38歳退職金なしの夫婦にとって「賃貸と持ち家、どっちがお得?」家を買う際に考えたいことを家計のプロが伝授

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2021.06.03

家計簿・家計管理アドバイザーのあきです。気の合うお友達にもなかなか相談しにくい「お金のこと」に悩んでいる人はいませんか? 有料相談に申し込むほどではないけど、ちょっと聞いてみたいお金の疑問に、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えいたします。今回は、賃貸と持ち家のどちらがいいのかというご相談です。

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もくじ

住むなら「持ち家」それとも「賃貸」
「持ち家」「賃貸」どちらを選ぶ?
「持ち家」の場合の住居費
「賃貸」の場合の賃料から考える住居費
「持ち家」「賃貸」どっちがオトク?
「賃貸」を選ぶ場合のメリット・デメリット
「持ち家」を選ぶ場合のメリット・デメリット
「持ち家」の場合は購入時の年齢もポイント!
教育費とのバランスが大切

住むなら「持ち家」それとも「賃貸」

今回のご相談者は都内在住で、現在賃貸にお住まいの方。家を購入するか賃貸のまま住み続けるかを悩んでいるそうです。ご夫婦ともに38歳で、小学生4年生と2年生のお子さんがいらっしゃるとのこと。ご相談内容を見てみましょう。

現在賃貸(2LDK)に住んでいます(長期のローンがこわくて……)。
娘が小学校高学年になり、そろそろ夫や弟と部屋を分けてほしいと言いそうだと思い、賃貸物件を見ていたのですが、都内で3LDKの物件はそもそも少ない&高額で驚いています。

息子(2人目)が療育に通っていることもあり、今の土地から離れることはしばらくは考えていません。賃貸で借りるくらいなら、今から家を購入するか……と思い調べています。

38歳で退職金なしの夫婦の場合、賃貸のほうがいいのか、35年ローンを組んで購入のほうがいいのか、注意点をおしえてください!

「持ち家」「賃貸」どちらを選ぶ?

持ち家、賃貸出典:www.photo-ac.com

マイホームを購入すると、一般的には長期のローンを組むことになります。
長期のローンを返済することになるため、精神的な負担や不安から「賃貸の方がいいのではないか」と考えることもありますね。

結論からお伝えすると、「賃貸」でも「持ち家」でも、それぞれにメリットデメリットがあるので、どちらが良いと一概に言うことはできません。

どちらにするかに大きく関わるのが「子ども」がいるか、何人いるか、そしてどんなふうに育てたいか、です。

あくまでも仮定ですが、簡単に「賃貸」と「持ち家」の比較をしてみましょう。

「持ち家」の場合の住居費

支出の中でも大きい割合を占める住居費。住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2019年)」によると首都圏だと以下のような価格感です。

【持ち家の価格感】

  • 土地付き注文住宅の所要資金:4,993万円
  • マンションの所要資金:5,033万円
  • 中古戸建の所要資金:3,163万円
  • 中古マンションの所要資金:3,392万円

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によれば、「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2017年度)」は2.2万円と出ています。
平均年間約26.5万円の管理費・修繕積立金が50年かかると考えると1,325万円が住宅の購入費用とは別に必要になります。

【マンションの管理費・修繕積立金を含めた場合】(約50年住むと仮定)

  • マンションの所要資金:5,033万円の場合→6,358万円

※専有部の修繕費用やリフォーム費用が別途かかります

「賃貸」の場合の賃料から考える住居費

一方、不動産情報サービスのアットホーム株式会社の不動産情報ネットワークに登録され消費者向けに公開された、「首都圏(1都3県)および全国主要都市における2020年5月の居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向」によれば、首都圏だと以下のような価格感です(2020年5月・東京23区の平均家賃)

【23区平均家賃/月】

  • 30~50平米:133,403円
  • 50~70平米:190,285円

【1年間の家賃(単純計算)】

  • 30~50平米:160万円
  • 50~70平米:228万円

【約50年賃貸に住んだ場合】(約50年住むと仮定)

  • 30~50平米:8,004万‬円(8,337万円)
  • 50~70平米:11,417万円(11,893万円)

厚生労働省の「簡易生命表(令和元年)」によると、2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳でとなっていますから、現在38歳の相談者さんが88歳までの50年間居住すると仮定。
※2年に一度1ヵ月分の更新料がかかるとすると()内の金額になる。

「持ち家」「賃貸」どっちがオトク?

上記の金額感をもとに単純に比較した場合、月13万円の家賃を払い続けるなら、持ち家の方が金額面でメリットが出ると考えられます。
賃貸で住み続けた場合の7,800万円までにはならないと思いますし、持ち家を売却するなど資産として活用できることも考えると「持ち家」に軍配が上がります。

ただし、家賃を月10万円でおさえ、50年住むと考えた場合は、また違った試算が出てきます。

家賃10万円の場合、120万円×50年=6,000万円。2年に一度1ヵ月分の更新料がかかるとすると、10万円×25回分で250万円、合計6250万円です。この金額感なら、東京都で新築マンションを購入し50年住むよりも若干金額が抑えられますよね。

子どもが一緒に住んでいる間は広い家にして、その後夫婦2人になったときは小さめの賃料を抑えた家にするなど、賃貸の場合は家族の状況に合わせて変動できるところも魅力です。
賃料など条件を変更して試算をしてみると結果は大きく異なりますので、お住まいの地域の相場や、参考に再計算をしてみることが大切です。

参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2019年)」、アットホーム株式会社「首都圏(1都3県)および全国主要都市における2020年5月の居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向」、厚生労働省「簡易生命表(令和元年)」

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著者

あき

あき

東京都在住。夫、子供3人の5人家族。家計簿&家計管理アドバイザー。 節約主婦として日本テレビ「ヒルナンデス」、NHK「人生レシピ」フジテレビ「バイキング」などに出演。著書に「あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他。 もともとは超がつくほどの現金主義だが、最近はほぼ全額キャッシュレス決済。ポイ活や家計簿アプリにも詳しい。

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