに同じように過ごしている人が多いんですよね。

それまで対等だった同期の人が、社会に出た途端女性だから、男性だから、と差が出てくる。お土産のお菓子を配ったり、飲み会で料理を取り分けたりね。仕事のチャンスもやっぱり男性のほうがいい機会をもらっていたりして、見えない壁を感じますよね。結婚してからも女性のほうが家事や育児の負担は女性のほうが圧倒的に大きかったり、育休や時短勤務はなぜか女性側がとることが多い。何かと性差を感じますよね。

犬山:能力は同じなのに社会に出た途端認められないって本当に次の世代に持ち越したくないですよね……。家事育児って評価が外の仕事みたいに数値化されないから、自分の頑張りをなかなか認められないのも歯がゆいですよね。本当はもっと仕事をしたいのにできない、という人のストレスはかなりのものだと思います。

以前、専業主婦の方にアンケートを取った時9割の人が仕事したいけれど環境的にできないと答えられていたのを思い出しました。そしてそれがストレスになっていることすら気付いていない人も多いのかも。

私は、こういう問題もしっかり向き合うために、もうちょっとカウンセリングが身近だといいんじゃないかと思うんですけどね。日本って本当に追い詰められないとカウンセリングに行かないという印象で。体のことはプロに見せるのに、心のことはプロに見せない。

心理学を専攻して勉強をして資格をもったプロの先生がいるのに、そこへのアクセスが遠いので、そこの距離をもうちょっと縮めてプロにみてもらうハードルが下がるといいなと思いますね。

川村:犬山さんはご主人と一緒にカウンセリング受けられて、それにすごい救われたって書いていましたけど、本当におっしゃる通りで日本はカウンセリングが身近じゃないですよね。アメリカに私がいたときは学校にもカウンセラーがいたし、自分がちょっとウツっぽいと思ったときは「すぐにカウンセリングを受けたほうがいい」っていう文化があったんですよ。

日本だと、カウンセラーって病んでいる人が行くんでしょ、まだ私は平気っていう感覚の人が多いと思います。カウンセリングが身近になればいいというのは本当にそうだと思うんです。SOSを出すと負けというか、我慢が足りないとかわがままと思われるだとか、そんなことを絶対にない。ちょっとモヤっとするな、という気持ちを大切することで、SOSが早い段階で出せるから、解決もしやすいはずなんです。こじらせないから。カウンセリングがもっと身近になり、気軽にアクセスできればいいのにって思います。

川村真木子さん「本当に自立しているのはSOSを出せる人」

犬山:そうですよね。自己責任論が強いから、SOSを出しにくいんですよね。出したくても出す相手が成熟しているかどうかもわからないから、もっと傷つけられるかもしれない。誰かにSOSを出されたときの対応の仕方もわかっていなかったりするので、自分が聞くスキルを身に着けておくことと、それを適切な機関にちゃんとつなげられるようになっておくことも大事なんじゃないかな。

「自立」の意味は一人の力で立つことじゃなくて、SOSを出さなきゃいけないときに出せる力があって、誰かのSOSをちゃんと受け取って適切なところにつなげられる力がある、そのほうが自立として正しいじゃないかなと思っています。

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