「私立中学は毎月約12万!?広い家に引っ越したいけど今後のお金が心配…」家計管理アドバイザーが指摘する「検討すべきポイント」

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2021.04.27

家計簿・家計管理アドバイザーのあきです。気の合うお友達にもなかなか相談しにくい「お金のこと」に悩んでいる人はいませんか? 有料相談に申し込むほどではないけど、ちょっと聞いてみたいお金の疑問に、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えいたします。

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「引っ越したいけどお金が心配」

コロナでテレワークになり、仕事部屋をつくるべく広めの家に引っ越したい!

引っ越し費用も必要なうえに、子どもが私立中学に進学し教育費も必要だし、子どもたちが食べ盛りで食費も減らせません。

どんなところを見直したらいいですか? また、今後のために気をつけるべきことはありますか?

今回ご紹介するのは、「広めの家に引っ越したいけど、子どもの教育費や食費も心配。どうしたらいいですか?」というお悩みです。

新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が増えるなど、働き方が多様化していますね。それに伴い、今までは不要だった「仕事部屋」などが必要になることも。最近は、「共用のワーキングスペース」や書斎や趣味を楽しむ部屋として「DEN」のあるマンションなども人気を集めているようですよ。

今回の相談者さんは、「引っ越し」「教育費」「食費」など、これからの将来とお金について心配なご様子です。

このようなお悩みをお持ちの時には、具体的にどのような点に気を付けた方がいいのか、「生涯にわたって健全な家計管理をする」という観点から、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えしていきます。

引っ越したいならまず確認するのは

引っ越したいけどお金が心配出典:www.photo-ac.com

引っ越しを検討する場合、まず考慮したいのは「賃貸」と「持ち家」のどちらを希望しているかです。家族で引っ越しをする場合は、単身者よりも引っ越しの費用もまとまった金額が必要になりますが、一時的なものです。引っ越しのための貯蓄があれば、1度限りの支出で終わらせることができます。

それよりも引っ越し後の「家賃」や「住宅ローン」の金額について考慮した方がよいでしょう。

人生で一番大きな買い物は「住宅」と言われます。引っ越しをすることで、以前よりも住宅費が上がるのであれば「教育費」などその他の支出も含めた家計設計を再検討することが重要です。

私立中学、私立高校、私立大学の学習費は

引っ越したいけどお金が心配出典:www.photo-ac.com

今回の相談者さんの家計で気になるのは「私立中学校」「食費」「教育費」といったキーワードです。

文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」によれば、私立中学校の1年間の学習費の平均は140万6,433円です。私立中学校から私立高等学校(全日制)に進学すると、96万9,911円となります。
月にすると、私立中学校ではおよそ11万7千円、私立高等学校(全日制)ではおよそ8万円がかかります。

こちらの調査では「授業料」だけでなく「習い事」や「塾」などの学校外の学習費も含まれていますので、実際には「習い事」や「塾」などがなければもう少し負担は少ないかもしれませんが、公立の中学校や高校に比べると高額です。

月10万円の住宅ローンがあると仮定すると、住宅ローンと私立中学校のお子さん1人の学習費で月20万円を超えることになります。その他、水道光熱費、通信費、生命保険、食費など様々な支出が想定されます。

お子さんがひとりならそれでもなんとか支払えるかもしれませんが、お子さんが2人3人といて、全員が私立中学校、私立高校と進学した場合はその分支出が増えることになります。

さらに、文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学 の学習費は平均で133万6,033円(授業料90万4,146円、入学金(初年度)24万9,985円、施設整備費18万1,902円)です。月にするとおよそ11万1千円になります。

私立中学校、私立高校、私立大学に進学した場合、これから10年前後は毎月平均的に10万円以上お子さんの教育費がかかることを念頭に置く必要があります。

今後10年以上、支出に見合った収入が継続的に得られるか、または進学先の私立中学が平均より学習費がかからないなど学習費の負担が少なく済む理由があるか、または単純計算してお子さん1人につき年間120万円×10年で1200万円程度の貯蓄があるかなどの点をまず確認しましょう。

なお、私立高校については、年収590万円までの世帯では高等学校等就学支援金により私立高校の平均的な授業料程度(39万6000円)までは支給されますが、私立中学に進学していることから、おそらく年収590万円は超えているのではないかと考えます。年収590万円以下でしたら高等学校等就学支援金の範囲では負担は減ることになります。年収590万円以上でも、東京都なら年収目安910万円未満なら支援が上積みされるなど、お住いの地域の制度も確認しましょう。

参考:文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」、「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」、「高等学校等就学支援金制度

節約よりも大切なのはバランス

引っ越したいけどお金が心配出典:www.photo-ac.com

見直した方がいいのは、長期的な収入と支出のバランスです。
食費を減らしましょう、学習費を減らしましょうと言っても、食べ盛りのお子さんがいて、私立中学校に進学しているのであれば大きな節約は見込めません。

今ある支出と収入とのバランスを長期的に保つことができるように工夫していくことが重要と考えます。

特に、相談者さんのお子さんはまだ中学生ですから、これからさらにお子さんにかかる費用は年々増加する可能性があります。現状の支払いで精いっぱいなら、引っ越しをして支出が増えれば年々家計が苦しくなるのは当然です。
反対に、現状の支払いでも大きくゆとりがあり、現状でも年間でまとまった金額の貯蓄がある程度継続できているなら、多少住宅費が上がっても問題ないでしょう。

中学、高校、大学と今後も私立を選択していくのであれば、大きな支出が今後10年前後続くことは避けられないと考えられますので、一部の支出を見直すよりも、長期的な収支のバランスが取れるように検討すると良いでしょう。

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著者

あき

あき

東京都在住。夫、子供3人の5人家族。家計簿&家計管理アドバイザー。 節約主婦として日本テレビ「ヒルナンデス」、NHK「人生レシピ」フジテレビ「バイキング」などに出演。著書に「あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他。 もともとは超がつくほどの現金主義だが、最近はほぼ全額キャッシュレス決済。ポイ活や家計簿アプリにも詳しい。

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