1.収入と固定費
一人暮らしや単身赴任など、2重3重の家計であるご家庭は、一般的な家庭よりも固定費がかかります。
家賃や通信費をはじめとした家計の固定費がどれくらいあるのか、まず確認しましょう。
例えば、家賃など毎月支払うことが必要な固定費が30万円必要なら、毎月30万円は収入が入ってもすぐになくなることになります。毎月の給料が50万円なら生活費に使える残りのお金は月20万円です。
これからお子さんの習い事や塾などを検討されるということですが、この残りのお金から食費など必要な生活費を確保し、それでも残るお金が習い事や塾に使えるお金です。
まず習い事や塾の支出を必要な支出として計上してしまうと、固定費の支払いだけで収入を超えてしまう恐れがあります。お子さんがまだ小さいうちに収入以上の支出がある生活を続けると、本当に進学費が必要な時期にお金がないという危険な家計になりやすい傾向がありますので注意しましょう。
2重、3重の生活を送るとしても、まず収入と支出のバランスが取れる範囲で今後の支出の計画は立てなくてはなりません。
2.長期的な家計計画
加えて、相談者さんの家計に必要なのは、長期的な家計計画です。
ご主人の単身赴任はいつまで続くのか、いずれ戻れる可能性はあるのか、お子さんの進学先は公立なのか私立なのか……。できるだけ早期に将来的な家計の計画をたてましょう。
ご主人がいずれ戻れる可能性があるなら、家具はレンタルではなく購入する方が安く済む場合もあり、将来的にも損にはなりません。将来的にも戻れる可能性が低いのであれば、レンタルの方が安上がりです。
また、将来的に戻れる可能性があるなら、お子さんが大きくなったころには2重生活も終わり、今まで2重にかかっていた費用の分だけ節約が可能になり、お子さんの教育費に回すことができるようになるかもしれません。
習い事や塾の費用で一時的に家計が赤字に転落したとしても、ご主人の単身赴任先の費用がかならなくなれば、将来的に家計は改善する可能性もあります。
しかし、ご主人の単身赴任は今後も継続する可能性が高いのであれば、ご主人にかかっている費用が減ることは見込めないため、お子さんにかけられる教育費にも限界があります。
3.収入の増加
相談者さんの家計で一番怖いのは、ご主人の単身赴任の費用が将来的に減る可能性がない状況で、お子さんの教育費をかけすぎてしまうことです。
ご主人の単身赴任の費用を負担しながらお子さんを私立に通わせることになった場合、家計の固定費は長期的に減少することが見込めなくなります。
このような状況になってしまうと、減らすことのできない固定費に生活が圧迫されてしまい節約どころではなくなってしまいます。あとは「収入を増やすことでしか対応できない」というような家計にもなりやすいので注意してください。
お子さんの習い事や塾も収支のバランスを見ながらできる範囲でかけていきたいというご希望なら良いのですが、収入に見合わない教育をどうしても希望したいという場合は、収入を増やす手段も同時に検討しなくてはなりません。
手遅れになる前に見直して
相談者さんの家計は、お子さんに関する費用については、「今」必要なのではなく「これから」かかることが見込まれるというところがポイントです。
すでにお子さんに関する支出も減らせない状況ですと、節約しにくい支出が大きく膨らみすぎてしまう可能性がありますが、習い事も塾も「これから」なのであれば、収入に見合った範囲で選択することをオススメします。
今のうちにいくら貯金をしておいた方が良いか
貯蓄としてはお子さんの大学の費用や住宅の修繕費や老後の費用など一般的な家庭と同じような貯蓄を最低限確保し、残りは「貯金を崩さなくても支払える範囲で選択する」というのが最も健全な家計を維持できる方法です。
収入に見合わない選択をしてしまうと、長期的に家計が困窮し、お子さんの進学にも影響が出てしまう可能性があります。また将来的に相談者さん自身が破産してしまう可能性もありますので、手遅れにならない今のうちに、しっかりとした貯蓄の計画を立てておきましょう。