【犬山紙子×川村真木子】「今、ちょっとしんどくない?」SOSを発信できる自分、受け止められる自分になる

カルチャー

 【犬山紙子×川村真木子】「今、ちょっとしんどくない?」SOSを発信できる自分、受け止められる自分になる

2021.02.20

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子どもに対する虐待も、母親が完璧な育児を求められてSOSを出せないから?

犬山:2018年に「#こどものいのちはこどものもの」という活動を始めたんですけど。それまで児童虐待の問題はしんどくて目をそらしていたんですね。その罪悪感がどんどんたまってきて最終的に、目黒区の5歳児の女の子、船戸結愛ちゃんが亡くなるという痛ましい事件が起こったときにそれがわーっとあふれたんです。子どもって大人とちがって助けを求めることも逃げることもできないのに、そんな子どもを大人が守らないでどうするんだということで活動をはじめました。

川村:その虐待をしてしまう親自身も、SOSを出せないという見方もありますよね。

犬山:母親が完璧に育児をしなきゃいけないという風潮が虐待を産む土壌としてあると思います。産むときに虐待しようと思って産む親なんていないんですよね。でも虐待に至ってしまう前にSOSを出せない。夫がいたとしても、育児に関心がなかったりすると、より孤立が加速する。「育児は大変だけど、女性ホルモンが出ればできちゃうんでしょ? だってみんなやってるし」って言われると、ふざけんなよって思うんですよ(笑)。こっちは努力してやってるんだよ! っていう。そういう男性に都合いいうわさばっかり流れません? 

川村:本当にそうですよ。今はコロナ渦で行き場がなかったり相談もできない妊婦さんも増えているんですよね。

犬山:そうですね、そういった妊婦さんを支援されているにところに取材したときにも、女子高生の妊婦さんがホームレス状態になっているっていう話を聞いたりして。そうなった場合に、どこかに助けを求めたいと思ったときに、行政のハードルが高すぎる。日本だと生活保護を受けることにバッシングされたりとか、これも自己責任論がはびこっているせいだと思うんですが、自治体に公的にお世話になるっていうのは恥ずかしいことなんだ、自分はまだそこまでじゃないって思っちゃうんですよね。

公的機関に頼ることの偏見というものをなくしていくことと、あとは情報がもっと密接にあればいいと思います。そういった方たちを支援しようと活動されている方たちって沢山いるので、困っている方の目に触れるように、認知をあげていくっていうのも大事ですよね。

犬山紙子さん、川村真木子さん プロフィール

犬山紙子さん

1981年大阪府生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト、コメンテーター。『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)でデビュー。著書に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ文庫)、『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』(瀧波ユカリとの共著 筑摩書房)、など多数。2017年に長女を出産。児童虐待をなくすための活動 #こどものいのちはこどものもの ボランティアチアームのメンバー。

川村 真木子さん

奈良県生まれ。一児の母。高校時代に渡米、UCバークレーを卒業する。卒業後、米投資銀行ゴールドマンサックスを経て米大手投資会社に転籍。4万人のフォロワーを抱える社会派インスタグラム@makikokawamura_が人気。

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