【犬山紙子×川村真木子】「今、ちょっとしんどくない?」SOSを発信できる自分、受け止められる自分になる

カルチャー

2021.02.21 更新

新型コロナウイルスの影響もあり、人間関係までギスギスしたり、ストレスで心が不安定になっている人も多くいる現在。相手を見下したり、自分の優位性を自慢する発言をしたり……。そんなマウントをとることも、不安の現れだと分析するのは、エッセイストの犬山紙子さん。社会派コラムが大人気のバリキャリ金融女子、川村真木子さんとの対談で、自分の「心」との付き合い方について語ります。

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なぜ私たちはマウントをとってしまうの?

川村真木子さん(以下川村):犬山さんはマウンティングについての本を出されていましたよね。

犬山紙子さん(以下犬山):瀧波ユカリさんとの共著で『女は笑顔で殴り合う』っていうタイトルだったんですけど、女性はストレートにというよりオブラートに包んでマウントをとりあうという話ですね。対して男性はオブラートに包まずにマウントとりあうことが多いねという考察です。

川村:私は社会人になってから、アメリカの金融機関というほぼ男性ばかりの世界で生きてきたので、マウントをとりあっているのは男性という印象ですね。男同士は競争大好きですよ、本当に(笑)。誰が上なのかっていうのをビックリするくらい毎日やっていましたよ。

犬山:毎日! 女はネチネチしているという刷り込みがありますが、ネチネチしている人は男性だってネチネチしている。どっちもどっちというか、この刷り込みも男性側からのマウントなんじゃないかと思います。そして女性も男性もマウントを取らない人は取らない。要は性別じゃないですよね。

川村:そうですよね。男性は仕事関係でマウントを取り合うことが多い気がしますが、女性は自分の属性とか生活のレベルみたいなものを比べてしまって、マウントの取り合いをすることがありますよね。

犬山:ありますね。たとえば嫉妬してしまったとか、学歴や職業、外見や家族、そしてお金……そういったコンプレックスが刺激された時。そしてマウントする相手は、そういった気持ちが刺激される自分と近い立場の人になぜか攻撃してしまうという……

川村:一方でシスターフッドでつながっているなぁと感じることもありますよね。女性のほうが性差を感じてやるせない気持ちになった経験が多いからこそ、次の世代にはそんな思いをさせたくない、という気持ちがある。だから女の世界ってネチネチしているという世間の印象よりも女性だからこその絆や、思いやりがあると思います。

犬山紙子さん「マウントの裏に隠れているもの」

犬山:シスターフッド、まさにです。私も女の友人と「この理不尽なの若い世代には残したくないよね」と話すこともしばしば。本当に心強い味方で、彼女たちがいなかったら生きていくのがしんどいだろうなって思うくらい。また、マウントっていうのはコンプレックスの裏返しであることが多いと思っていて。例えばよく言われる、夫の属性を使ってマウントを取り合うっていうのは、本当は自分がキャリアを持ちたかったとか、社会の圧や、夫に意見を聞いてもらえないなど悶々とさせられている背景があるんだと思う。だからマウントする側も被害者の側面があるというか。いじめの構図に似ていると思うんです。他でかけられたストレスを間違った方法で発散している。

川村:本当は自分の力でマウントをとりたい、戦いたいのに、型にはめられて専業主婦になってしまった結果、今の自分が持っているものや家族に頼って自分の価値を上げているというか、そういうことですよね。

犬山:そうですね。もちろん外で仕事している人も同じく。所属している会社の名前や、ポジションを使ってマウントすることも。これも圧やストレスが原因だと思います。専業主婦も、外で仕事していても、どちらも自分の日々に誇りを持てたらマウントなんてとらないですし。自分に自信を持てる環境づくりが大切だなあと感じます。

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