「だし」って、一体なんのこと?
「だし」とは、動物性・植物性の天然素材から「うま味」の成分を抽出した液体のこと。日本料理の「だし」、西洋料理の「ブイヨン」「フォン」、中華料理の「湯(タン)」と、一口に「だし」といっても種類はさまざまです。
料理の基本となる味は甘味、塩味、酸味、苦味、そして「うま味」の5つとされ、「だし」に抽出されている「うま味」は、料理のおいしさを決める大事な要素のひとつです。
実は「うま味」が基本の味覚として認定されたのは2002年と、意外と最近のこと。
代表的な「うま味」の物質として昆布などに含まれる「グルタミン酸」、かつお節などに含まれる「イノシン酸」などが知られています。
この2つの成分が組み合わさることで、うま味の相乗効果が生まれ、おいしさが格段にアップするのです。
「うま味」が凝縮された「だし」は自然の恵みそのもの。だしは、料理をひと味もふた味も引きたてます。
だしの種類と特徴、だしを生かしたおすすめ料理はコレ!
かつおだし
かつお節には薄削りと厚削りがあり、薄削りはお吸い物や茶わん蒸しなど素材の味を大切にしたい料理に、厚削りは風味とうま味がしっかりしているので濃い味付けをする料理に適しています。
最初にとる「一番だし」と、取り終わったあとの一番だしから、さらにだしをとる「二番だし」があります。
【おすすめ料理】
一番だし…お吸い物、みそ汁、茶わん蒸し、めんつゆなど
二番だし…煮物、炊き込みご飯、鍋物、うどんなど
昆布だし
あっさりしてほんのり塩けを感じる昆布だしは、食材の味や香りを生かした料理にぴったり。かつお節や煮干しなどの動物性の素材と組み合わせると、相乗効果でうま味がアップします。
【おすすめ料理】鍋、煮物、おひたし、お吸い物
かつおと昆布の合わせだし
かつお節と昆布の合わせだしは、2つのうま味成分が組み合わせることで、より深い味わいになり幅広い料理に使えます。
【おすすめ料理】煮物、鍋物
煮干しだし
かつおだしより酸味が弱く、強い香りを持つだしが取れるのが特徴です。そのため、みそ汁や麺類のつゆ、煮物などに向いています。
【おすすめ料理】みそ汁、ラーメン
しいたけだし
干ししいたけは、低温でゆっくり戻すとうま味がよく出て、香りとコクのある味わいになります。
独特な風味をいかした煮物や中華料理、炊き込みご飯など、戻したしいたけ自体も一緒に料理に使うといいでしょう。
【おすすめ料理】中華料理、煮物
知らなかった! だしのもっといいところ3つ
身体にやさしく心を落ち着かせる
だしを使ったみそ汁と、使っていないみそ汁を飲み比べて調査したところ、だしを使ったみそ汁の方がリラックス効果が高いことがわかりました。
だしのうま味と豊かな香りが心身をリラックスさせてくれ、癒やされたり、気持ちがくつろぐなど心を落ち着かせる効果がアップします。
ヘルシーな和食(低糖・低脂肪)が作れる
だしを使わずに鶏もも肉で作った筑前煮と、だしを使って鶏むね肉で作った筑前煮のおいしさを比較する実験をしたところ、脂肪分の少ない鶏むね肉を使用しても、だしを加えるとうま味とコクがアップしておいしい筑前煮ができるとわかりました。
昆布やかつお節のうま味がしっかりきいていると、脂質や糖質に劣らない満足感をもたらします。また、使う調味料も少なくてすみ、薄味でも十分おいしくヘルシーな料理になります。
野菜がおいしくなる
ピーマンの中華炒めにかつおの削り節をかけて調べたところ、だしやかつお節が、ピーマンやゴーヤなど野菜の青ぐささや苦味を和らげ、食べやすくなるとわかりました。
野菜が苦手な人も、だしの効果でおいしくビタミンを取ることができます!
うま味がアップするだけでなく、ヘルシーにしたり、苦味を和らげたりといいことづくめ尽くめのだし。さらに心を落ち着かせてくれるのであれば、毎日の食事にぜひ取り入れたいものですね。
取材協力:ヤマキ株式会社
創業以来100年に渡り、「かつお節」や「だし」の価値やおいしさを広めるための取り組みを続けている。花かつお、かつおパック、だしの素、めんつゆ、割烹白だし、鍋つゆなどの商品を販売する。
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