将来の進学費用は大丈夫?4人に1人が子どもの進学費用の準備を「していない」理由は?

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2021.03.25

子どもの将来のための備えはどれくらいできていますか? ソニー生命保険株式会社の「子どもの教育資金に関する調査」から4人に1人が子どもの進学のための備えを「していない」といった結果が見えてきました。気になる調査結果をご紹介します。

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家計の悪化も原因!?習い事などの学校外教育費が昨年から大幅減少

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

ソニー生命保険株式会社が、大学生以下の子どもがいる保護者に対して「子どもの教育資金に関する調査」を行いました。この調査の【子育て・教育に関する支出の実態】のアンケート結果では、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1ヶ月あたりいくらくらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、月13,267円となっています。

平均支出金額の合計を過去の調査結果(図20)で比較すると、2020年の平均支出金額は15,120円でしたが、2021年は13,267円となったことから、1,853円の大幅減少となっています。

コロナ禍で学習教室などが臨時休校になり学校外教育費が減少したという人や、家計の悪化から学校外教育費にお金を費やす余裕が少なくなったという人が増えたなどの影響が考えられています。

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、 未就学児の親では7,797円/月、小学生の親では14,760円/月、中高生の親では20,569円/月、大学生等の親では9,881円/月となっています。

平均支出金額の合計を過去の調査結果(図21)と比較すると、未就学児から大学生の親まで全ての就学段階で2020年より減少していることが分かります。

なかでも小学生の親では、2020年では17,748円/月であったものが、2021年では14,760円/月と、2,988円の減少となっています。

進学費用のための備えは2年連続減少

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

同調査によれば、高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(751名)に、子どもの進学費用のための備えとして、一人あたり月々いくらくらい支出をしているか聞いたところ、「0円」が28.0%となり、最も多くの回答が集まったということです。

ついで、「10,000円~14,999円」には19.3%、「20,000円~29,999円」には15.3%、「30,000円以上」には14.8%の回答が集まり、平均支出金額は14,189円/月となっています。(図25)

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

さらに、子どもの進学費用のための備えとしての平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2019年では17,474円だったものが、2020年には15,776円、2021年には14,189円と2年連続で減少となったとのことです。

子どもの進学費用のための備えが減少したのは、コロナ禍による影響で収入が減少したなどの原因があるかもしれません。また、子どもの進学費用のための備えが「0円」と回答した人が28%と最も多くなっていることから、子どもの進学費用を貯めていない、または貯められていない人も多いことが分かります。

一方で、月に「20,000円~29,999円」には15.3%、「30,000円以上」には14.8%の回答が集まっていることから、子どもの進学費用にしっかりと備えたいと考えている、または実際にしっかり備えている親も多くいるのではないかと推測できます。

進学のための教育資金の準備方法は「銀行預金」「学資保険」 

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

同調査によると、高校生以下の子どもの親(748名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」が55.1%、「学資保険」が50.7%と突出して高くなっています。

ついで、「財形貯蓄」が10.2%、「(学資保険以外の)生命保険」が7.9%、「金融投資(株式投資や先物取引など)」が4.9%と続いています。

進学のための資金を準備する方法としては、「銀行預金」と「学資保険」が多くの人に利用されていることが分かります。特に準備をしなかったと回答している人も10.8%いることから、教育資金が十分に準備できない人も多そうです。

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」


大学生等の親(予備校生・浪人生を含まない)(249名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、「銀行預金」が59.0%、「学資保険」が50.2%、「奨学金」が16.5%、「子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からの資金援助」が11.2%、「財形貯蓄」が10.8%となっています。 (図28)

こちらも、先ほどの調査結果と同様に「銀行預金」と「学資保険」が特に多い結果となりました。高校生以下の子どもの親にくらべ、大学生等の親では、大学等への進学のための教育資金として「奨学金」や「教育ローン」の割合が上がっていることから、実際には「銀行預金」や「学資保険」では資金が足りず、奨学金や教育ローンなどを利用する人が多いのかもしれません。

【調査概要】
調査タイトル:子どもの教育資金に関する調査2021
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする
大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女
調査期間:2021年1月18日~1月20日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル(有効回答から各条件がほぼ均等になるように抽出)
(内訳)親の性別×子の性別×子の通う学校(未就学、小学校、中学校・高校
    大学・短期大学・専門学校・予備校)で16分割、ほぼ均等割付
調査協力会社:ネットエイジア株式会社

教育資金のための貯蓄は計画的に

ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2021」

「子どもの教育資金に関する調査2021」の結果から、子どもの習い事などの学校外費用や進学費用のための備えが前年よりも減少していることから、コロナ禍など、様々な影響から子どものための資金が減少している可能性が推測されます。

毎月一定額以上を子どものために備えている人も多くいる一方で、子どもの進学費用のための備えが「0円」と回答した人が28%いることから、4人に1人は子どもの進学のための備えを「していない」または「できていない」状況と推測されます。

多くの親は、子どもの教育には高い関心がある一方で、子どものための資金の準備については「していない」または「したくてもできない」状況にあるのかもしれません。

コロナ禍の影響で一時的に「教育資金の準備ができない」状況になってしまった場合は、いずれ回復する可能性も否定できませんが、今後慢性的に「教育資金の準備ができない」状況に陥ってしまうことも考えられます。

子どもが小さいうちは「教育資金の準備をしていない」または「できない」状況にあっても大きな問題にならないこともありますが、子どもが成長するにしたがって大きな問題に発展する可能性もありますので、注意が必要です。今からできる対策を考えましょう。

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著者

あき

あき

東京都在住。夫、子供3人の5人家族。家計簿&家計管理アドバイザー。 節約主婦として日本テレビ「ヒルナンデス」、NHK「人生レシピ」フジテレビ「バイキング」などに出演。著書に「あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他。 もともとは超がつくほどの現金主義だが、最近はほぼ全額キャッシュレス決済。ポイ活や家計簿アプリにも詳しい。

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